2019-07-07
戒名料は高い?自分で付けていいって本当?【相場の秘密とトラブル回避法】
この記事の目次
戒名とは、死後の世界で仏様の弟子になった証として授けてもらう名前のことです。
お墓のある寺院の僧侶に付けてもらうのが一般的で、お布施として戒名料を払う必要があります。
戒名料の相場は、20万円~100万円とかなりバラつきがあるのが特徴。
そのため、金銭トラブルも多く自分で付けようと検討している人も増えています。
今回は、戒名料の相場の秘密と金銭トラブルの回避方法をご紹介します!
自分で付ける時の注意点についてもお話しするので、終活で戒名に関してお悩みの方も必見です。
戒名料の相場の秘密
戒名料の相場にバラつきがあるのは、ランクと宗派によってかかる費用が違うからです。
戒名にはランクがあり、高い位を授かるにはそれに見合う金額を支払う必要があります。
それぞれの宗派による相場は決まっていますが、地域や寺院によっても異なるので注意が必要です。
戒名にはランクがある
戒名は、4つの構造で成り立っています。
一般的には「院号」+「道号」+「戒名」+「位号」で構成され、宗派やランクによって文字数は異なることに。
- 院号…生前、寺院や社会に大きく貢献した人に付けられる。一般人である場合付けられないことが多く、次の「道号」から戒名が始まることも。さらに上の位に「院殿」というものもあるが、現在ではあまり授かる人がいない(寺院を建設したり、相当の身分であることが条件)。
- 道号…「戒名」の前に付けられる名前で、故人のペンネーム的役割を果たす。故人の性格や特徴を反映することも多く、比較的自由に付けられる部分。浄土真宗など、宗派によっては省かれることも。
- 戒名…4つの構造全てを合わせたものを「戒名」と呼んでいますが、本来はここの部分を指す。2文字で構成されるのが特徴。
- 位号…戒名のランクを示す部分。俗名では「様」という意味合いを持つ。性別や年齢、寺院や社会への貢献度によって付けられる名が変化する。男性はランクの高い順に「大居士」「居士」「信士」。女性は「清大姉」「大姉」「信女」などが用いられる。
戒名のランクは、生前の寺院との関係性や貢献度、お布施として納める戒名料によって決まるもの。
寺院の僧侶に付けてもらうのが一般的なので、高いランクを望む場合は高額な戒名料を支払わなくてはいけません。
戒名にランクがあることに違和感を覚える方も多いかと思いますが、これには江戸時代の檀家制度の名残りという側面があります。
気にする必要は無いかもしれませんが、故人の意思や生前の行いを尊重して付けてもらうことが大切です。
宗派によって相場は変わる
戒名料の相場はランクや宗派、寺院への貢献度など複数の要因によって変動します。
それぞれの宗派の、一般的な相場はこちらです。
- 曹洞宗・真言宗・天台宗…「信士・信女」→30~50万円 「居士・大姉」→50~70万円 「院居士・院大姉」→100万円~
- 浄土宗 …「信士・信女」→30~40万円 「居士・大姉」→50~60万円 「院居士・院大姉」→70万円~
- 浄土真宗 …「釋○○」→10~30万円 「○院釋○」→50万円~
全宗派の全ての位号を含む平均金額は、約50万円です。
浄土真宗は、戒名の付け方が他の宗派とは少し異なります。
最も高い位でも50万円~と、戒名料は比較的安い傾向に。
ただし、これらは一般的な相場なので、地域や寺院によって戒名料は変動します。
はっきりとした金額が知りたい場合は、管轄の寺院に相談するようにしてみましょう。
戒名料の金銭トラブル
戒名料はどんなに安くても数十万円〜とかなり高額です。
金額は寺院に一任するため不透明な部分が多く、金銭トラブルに至ることも。
おかしいなと思うことがあったらすぐに支払わずに、寺院や葬儀社に相談することが大切です。
不当に高額な金額を請求される
相談や説明も無く、いきなり高額な金額を請求された時は要注意です。
ランクや宗派によって相場は大体決まっていますが、中には不当に高額な金額を要求しようとする悪質な寺院も。
戒名料は本来、お布施として寺院に気持ちを包むものです。
高い位を望むなら仕方ありませんが、そうでないなら必要以上に高額な金額を支払う必要はありません。
金銭的に余裕がない場合は、「低い位の戒名で構わない」ということをしっかりと伝えましょう。
ただし、相場よりもあまりにも低い金額を包むと、戒名付けや納骨を断られてしまうことがあります。
お布施は、寺院を経営していくための資金になります。
お墓を管理してくれていることへの感謝の気持ちも込めて、良識の範囲内で相談するようにしましょう。
ランクの高い戒名を付けてもらえない
戒名は、戒名料だけで決まるわけではありません。
寺院や社会への貢献度が重要視されるので、どんなに高い戒名料を納めても希望通りの戒名を授かれないことも。
一方で、高額な戒名料を納めたのに低い位を付けられてしまったというトラブルもあります。
悪質な場合、さらに高額な戒名料や変更代として追加料金を請求されたという事例も。
高い戒名を希望するなら、事前に寺院と戒名料についての話し合いを進めておくと安心です。
