2019-08-08

遺産相続についての基礎知識~遺言書を残すことの大切さ~

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遺産相続についての基礎知識~遺言書を残すことの大切さ~

この記事の目次

人によっては、終活最大の目玉にもなる遺産相続。

この記事では、遺産相続についての基礎知識と相続発生時からの流れをご紹介します。

相続する側、される側のどちらにとっても重要な内容となっていますが、特に遺産を残す側である方は必見です。

遺言書を残すことの大切さに気が付くはずですよ!

 

そもそも遺産相続とは?

遺産相続とは、亡くなった方が所有していた財産(権利や義務)を特定の人が引き継ぐことを指します。

一般的にいえば、亡くなった方の財産をその配偶者や子どもがもらうことです。

民法では、亡くなった方を被相続人、遺産をもらう人を相続人といいます。

相続される遺産としては、具体的に以下のようなものがあります。

 

  • 現金、預貯金

  • 車、貴金属などの動産

  • 土地・建物などの不動産

  • 株式などの有価証券

  • 著作権・特許権・賃借権などの権利

  • 負債、ローンなどの債務

 

遺産相続の要は、これら遺産を公平に分配する遺産分割です。

遺産分割は、相続人全員が協議・相談して遺産分配の割合や具体的な内容を決定します。

これを「遺産分割協議」といいます。

それでは、どんな場合に遺産分割や遺産分割協議が必要となるのでしょうか?

 

遺産分割が必要なのはどんなケース?

遺産相続は大変と言われますが、それは遺産分割が親族間の関係悪化や、ひいては絶縁のきっかけにもなるからです。

しかし、遺産分割協議をする必要がなく、スムーズに完了するケースもあります。

遺産分割が必要なのは、以下の2つの場合です。

 

  1. 遺言書がない場合

  2. 相続人が2人以上の場合

 

それぞれ順に見ていきましょう。

 

遺言書がない場合

遺言書がない場合、遺産の分配を相続人全員で相談する「遺産分割協議」を行うことになります。

「遺産分割協議」の末に作成するのが、遺産分配の仕方をまとめ、相続人全員が署名押印した遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、預貯金口座から相続分の預金を引き出す際や、不動産での名義変更を行う際など、遺産を実際に受け取る場面で提出を求められる大変重要な書類となります。

しかし、遺言書がある場合は、遺産分割協議を行う必要がありません。

それは、遺産相続が被相続人(亡くなった方)の意思を尊重して行われるものだからです。

そのため、のちに遺産相続の流れについてもご紹介しますが、遺産相続はまず遺言書の有無を確認するところから始まります。

終活中の方には、ご自身の亡くなったあとに親族が円満な関係を維持できるよう、遺言書を準備することをおすすめします。

遺言書の書き方も、のちにご紹介します。

 

相続人が2人以上の場合

相続する人の人数が2人以上の場合、分配の割合を決める遺産分割協議が必要です。

逆に相続人が1人の場合は、遺産を分割することなく相続するので、遺産分割協議は不要で極めてシンプルな遺産相続となります。

ちなみに、遺産を相続する人がおらず遺言もない場合、財産は国庫に帰属するものとされています。

天涯孤独だという方は、身内ではなくてもお世話になった人や、応援したいNPO法人に財産を遺贈するよう遺言書に記しておきましょう。

大切な財産をご自身の意思に沿って活用することができます。

 

遺産相続でトラブルにならないために押さえておきたい4つのポイント

遺産相続の全体像を見る前に、トラブルを避けるための4つのポイントをご紹介します。

遺産を相続する側にとってはもちろんのこと、遺言書を残すうえでも確認しておきたいポイントです。

 

  1. なにを相続するのか?

  2. 誰が遺産を相続するのか?

  3. 相続する遺産の割合は?

  4. 相続税がどれくらいかかるのか?

 

それぞれ順番にご紹介します。

 

なにを相続するのか?

まず重要なのが、被相続人の持っていた財産を具体的に把握することです。

財産を網羅できていないと、遺産分割協議を始めることができません。

相続財産を確定させるためには、被相続人の自宅に保管されている財産関係の資料を探します。

具体的には、預貯金通帳や出資金などの証書、不動産の権利証などがその対象となります。

 

誰が遺産を相続するのか?

