2019-07-07

相続の税率が高い?相続税の対策とポイント

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相続の税率が高い?相続税の対策とポイント

この記事の目次

税法の改正によって平成27年以降は、全体のおよそ10人に1人が納めている相続税。

10人に1人は、意外に多いと思われる方も多いのではないでしょうか?

条件としては、最低基礎控除額3600万円を超える遺産を持っていると原則として納税の義務が発生します。

今回は、そんな意外と納税者が多い相続税を節税するための対策とポイントをご紹介。

10以上の節税対策を網羅しているので、ぜひご覧ください。

節税対策の効果的な方法

節税対策の効果的な方法は、3種類あります。

1.相続財産そのものを減らす

2.財産の評価額を下げる

3.特例や控除を利用する

以下は、それぞれの種類に応じた節税対策をご紹介していきます。

1.相続財産そのものを減らす

1-1.毎年コツコツ110万円贈与し、10年で200万円の節税効果

人が亡くなったときに遺産を相続する人が納税するのが相続税ですが、まだ生きている間に大きな財産をもらった場合は、贈与税が発生します。

そして、贈与には年110万円の基礎控除があり、年110万円以下であれば贈与税がかかりません。

具体例としては、たとえば親が毎年子ども2人に110万円を10年間贈与した場合、トータルで2200万円もの遺産総額を減らしたことになります。

そうすると、節税効果はおよそ200万円となり、遺産総額が6400万円以下であれば基礎控除額4200万円(3000万円+600×法定相続人の数2人=4200万円)を生前贈与によって下回らせることができます。

つまり、相続税をゼロにできる可能性もあるということです。

1-1-1.生前贈与の注意点とリスク

よくある例として、子ども名義の口座にコツコツと贈与しながら、通帳やキャッシュカードをご自身で管理されているケースです。

この場合、税務署側としてはただ名義を子に変えただけで実質的には親が管理しているので、贈与した分を相続税に加えるよう指示します。

このようなミスが起きないように、生前贈与を実行している通帳やキャッシュカード、印鑑は、子どもに渡して自由に使わせてあげるのがよいといえます。

1-2.養子縁組で法定相続人を増やすと、約2000万円節税できる

養子縁組によって相続人が増えると、次の三つの大きな節税効果が得られます。

1.相続人が増えることで基礎控除額が増える(3000万円+600万円×法定相続人の数)

2.税率が下がる

3.生命保険金・死亡退職金の非課税枠が増える(500万円×法定相続人の数)

相続人が「子ども1人」「子ども1人+養子1人」の場合、遺産総額が1億円なら450万円、2.5億円なら約2000万円以上の節税効果になります。

さらに、遺産総額が5億円の方の場合、節税効果は4000万円近くと非常に大きくなり、その後遺産が増加するにつれて養子縁組による節税効果は大きくなっていきます。

そのほか、親族以外に遺産を相続したいという際にも、大いに利用価値のある制度です。

1-2-1.養子縁組で法定相続人を増やす節税方法の注意点とリスク

節税効果の大きな養子縁組ですが、注意点には下記のようなものがあります。

1.相続人として選べる養子の数には制限がある

法定相続人に含める養子の数には制限があり、実施がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなっています。

2.節税目的の養子縁組は税務署に否認される場合も

たとえば、養子にも財産を残してあげたいといって養子縁組を使って遺産相続を行ったけれども、実際の相続時に1円も相続されていないとなれば、後から税務署に「節税目的の養子縁組」と判断されるリスクがあります。

内心では相続税の節税目的があるにしても、現実として養子にも遺産を相続させてあげることが重要です。

1-3.生命保険に加入して「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠を利用する

生命保険に加入するだけで相続税を節税できる対策です。

特別な控除として、生命保険金については「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠があります。

例えば法定相続人が2名の場合、500×2名=1000万円以下の保険金であれば相続税が非課税となるのです。

したがって、1000万円以下の終身保険に入れば、無税で1000万円を相続できるということになります。

1-3-1.生命保険に加入して非課税枠を利用する際の注意点とリスク

生命保険の注意点は、加入に年齢制限があることです。

80歳から90歳までと幅広いプランが販売されていますが、時期によっては販売されていないこともあるため、遅くとも80歳になるまでには加入しておけば不安がありません。

ちなみに、相続税対策として保険に加入するなら、一時払い(積立金を一括で払う方法)がおすすめです。

病気の審査や告知等が少なく、月ごとの積み立てに比べて支払う額も少なくなります。

1-4.仏壇や墓地の購入

墓地や墓石、仏壇は祭祀財産と呼ばれ、相続税法上では非課税扱いとなっています。

そのため、生前に墓地や仏壇を購入した分だけ節税することが可能です。

1-4-1.仏壇や墓地の購入を利用した相続税対策の注意点とリスク

仏壇や墓地をローンで購入する場合、ローンの返済中に本人が死亡してしまうと、未返済分は相続税の対象となってしまいます。

相続税対策で仏壇や墓地を購入するなら、一括で行うのがよいと考えられます。

2.財産の評価額を下げる

不動産の相続評価額を下げることで、大きな節税効果が得られます。

2-1.土地を分筆して土地の相続税評価額を大きく引き下げる

市街地の土地は、路線価を基準に価格が決まります。

2本以上の道路と接している土地は価格が高いので、「2本以上の道路と接している土地A」と「1本の道路としか接していない土地B」に分筆して土地の利用区分変更をすることで、相続税評価額を大きく下げることができるのです。

