2019-07-07

相続税の知識は終活に不可欠!遺言を書くうえで役立つ知識まとめ

この記事を読むのに必要な時間: およそ4分
相続税の知識は終活に不可欠!遺言を書くうえで役立つ知識まとめ

この記事の目次

相続税の税率は高いものというイメージがありませんか?

また、相続税はみんなが支払わなければならないものとお思いではありませんか?

実際には、すべての人が相続税の対象になるわけではなく、遺産のすべてに高い税率がかけられるわけでもありません。

この記事では、どれくらいの人が相続税を支払っているのか、いつどんな財産に税金がかかってくるのか、誰がどれくらいの割合で相続するのかなど、相続税や相続に関する基本的な知識を解説します。

終活に欠かせない遺産相続の知識をしっかり身につけておきましょう。

 

相続税とは

相続税とは、大きな金額の遺産を受け継ぐ際にかかる税金のことです。

あくまで、大きな金額の遺産にかかる税金なので、亡くなったすべての人が相続税の対象になるわけではありません。

 

相続税がかかるのは、基礎控除額を超えるときだけ

課税されない限度額のことを基礎控除額と呼びます。

遺産総額が基礎控除額を下回る場合は、相続税は課税されません。

基礎控除額は、以下の表のように相続人の人数によって変わります。

法定相続人

基礎控除額

1人

3,600万円

2人

4,200万円

3人

4,800万円

4人

5,400万円

5人

6,000万円

基礎控除額の計算法は、「3,000万円+法定相続人1人につき600万円」となっています。

 

相続税を支払うのは、全体のわずか8.1パーセント

相続税を納める対象となった人の割合は、8.1パーセント(平成28年)です。

12人に1人なので、実際に相続税を納める人はそう多くはないといえるでしょう。

ちなみに、平成27年までの基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、改正後に「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と大幅に引き下げられました。

 

相続はどのようにして行われる?

基礎控除額を超える場合は、法定相続人の相続順位にしたがって相続が行われます。

法定相続人とは?

相続する人(親や配偶者から遺産を受け取る人)を相続人といいますが、これは法律で定められており、法定相続人とされています。

遺産を受け取れるのは、法定相続人の相続順番に合う親族のみです。

法定相続人の相続順位

第1順位の相続人

相続人となる人 配偶者、子
相続人が亡くなっている場合の相続人 直系卑属(孫、ひ孫等)
備考 子や直系卑属がない場合は、第2順位の相続人へ

第2順位の相続人

相続人となる人 配偶者、直系尊属
相続人が亡くなっている場合の相続人  
備考 直系尊属がない場合は、第3順位の相続人へ

第3順位の相続人

相続人となる人 配偶者、兄弟姉妹
相続人が亡くなっている場合の相続人 兄弟姉妹の子(甥・姪)
備考  

被相続人(亡くなって遺産を親族に贈与する人)の配偶者は、常に相続人となります。

また、法定相続人の数は、相続放棄をした相続人や財産を継承しない相続人の数を含めて相続税を計算します。

そのほか、特別養子縁組による養子はその数すべて、実の子どもがいる場合の普通養子は1人まで、実の子どもがいない場合の普通養子は2人まで法定相続人の人数に含めることが可能です。

 

相続税の課税の対象となる財産・ならない財産

相続人は、相続によって被相続人のすべての財産や権利や義務を受け継ぐことになりますが、相続税の課税対象になる財産と課税対象にならない財産があります。

税を引くトータルな金額は、課税対象となる財産から非課税財産と、債務・お葬式費用等を引いたものです。

また、死亡保険金や死亡退職金は、「みなし相続財産」として控除額付きの課税対象になります。

 

相続税の課税対象になる財産

預貯金、貸付金、有価証券、不動産、貴金属、著作権など、金銭として換算できるものの全ての財産は課税対象となります。

また、被相続人から、相続開始前3年以内の贈与によって取得した財産や、相続時精算課税制度を選択した場合に贈与された財産の価格は、相続税の課税対象となります。

ちなみに「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与について、子・孫の選択により利用できる制度です。

贈与税の基礎控除110万円を大きく上回る2,500万円の特別控除が受けられるため、節税の手法としても選ばれています。

相続税の課税対象となる財産

種類

詳細

不動産

土地(宅地、山林、畑等の農地、敷地権や借地権、駐車場、地上権など)

建物(区分建物、倉庫、借家権など)

金融財産

現金、預貯金、株式、投資信託、公社債など

みなし相続財産(死亡退職金、死亡保険金)

退職金、功労金、保険金、定期金など

非課税枠あり

その他

自動車、家具、ゴルフ会員権、リゾート会員権、著作権、商標権、特許権、宝石等貴金属、骨董品、入院保険金(被相続人が受取人の契約)、売掛金や損害賠償請求権等債権者としての権利など

 