すでにご紹介した通り、遺産の分配は相続人全員が参加する遺産分割協議によって行います。

そのため、協議を行う前提として誰が相続人なのかを漏れなく調査する必要があるのです。

これを、相続人調査といいます。

相続人調査をするときは、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本等を取得して、親族関係を洗い出します。

つまり、前妻との間に子供がいたり、過去に認知や養子縁組をしていたらその人たちも相続人となるのです。

漏れなく相続人調査を行うためには、最新の戸籍から出生の戸籍までを遡って調査する必要があります。

 

相続する遺産の割合は?

相続財産と相続人が決まったら、次は遺産の分割割合を決める必要があります。

遺産分割の割合は、基本的には民法によって定められています。

そのため、一般的には民法の定めるところの法定相続人と法定相続分に応じて遺産を分配します。

これと異なる割合で遺産を分割したい場合は、遺言書を残しておくのが良いでしょう。

遺言書がない場合は、相続人同士の話し合いによって法定相続分と異なる割合で遺産を分配します。

 

相続税がどれくらいかかるか?

遺産相続をする際には、相続税のことも忘れてはいけません。

相続税は遺産を相続する際にかかる税金ですが、特に近年は、相続税の基礎控除額が引き下げられたことで相続税の対象者が大幅に増えています。

また、不動産の評価額などの遺産が予想以上に高額になり、やむを得ず自身の土地や建物を売却する羽目になってしまったといったケースもあります。

こういったことを避けるためには、生前から相続税対策のをしておく必要があります。

 

以上の4つのポイントを知っておけば、続いてご紹介する遺産相続の流れもスムーズに理解ができます。

 

遺産相続の流れ、手続きの期限など

相続に必要な手続きには期限があります。

まず、相続発生から3か月以内は相続の熟慮期間とされ、相続する・しないを自分で決めることが可能です。

しかし、相続する・しないを判断する前に、「自分が本当に相続人なのか」「相続する財産はプラスとマイナスどちらがどれくらい多いのか」などを把握しておく必要があります。

それ以外も同様で、申請や控除の手続きはいずれも期限付きです。

 

3か月以内にやらなければならないこと

  • 遺言書の確認

  • 遺言書の検認

  • 相続人調査を行う

  • 相続財産を調査する

  • 遺産分割協議を行う

  • 限定承認、相続放棄

 

10カ月以内にやらなければならないこと

  • 遺産分割協議書の作成

  • 相続手続きを進める

  • 相続税申告、納付の手続き

 

1年以内の相続手続き

  • 遺留分減殺請求

 

3年以内の相続手続き

  • 配偶者相続税軽減の手続き

 

それぞれ順番に解説していきます。

 

遺言書の確認

遺言書の確認は、相続発生から3か月以内に行わなければなりません。

すでにご説明した通り、遺産相続は遺言書があるかどうかでその後の手続きの進み方が大きく変わります。

遺言書がある場合は、基本的に遺言書の内容に従って遺産を分割しますが、遺言書がない場合は相続人全員が協議をして遺産の分け方を決めなければなりません。

そこで、被相続人が亡くなったあとは、まず遺言書の有無を確認する必要があるのです。

ちなみに、遺言書は被相続人が使っていた机の引き出しやタンスの中、棚の中などに保管されていることが多いようです。

被相続人が公正証書遺言をしていた場合には、公証役場で検索をすることで入手することができます。

 

遺言書の検認

遺言書を発見した場合には、まず家庭裁判所で検認の申し立てを行いますが、こちらの期限も3か月以内となっています。

検認が必要な理由は、ありのままの遺言書を保全することで、隠匿や毀損、改変といった不正行為を防ぐためです。

検認を申し立てると、家庭裁判所から検認の期日の連絡が各相続人らに来ます。

検認当日に家庭裁判所へ行くと、出席した相続人の目の前で遺言書の開封と確認が行われ、検認済証明書を遺言書に添付してもらいます。

検認済証明書が添付されていることで、不動産の名義書換などを行うことが可能となります。

 

相続人調査を行う

遺言書がない場合、遺産分割協議を行う前に相続人調査を行う必要があります。

相続人調査とは、具体的にいえば被相続人の戸籍を出生時まで遡ることをさします。

極めて手間のかかる仕事なので、相続に詳しい弁護士や司法書士に依頼するケースが多いようです。

 