2-1-1.土地の分筆で節税する方法の注意点とリスク

リスク等はあまりありませんが、非常に専門性の高い方法なので、実行したいときは税理士に相談するのがよいでしょう。

2-2.空いた土地にアパートなどを建築する

空いた土地に建物を建築することで、土地の評価額を大幅に下げることができます。

一般に、空いた状態の土地は地主が自由に利用できるため「自用地」とされ、用途を自由に決められるため評価額も高く評価されます。

建物を建てることで自用地は「貸家建付地」となって価値が下がり、評価額が下がります。

また、建物の価値は建築にかかった約6割程度に評価されるため、数千万円の節税が可能です。

2-2-1.空いた土地を利用して節税する際の注意点とリスク

大きな相続税の節税効果が望めますが、注意点もあります。

まず1つに、賃貸不動産は実際に賃貸してはじめて評価減となり、空室の部屋は評価減の対象とならない点です。

そのため、相続時点でほぼ満室経営状態である必要があります。

また、当然ですが、空室が増えてくると資金繰りが悪化するリスクもあります。

相続税の節税効果以上に、立地が賃貸事業に適しているか、実際に運営していけるかをしっかり見定めたうえで行う必要があるといえるでしょう。

2-3.ワンルームマンションを購入して相続税を300万円節税できる

例えば、ワンルームマンションを1000万円で購入すれば、約300万円が節税できます。

具体的には、評価額は購入額の25%~35%程度になります。

また、マンションの一室を保有するだけなので、アパートやマンションの建築に比べれば手軽に実行できるのもメリットです。

2-3-1.ワンルームマンションを購入する節税法の注意点とリスク

空いた土地にアパートやマンションを建築する場合と同様に、賃貸として出すのであればその部屋が賃貸事業に適した部屋なのか、不動産業を続けていけるのかをしっかり見定める必要があります。

3.特例や控除を利用する

特例や控除の利用によって、数百~数千万円の節税ができます。

3-1.葬儀に関連する費用は控除してもらえる

300万円までであれば、遺産のうちの葬儀費用は控除してもらえます。

葬儀に関連する費用として控除できるものの例としては、以下の10種類があげられます。

1.医師の死亡診断書

2.通夜、告別式の費用

3.葬儀場までの交通費

4.葬儀の飲食代

5.遺体の搬送費用

6.火葬料、埋葬料

7.お手伝いさんへの心づけ

8.運転手さんへのお車代

9.お布施、読経料、戒名料

10.納骨費用

3-1-1.葬儀費用の控除を利用するうえでの注意点とリスク

リスクはありませんが、領収書が準備できない「お布施」なども実際に支払ったものであれば相続税から控除することができるので、何月何日にいくら支払ったなどをメモしておくとよいでしょう。

3-2.小規模宅地等の特例を有利に選択して相続税の負担を軽減

小規模宅地等の特例とは、限度面積以下の土地評価額を大幅に減額してくれる制度です。

「居住用」「事業用」「貸付事業用」という3つの種類があり、それぞれに限度面積が異なります。

また、それぞれを組み合わせて、最も評価額が低くなる組み合わせを選ぶことも可能です。

限度面積の表

居住用

330㎡

事業用

400㎡

貸付事業用

200㎡

3-2-1.小規模宅地等の特例を利用する際の注意点とリスク

複数の土地が小規模宅地等の特例の対象となる場合は、その組み合わせによって有利不利が生じます。

そのため、最も有利な組み合わせを計算することで、相続税を節税しなければなりません。

ただし、小規模宅地等の特例の適用や組み合わせの方法は専門性が高く煩雑なので、税理士にお任せするのが良いでしょう。

3-3.分散して大きく贈与することで税率を下げる

財産の多い人は、110万円を超えてでも贈与した方が節税になることがあります。

すでにご紹介した110万円をコツコツと毎年贈与する方法の場合、たとえば財産が2億円以上ある方には効果が薄く、大きな節税が行えません。

そこで、累進性が大きくなり過ぎない範囲で贈与を行うという方法も考えられます。

たとえば、20歳以上の子や孫に贈与した場合、年間500万円を贈与しても49万円の贈与税で済みます。

これは、実効税率にしてみると9.8%ほどと相続税の最低税率10%を下回ります。

このように、多少の贈与税を支払っても相続より贈与の方が有利という方も存在するのです。

3-3-1.大きく贈与する際の注意点とリスク

注意点は110万円の生前贈与の場合と同じですが、改めて詳しく以下にまとめました。

<生前贈与実施時の守るべき注意点>

1.生前贈与の契約書を作成して、贈与者と受贈者それぞれが署名捺印をする

2.贈与後は、通帳、キャッシュカード、印鑑をすべて渡しておく(もらったらすぐ使える状態にしておく)

3.毎年贈与する日にちを変更する(毎年年始などを選んで贈与すると、税務署のチェックに引っかかる可能性がある)

3-4.子や孫への教育資金贈与の特例で1500万円

「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」では、子や孫1人につき1500万円までの教育費用の贈与が非課税になります。

110万円に比べると大変大きな金額を無税で贈与できるので、非常に節税効果が高いといえます。

3-4-1.教育資金贈与の特例の注意点とリスク

リスクはほとんどありませんが、以下の条件を守りましょう。

1.親か祖父母から、30歳に満たない子や孫への贈与であること

2.信託銀行等に預金すること

まとめ

今回は、相続税を節税するためのテクニックについて、その注意点とリスクについて網羅的にご紹介しました。

方法はたくさんありますが、専門性も高く自分一人で徹底的に行うことはほぼ不可能です。

今回の記事で身に着けた知識をもとに、節税対策についてぜひ税理士さんのところへご相談に行ってみてくださいね。

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