支払う前であれば、他の機関に相談して話を通してもらうことも可能になります。
「そういうものだから、仕方がない。」と諦めずに、正当な対応をしてもらえるよう努めましょう。
戒名料の金銭トラブルを回避する方法
戒名料の金銭トラブルを回避するためには、事前に寺院と話し合いをしておくことが大切です。
終活の一環として戒名料を確認しておいたり、生前戒名を付けてもらうという手段もあります。
故人へ新たな名前を付けてもらうという神聖な運びで、思わぬ金銭トラブルが起きてしまわないように最善を尽くしておきましょう。
終活で事前に戒名料を確認しておく
終活の一環として、事前に戒名料を確認しておくのはおすすめです。
故人の宗派や寺院などが、死後になって分かり混乱したというケースは少なくありません。
家族の終活に参加しておくことで、大切な人の意思を尊重した戒名を検討できるというメリットもあります。
終活は、1人で行うものではありません。
本人の意思が第一ですが、家族やカウンセラーと一緒に相談しながら設計していけるとベストです。
また、現在40~50代の方も将来のことを考えて、早めに終活に取り組んでみてはいかがでしょうか。
終活は、決してネガティブな活動ではありません。
残りの人生をどう楽しむか計画したり、大切な家族に迷惑を掛けないように自分の意思を伝えておくためのものです。
戒名に関する終活で、チェックしておきたい項目です。
- 自分の宗派と寺院の確認
- 戒名に関する希望(位や入れてほしい文字など)
- 戒名料の準備の有無
自分の宗派と寺院は、間違いがないように正確に把握しておきましょう。
戒名に関する希望があれば、内容を分かりやすくしっかりと伝えておきます。
特に高い位を望まない場合は、その旨を家族に話しておくと安心です。
家族が思い過ごしで大きな金銭的負担を背負うことがないよう、気をつけましょう。
戒名料は遺族が負担することになりますが、自分で用意がある場合は明記しておきます。
準備しておく金額と実際にかかる料金に大きな誤差を出さないためにも、宗派や寺院の確認は大切です。
生前戒名を付けてもらう
生前戒名とは、生前に戒名を授けてもらうことです。
戒名料はその時の支払いになるので、亡くなってからの追加請求はもちろんありません。
自分の納得した条件で戒名を付けてもらえるというのが、大きなメリットです。
また、生前戒名の方が相場が安くなるというメリットもあります。
相場が安くなる理由は、金額や条件を時間をかけてじっくりと調整していけるからです。
ただし、生前戒名を授けてもらった時は家族にしっかりと伝えおくことが大切。
家族に伝わっていないと、死後になって二重に戒名を付けてしまう恐れがあるからです。
料金が明確な新しいサービスを利用する
平均相場が約50万円と高額な戒名料ですが、新しいサービスを利用すると安く済ませることもできます。
例えば「イオンのお葬式」というサービスでは、葬儀場の手配から戒名料まで全てを含めた一律料金を提示してくれています。
葬儀のプランによって値段は異なりますが、戒名料まで全て含めて30万円以内で済むことも。
無宗教の人にも対応しているので、どうしていいか分からなくて困っている人にもおすすめです。
戒名を自分で付ける時の注意点
戒名は、自分で付けることも可能です。
ただし、戒名にはいくつかルールがあります。
決まりを守って付けても寺院によっては、納骨を断られてしまう可能性があるので要注意です。
戒名の決まりを守る
戒名には、4つの構成があります。
各構成は宗派によって異なりますが、明確な決まりがあり使える言葉や文字数は限られます。
例えば構成の一番始めに位置する「院号」は、寺院や社会に大きな貢献をした人だけが授かることのできるものです。
宗教従事者や有名芸能人などに多く、一般人に付けられることはほとんどありません。
そのため、勝手に付けてしまうと戒名として受け入れてもらうことができなくなります。
多くの決まりを守って戒名を付けるのは、とても大変な作業です。
宗教に詳しい方や従事していた方を除いては、寺院の僧侶に授けてもらうことをおすすめします。
寺院に相談して許可を貰う
寺院からの許可を得ていないと、決まりを完璧に守って戒名を付けていても無効になってしまうことがあります。
一般的には寺院の僧侶に授けてもらうのが慣習なので、仕方ありません。
許可を出してくれる寺院は少ないですが、経済的問題などやむを得ない事情がある場合は必ず事前に相談をしましょう。
自分で付けることの許可は降りなくても、戒名料を打診してくれることがあります。
納骨を拒否されることがある
寺院の許可を得ずに勝手に自分で戒名を付けてしまうと、納骨を拒否されてしまうことも。
納骨を拒否されてしまうと、葬儀も供養も行えなくなってしまいます。
寺院との関係性も悪化してしまい、今後の葬祭を行なっていくのも大変になります。
トラブルを避けるためにも、戒名は寺院の僧侶にお願いするのが一番安心です。
戒名料に関する疑問や相談は、葬儀場や終活カウンセラーにも聞くことができます。
終活の一環として、将来のためにも気軽に相談をしてみてくださいね。