相続財産を調査する

財産調査は、基本的に自宅の調査となります。

特に見るべきなのが、郵便物です。

不動産を所持していれば、固定資産税の納付書が届きますし、クレジットカードの請求があれば借金の有無についても気づくことができます。

 

遺産分割協議の開始

遺産の分配割合を決めるために話し合うことを「遺産分割協議」といいます。

協議だからといって、特別な方法があるわけではありませんが、次の2点には気を付けましょう。

 

  • 相続人全員が協議に参加すること

  • 協議の結果を書類に残すこと

 

相続人が一人でも欠けていると、その協議は無効となります。

相続人が子ども、または高齢で協議に参加できない場合は、代理人を立てることになります。

協議の結果を残した書類のことを遺産分割協議書といいますが、これは相続人全員の合意を証明するための書類です。

その証拠に、全員の署名捺印が必要となっています。

遺産分割協議書の作成については、のちにご紹介します。

 

遺産分割調停、審判

相続人同士の意見が合わなかったり、また協議に参加しようとしない相続人がいたりする場合、家庭裁判所を通して協議を行うことになります。

 

限定承認、相続放棄

相続放棄とは、一切の遺産相続をせずに放棄してしまうことです。

基本的には、プラスの財産よりも借金の方が多かった場合などに利用されます。

3か月の熟慮期間のうちに相続放棄しなければ、身に覚えのない借金を背負うことになるため、早めの調査と対応が必要です。

一方の限定承認とは、共同相続人全員が協力して家庭裁判所に申し込むもので、プラスの財産とマイナスの財産で相殺し余ったものを相続できるという方法です。

ただし、限定承認は手続きが煩雑なこともあり、件数は多くありません。

 

遺産分割協議書の作成

相続税の申告期限である10カ月以内に、遺産分割協議の内容を書面にまとめておく必要があります。

書面は手書き、ワープロを問いません。

分割の内容をしっかりと明記したうえで、全員の署名押印があることが遺産分割協議書の重要なポイントとなります。

部数としては、相続人全員分を作成し一人一通ずつ保管しておくと安心かつ不便がありません。

 

各種の相続手続きを行う

相続手続きとは、預貯金の払い戻しや不動産の名義書換、株式名義の書換などのことをいいます。

預貯金の払い戻しを受けたい場合には、金融機関に遺言書または遺産分割協議書を持参すれば払い戻しを受けることが可能です。

同様に、不動産の名義書換では法務局に遺言書または遺産分割協議書を持参すれば、被相続人名義から相続人名義に書き換えることができます。

 

相続税の申告、納付の手続き

基礎控除額(=3000万円+600万円×相続人の数)を超える遺産がある場合、相続開始後10カ月以内に相続の申告と納税を行わなければなりません。

これを過ぎると、ペナルティとして高利率の利子税がかかってくるので、注意が必要です。

 

遺留分減殺請求を行う

遺言書の内容が、法定相続人にとってあまりに損なものであった場合、遺留分減殺請求を行うことで遺留分に限り相続を受けることができます。

こちらは相続開始後1年以内。

一般的な方法としては、遺留分を侵害している相続人に対して遺留分減殺通知書を送ったり、遺留分減殺調停を起こすなどします。

 

相続税を軽減する手続きを行う

相続税には、控除や軽減制度がたくさんあります。

たとえば、配偶者控除を利用すれば、被相続人の配偶者は1億6000万円までの遺産を相続税なしで相続することが可能です。

また、小規模な宅地の評価額を5割~8割に軽減してもらえる小規模宅地の特例などもあります。

ただし、これらの軽減措置を受けるには期限と条件があり、相続税の申告の際に「申告期限後3年以内の分割見込み書」という書類を提出することと、遺産分割協議後4カ月以内に税務署に対して構成請求という手続きをすることが条件となります。

 

まとめ

遺産相続の基礎知識と全体の流れについてご紹介しました。

遺産を残す方は、正確な遺言書を準備することで相続する家族・親族の手間を大幅に軽減することができます。

ぜひ、遺産相続に詳しい弁護士等に相談し、終活の目玉とも呼ぶべき遺言書を確実に残しましょう。

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