2019-08-08
葬式のネクタイは黒でないといけないのか?悲しい過去の黒に秘めた歴史
この記事の目次
葬式の時に男性が着るスーツは黒、ネクタイも黒というのは皆さんご存知ですよね。
女性ももちろん、黒いスーツやワンピース、ストッキングや靴、バッグまで黒で統一です。
和服も全身黒になります。
これはもう、決して揺るぎのないマナーのようです。
そもそも、どうして葬式というと黒い色ばかりなのでしょうか。
このように黒い色だけの服装は日本だけなのでしょうか。
改めて考えてみると、謎ですよね。
そして、葬式というセレモニーは日本ではとても厳かで沈痛なことが多いようです。
これは、黒の喪服と何か関係があるのでしょうか。
この記事では葬式のネクタイはなぜ黒なのか、黒の喪服に秘められて想いなどの原点に迫ってみたいと思います。
ぜひ、ご覧になり子孫に語り次いでいただけると嬉しい限りです。
葬式のネクタイは黒でないといけないの?
葬式のネクタイは黒が一般的なマナーのようです。
きっと皆さんも葬儀、葬式に出席された時に、黒以外のネクタイを締めた男性を見たことはないと思います。
男性の葬儀、葬式の服装はブラックフォーマルのスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイ、ベルト、黒の靴、黒の靴下までというのが基本中の基本です。
基本であるマナーを守り、おしゃれにならない程度の服装が大切になるようです。
ですが、お通夜などでは黒のネクタイを締めない場合もあります。
お通夜でも黒のネクタイでないといけない?
お通夜というのは、急な知らせによることが多いものです。
それが、会社にいる時や出先だったりしたら急遽駆けつける場合に支度ができません。
かといって、一度自宅に戻るのも大変だったりします。
会社で着ているスーツで、それほど派手なものでなければOKなようです。ネクタイもダークな色ならお通夜に限り、そのままでも大丈夫なようです。
ところが、最近の買い物事情は便利になりすぎているようで、ネクタイ、靴下程度はコンビニでも100円ショップ、駅のキオスクなどあらゆるところに売っています。斎場に売っていることもあるそうです。
お通夜というのは地味なものであれば喪服でなくてもよい、ということが原則としてあります。お通夜に出席する際には平服でもかまいませんが失礼のない地味な服装を心がけるようにしましょう。
ネクタイも必ずしも黒でなくても良いようですが、シンプルでダークな色のネクタイをすることがマナーだと言われています。
お通夜に完璧な喪服で遺族の印象
お通夜は急な訃報で、仕事中や出先で知らせを受けることがあります。
お通夜が始まる時間までに喪服の準備はできないとしたら平服で行くしかありません。
ですが、黒いネクタイはコンビニなどで売っているのです。
お通夜で喪服を着ていくと、「まるで死ぬのを予想していたみたいで失礼」という考え方と喪服を着ていかないと「お通夜でもコンビニで黒いネクタイは売っているのだからネクタイぐらい買って着用すれば良い」という考え方があるようです。
どちらがいいのか迷ってしまいますね。出席する人と故人や遺族の方との関係性にもよりますが、一般的には黒のネクタイで出席する方が失礼のないマナーと言えそうです。
宗教が違うと葬式も違う
日本にはたくさんの宗教があります。それは、信仰の自由が認められているからです。
大きく分けると神道系、仏教系、キリスト教系、その他になります。
そうなると、葬式に対する考え方も違うのでしょうか。
神道系の一部で白いネクタイをする宗派もあるようですが、あまり目にすることはないですよね。
白のネクタイをする考え方としては、人の死は悲しむべきではなく、神になることなので祝福すべきこと、のような意味があるそうです。
キリスト教は黒いネクタイのようです。
やはり、葬式での黒のネクタイは一般的なマナーとして捉えていた方が間違いないようです。
色は黒、素材は?
葬式のネクタイは黒のネクタイがマナーになります。
素材は、光沢のない無地のものであれば良いようです。
中には、ちょっとおしゃれな刺繍(ししゅう)入りや織り込み模様が入ったネクタイも売られているようですが、葬式には相応しくありません。
その手のネクタイは法事などに着用できるようです。
ちなみに、白いワイシャツは襟型がレギュラー・ワイドのシンプルなものがおすすめです。
社会人になったら葬式用の黒のネクタイを1本は買っておきましょう。
葬式でのネクタイの結び方
ネクタイといえば、いくつもの結び方があるようですが、葬式ではどのような結び方がよいのでしょう。
一般的だと言われているプレーンノットという結び方が良いそうです。これは、結び目を小さくして全体をスッキリ見せるようです。
もう1つは、ウィンザーノットという結び方で、結び目が逆三角形になります。そして、葬式には相応しくないのがディンプルです。ディンプルとは、ネクタイを結ぶ時にできる結びみ目のくぼみで、これがあるとネクタイを結んだ時に格好良く見えるのですが、葬式には合わないので注意しましょう。
ネクタイピン・カフス
葬式でネクタイピンは外すようにします。葬式のマナーとして、おしゃれや光ものはマナーに反します。カフスも同様に外しましょう。
ポケットチーフも葬式では相応しくないようです。ハンカチはポケットにしまいましょう。
ちなみに、ハンカチも白か黒が基本です。
葬式の喪服はなぜ黒だけしか着てはいけない?