「みなし相続財産」には、非課税枠がある

退職金、功労金、保険金などの「みなし相続財産」は、基本的に「500万円×法定相続人の数で計算した金額」までは非課税となります。

ちなみに、相続放棄をしたり、受け取らない相続人がいても、その分の人数も含めて控除額とすることが可能です。

たとえば、法定相続人が3名なら非課税枠は1,500万円ですが、うち1人が受け取らない場合にもあとの2人は1,500万円分の保険金や退職金を受け取ることができます。

 

「みなし相続財産」の種類と、相続税の有無

退職金などに限らない「みなし相続財産の」種類をご紹介します。
債務の免除

遺言で、相続人などが借金を代わりに支払ってもらった場合は、その金額に対しても相続税が課税されることになります。

定期金

被相続人が、生命保険会社の個人年金などの掛け金を支払っていて、かつ年金の受取人が被相続人である場合の受取年金も、「みなし相続財産」とされます。

低額の譲り受け

遺言で、相続人が本来の時価よりかなり低い価格で財産を取得したときは、時価と売買価格の差額に対して、相続税が課税されます。

たとえば、時価1億円の不動産を3000万円で売却した場合、差額の7000万円にも相続税が課税され、トータル1億円に相続税がかかることになります。

 

相続税のかからない財産

一方で、次のような財産に関しては、相続税がかからないことになっています。

墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚などの祭祀継承されるもの

ただし、骨董価値や投資対象となるような高額なものは課税対象とされます。

事故などの損害賠償金

交通事故や飛行機事故で被害者(被相続人)が死亡した場合には、生命保険金や損害保険金のほかに損害賠償金が支払われます。

損害賠償金は、遺族の精神的な苦痛に対する慰謝料としての賠償金を請求する権利については、相続税がかかりません。

ただし、事故による付き添い看護費や医療費などに対する賠償請求権などは相続財産に含まれます。

国や地方公共団体などへ寄付した財産

相続した財産そのものを、相続税の申告書の提出期限までに寄付した場合には、寄付した財産については相続税がかかりません。

ただし、すでに設立された公益法人への寄付に限り、その寄付によって寄付をした人やその親族の税金が不当に安くならないことなどの制限がつけられています。

 

相続される遺産の割合は、血縁関係によって異なる

相続割合は、「法定相続分」として民法で定められています。

遺言がない場合、遺産は法定相続人が協議して分割するものですが、それだけではトラブルを生みかねません。

そこで、「法定相続分」がトラブルを避けるための一つの指標となるのです。

法定相続分について

民法(第900条)では、以下のように法定相続分が定められています。

法定相続分

配偶者と子どもが相続人

配偶者に1/2、子どもに1/2

配偶者と直系尊属(父母、祖父母)が相続人

配偶者に2/3、直系尊属に1/3

配偶者と広大姉妹が相続人

配偶者に3/4、兄弟姉妹に1/4

なお、子どもが2人以上いたり、父母がどちらも存命だった場合、また兄弟姉妹が複数存命の場合は、均等に割るのが原則となっています。

たとえば、被相続人・配偶者・長男・次男・長女の5人家族だった場合、配偶者に1/2、長男・次男・長女に1/6ずつという相続分になります。

 

注意点・配偶者がすでに亡くなっていても、相続順位は変わらない

ぜひ注意していただきたいのが、配偶者がすでに亡くなっているからといって、相続順位が変わるわけではないという点です。

たとえば、被相続人・配偶者・長男・次男・長女の家族構成ですでに配偶者が亡くなっていた場合、第1順位である子どもと第2順位である父母が相続人になれるわけではなく、長男・次男・長女が全財産を1/3ずつ相続することになります。

 

遺言書を残している場合の遺産相続について

生前遺言書を作成することによって、財産の相続分を自由に決めることができます。

これを「指定相続分」といい、上で解説した「法定相続分」と対をなすものです。

ただし、金額に偏りが大きい場合、遺留分を法定相続請求することもできます。

指定相続分とは

被相続人は、財産を譲る相続人や相続人ごとの遺産相続の割合を遺言書に記載することで、財産分与の方法を指定できます。

この遺言によって指定される相続分を「指定相続分」といいます。

しかし、被相続人の意思が尊重されるという意味では大変良いものですが、特定の人にだけ有利になったり、法定相続人が遺産を相続できないという事態が生じるケースもあります。

そこで、相続財産を減らされてしまった親族は、共同相続人に「遺留分減殺(げんさい)請求」をすることで、遺留分に相当する相続分を得ることができます。

 

遺留分減殺請求とは

遺留分減殺請求は、遺留分を侵す程の贈与や遺贈を受けたものに対して行う請求です。

一般的には、被相続人の内縁の配偶者などが1人だけ多くの遺産を受けついだなどのケースが該当します。

遺留分は直接相手に請求することもできますが、当事者間で話し合いがつかない場合は裁判所に申し立てて請求することも可能です。

 

まとめ

相続税は、支払う人の割合が8.1パーセントです。

また、課税対象となる財産とそうでない財産があり、財産分与の割合も民法で定められています。

相続税の基本的な知識を押さえて遺言書を書けば、あとに残す親族を困らせずに済みますよ。

関連記事