2019-06-06
「友引」の葬儀は縁起が悪い?友引の意味と実際の傾向を紹介
この記事の目次
「亡くなった人が友を連れて行ってしまう」という説から葬儀を行うべきではないとされる友引。
友引の日は縁起が悪く葬儀を行うべきではないといわれますが、本来的には葬儀と友引の間には何の関係もないのをご存じでしょうか?
そこで今回は、そんな友引にまつわる現在の葬儀事情や、友引に葬儀を行う際の注意点をご紹介します。
友引を嫌がる参列者をうまくたしなめるコツもありますので、いざというときに困ることのないようぜひご覧ください。
1.友引の縁起は悪くない
友引は「友を引く」とされ、故人が一人で旅立つ寂しさから友人・知人を連れていく日などといわれています。そのため、縁起が悪いので葬儀を行うべきではないとの慣習が続いてきました。
しかし元々の漢字は「共引」で、共に引き分ける日、勝負のつかない平安な日という意味。友引は、本来の意味でいえばむしろ縁起がいい日であるうえに、冠婚葬祭とも関係がないのです。
なぜこのように解釈が変わってしまったのでしょうか? それは、六曜(ろくよう)の歴史に関係しています。
2.そもそも六曜は仏教と関係がない?
六曜とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種の吉日・凶日からなる暦の一つで、友引は先勝と先負の間にあります。
この六曜は中国から伝わったもので、鎌倉時代から室町時代の頃に伝来しました。その後、時代とともに読み方や解釈も変わり、日本に伝来した六曜のうち、読み方が当時のまま残っているのは「赤口(しゃっこう・しゃっく・せきぐち)」だけといわれます。友引だけでなく、ほとんどが本来の意味を失っており、現在に残っているものも由来の分からないものが多いといいます。
また、そもそものルーツとして六曜は仏教と関係がありません。仏教の教えにも六曜の考え方は存在しないのが事実です。仏教と関係がないということは、驚かれるかもしれませんが、六曜は本来的に葬儀とも関係がないということになってしまうのです。
したがって、友引と葬儀の関係は、単なる迷信といって差し支えないといえるでしょう。
つまり、縁起という意味では友引に葬儀を行っても問題ないのです。
3.実際の傾向は?
それでは、友引における実際の葬儀事情はどうでしょうか?
関西地方では友引の葬儀が特別なものではなくなっており、特段避けることはありません。しかし、関東では友引に葬儀をしないケースが多いようです。これは、関東の火葬場が友引を定休日にしていることが多いためと考えられます。
火葬は葬儀当日に行われるのが一般的なので、火葬場が閉まっているのであれば自然と葬儀も行わない形になります。
つまり、地域によっては縁起を気にする気にしないにかかわらず、友引は葬儀ができない場合が多いのです。
4.友引に葬儀を行う際の注意点
葬儀の日取りは、葬儀会場や火葬場の混雑具合、宗教者や親族の都合などによって決められますので、必ずしも希望通りの日程を選べるわけではありません。ここでは、友引に葬儀を行うことになった場合の注意点についてご紹介します。
4-1.参列者が嫌がる可能性がある
とくに故人に近しい親族・親戚が「友引は避けるべきだ」と強く希望している場合はもちろんですが、遠縁でも参列者の中にそのような方がいるだけで葬儀の雰囲気が悪くなってしまうことがあります。そうならないためにも、前もって「日取りがどうしてもうまくいかなくて」などと参列者に周知するのがよいでしょう。
また、強い反対があった場合は、葬儀社スタッフや宗教者に相談するとよいでしょう。
そのほか、友人形(ともにんぎょう)を入れれば参列者を納得させることができるかもしれません。
4-2.友人形の意味、友人形とは
友人形とは、故人と一緒に棺に入れる人形のことで、関西を中心にみられる習慣です。棺の中に身代わりとなる人形を入れて、故人が友を連れていくのを避けます。
葬儀社に頼めば用意はしてくれますが、故人が好きだったキャラクターの人形などを入れる方がおすすめです。友人形としての役割はもちろんのこと、故人を悼む気持ちが表現でき、うまく説明すれば友引を嫌がる参列者を納得させることもできるかもしれません。
4-3.通夜は友引でも大丈夫
友引でも通夜を行うのは一般的に問題がないとされています。そのため、日程としては友引に通夜を行い、翌日に葬儀を行うのもよいでしょう。
ただし、友引の翌日は友引明けと呼ばれ、火葬場が混雑します。友引明けには火葬場の予約が取れない場合があることも、覚えておくとよいでしょう。
まとめ
お葬式事情は大きく変わりつつありますが、友引を定休日としている火葬場など、社会的にはまだまだ変わらない部分がたくさんあります。
人の意識も同じで、とくにお年寄りなど、迷信や慣習に強くこだわる方がまだまだいらっしゃるのが現状です。
葬儀後の関係を良好に保つためにも、そういった方への配慮を忘れないようにしましょう。前もってしっかりと確認しておけば、大きな失敗になることはありません。
どうしても葬儀当日が友引になる場合は、故人が好きだった人形を友人形として入れることを伝えれば納得してもらえるかもしれませんよ。