喪服といえば、黒が定番になっています。しかも、ネクタイ、ベルト、靴下、靴に至るまで黒で統一するのがマナーです。
日本の葬式は昔から黒い喪服だったのでしょうか。
いえいえ、そんなことはないようです。昔は日本や韓国、中国の喪服は白だったようです。
皆さんのご記憶にもあるかと思いますが、歌舞伎役者の中村勘三郎さんの葬式では奥様の好江さんが白い喪服を着ていました。
周りが黒の喪服ばかりだったので、ひと際目立っていましたね。
白い喪服は、未亡人となり「再婚はしない」または「夫以外の色には染まらない」といった意味があるそうです。
そして「二夫は交えず」といった意味もあり、戦前は普通の風習だったようです。
さすが、歌舞伎役者の奥様はやることが違いますね。亡くなった旦那さまの中村勘三郎さんもあの世でさぞ、お喜びでしょう。
でも、そうなると葬式で白の喪服を着るということはタブーでもないのでしょうか。
喪服の歴史
古代の葬式では、故人、遺族、参列者は白の喪服を着ていたようです。
宮中の貴族などは黒の喪服を着ることが定められていたこともあるようですが、一般人には浸透していませんでした。
日本では、千年以上に渡り白の喪服が主流だったということです。
東アジアでは、儒教の思想からか白を穢れ(けがれ)ない、清浄、清純とした象徴としていたようです。
実際、日本では戦前は葬式の喪主は白の裃(かみしも)、女性は白の綿帽子を着用するといったこともありました。
喪服の色が白から黒に大きく変わったのは明治維新で欧米の文化に影響されてからのようです。それでも、一般の人は白の喪服を着ていることが多かったとあります。
それは、白い生地を黒く染めるには費用がかかったからとも言われているようです。
ところが、その後、日本は第二次大戦などの戦争の惨禍に襲われます。
戦争となると、死者が絶えません。そうなると、葬式も連日のように行われます。
白の喪服は汚れやすく、汚れが目立ってしまいます。
そこで、大手喪服貸衣装屋さんが、汚れの目立たない黒の喪服で統一させてしまおうという手段を講じました。
それと相まって、日本は連合軍の占領下にあったため黒の喪服は世間を瞬く間に行き渡ったということです。
喪服が黒に浸透するまでには、日本の悲しい歴史が背景にあったのですね。
海外でも喪服、ネクタイは黒がマナー?
これまでの喪服の歴史を振り返ってみると、白の喪服だったり、黒の喪服だったりを繰り返していたようです。
それでは、海外の喪服は黒なのでしょうか。それとも決まりはないのでしょうか。
海外と日本では文化が違います。
テレビなどで韓国人の葬式の様子を見ると喪服は黒かったようですが、中国人は普通の服装でした。アジアでも台湾、シンガポール、中国などは礼服や喪服を着る習慣がないようです。
ヨーロッパの方はどうなのでしょう。
やはり、ドラマや映画などを見ると黒い服装だった気がしますが。
イギリスでは、黒の喪服といったマナーはないにしろダークなスーツ、ダークな色合いの服装が主流ということです。それでも、あまり厳しいマナーはないので割と自由な服装でも失礼にはあたらないようです。
また、アメリカでは皆さんご存知のように、キリスト教の方がたくさんいます。
日本の葬式の場合は宗教が何であれ、黒の喪服がほとんどですがアメリカでは遺族や葬儀屋以外は黒い喪服でなくても良いということです。
ネクタイに関しても決まりはないようですね。
そして、葬式というセレモニーは笑ったり騒いだりしてはマナー違反だということは世界共通なようです。
ただ、葬式の服装はあまりマナーにうるさくないのが海外の特徴といったところですね。
こう考えると日本の葬式は黒で統一する、服装のマナーが厳しいということが分ります。
もし、自分の葬式はそんなことは気にしないで欲しいといった思いがあるようでしたら、エンディングノートなどに書いておくと安心ですね。
まとめ
日本の葬式では黒の喪服を着ることがマナーです。
男性のネクタイも黒がマナーとなります。お通夜などやむを得ない場合はダークな色のネクタイなら許容範囲になりますが、できるだけ黒のネクタイを準備しましょう。
また、宗教や宗派によっては白の喪服、白のネクタイを着用する場合もありますが日本では黒の喪服、ネクタイが一般的です。
喪服が黒である意味は、日本が第二次大戦で敗戦したことによる影響もあります。
それだけ、たくさんの犠牲者を出し、連日のように葬式をあげなければ白の喪服から黒の喪服に変わらなかったかもしれません。黒のネクタイも存在しなかったかもしれません。
皆さんにも、黒の喪服の背景にはこのような悲しい歴史があることを忘れずにいて欲しいと願わずにはいられません。
最後に、戦争で犠牲となった方々のご冥福をお祈りして記事を終わりにしたいと思います。