2019-09-09
香典袋|水引の種類と結び方を解説
この記事の目次
お葬式や法事などで香典を入れる袋のことを香典袋といいますが、どれぐらいの種類があるのかご存知でしょうか?
私たちが普段、目にする香典袋は水引の色が黒白のものが多いように思えますが、実は香典袋は水引の色だけでも4種類もあるのです。
一般的に使われる香典袋の水引はこの黒白のようですが、他にはどんな色のものがあるのでしょう。また、香典袋にはなぜ、そのように色々な種類があるのでしょうか。
この記事では、香典袋の水引の色や結び方によっての使い分けを解説しています。
ぜひ、ご覧になり今後の葬儀、法事の際にお役立てください。
香典とは
香典袋の香典、これは何を意味するものなのでしょうか。
「香」には香るということでお線香の香を意味、「典」にはお供え物という意味があるようです。法事などでお金をお供えする、つまり香典を渡すときにはお線香代として、という意味もあるので納得する話でもありますね。
香典 上書き
香典を渡すときには表に上書きするのですが、上書きには宗教によって使用できるものとできないものがあるようです。
葬式や法事などで香典を渡す際に、故人が信心する宗教が分かっていれば良いのですが、分からない場合は上書きに「香典」と書くことが無難なようです。
「香典」は「御霊前」や「御仏前」「御佛前」などの意味を含んだものなので一般的な仏教の弔辞に使うことができます。
しかし、キリスト教ではお香を焚く習慣はないため「香典」も使うことはないようです。
「御仏前」「御佛前」「御霊前」何が違うの?
香典袋に上書きする際に「御仏前」なのか「御佛前」なのか「御霊前」なのか悩んだことはありませんか?
その違いは香典を渡すタイミングにあるようです。
それでは、その違うタイミングを詳しく見ていきましょう。
・「御仏前」「御佛前」
この「御仏前」と「御佛前」は同じ「ごぶつぜん」と読みます。
この「御仏前」と「御佛前」は意味も同じで仏教のみで使われるということです。
「ごぶつぜん」を上書きとして使うのは、四十九日以降の法事というタイミングになります。
「御仏前」の仏(ぶつ)は仏(ほとけ)ということです。つまり、故人のご冥福を祈り喪の期間が終わった喪明けの時期である四十九日以降ということになります。
故人が霊となり、あの世に旅立つ準備、仏となるのは四十九日以降となるわけです。
そのためお通夜以降の四十九日には「御仏前」「御佛前」の上書きをしましょう。
また、「御仏前」「御佛前」の上書きが使えるのは仏教でも宗派によって違いがあるようです。
仏教でも浄土真宗などの真宗は故人が亡くなった当日から霊ではなく仏になると考えられているのでお通夜からのタイミングで「御仏前」「御佛前」の上書きが使われるようです。
ちなみに、キリスト教では仏になるという考え方がないため、「御仏前」「御佛前」は使われません。
・「御霊前」(ごれいぜん)
「御霊前」を上書きに使うタイミングはたくさんあります。
「御仏前」「御佛前」が四十九日以降なので、その前のお通夜、葬式や告別式、初七日まで「御霊前」を使うことになります。
また、先述と同じ理由から浄土真宗などの真宗はお通夜または葬儀から「御仏前」「御佛前」の上書きを使うようです。
キリスト教は故人が亡くなった瞬間から天に召されるという考え方のため「御霊前」という上書きではなく「お花料」とされます。
香典袋 準備の仕方
香典袋の上書きは多少、融通が利くようですが香典袋を選ぶときにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
法事などの際には前もって知らされていますが、お通夜やお葬式は突然の知らせです。
そんな時に慌てなくても済むように注意点だけでも抑えておきたいですね。
香典袋 表書き
香典袋に種類があり、タイミングによって上書きが違うことが分りました。
それは、「御仏前」「御佛前」や「御霊前」ですが、これは自分で書かなくてはいけないものなのでしょうか。
日頃から、お習字の心得がある人はいいですが、なかなか難しい字です。
そのように、字に自信がないという人には上書きの文字が印刷されているものが売られています。コンビニや駅のキオスクなどで見たことがありますよね。
印刷されているのは1種類だけではなく、「御仏前」「御霊前」「お香典」などと書かれた数種類の短冊が入っている香典袋もあります。
これを利用すれば、突然の訃報でお通夜にいく時も慌てなくてすみますね。
水引とは何?
そもそも、水引とは何を表しているのか分からない人もいるのではないでしょうか。
水引とは香典袋の真ん中に掛かっている帯状の紐(ひも)のことです。
普段はあまり香典袋を観察することもないので何となく見逃してしまいますよね。
水引の意味には、未開封である証拠としての意味と魔除けとしての意味があるようです。
また、仏教が日本に渡ってきた室町時代の頃に、中国からの輸出品や贈り物が紅白の縄で縛られていたということが水引の原点だと言われています。
水引 色別用途
水引は香典袋以外でも、結婚式の祝儀袋、贈答品を包んだ紙や袋などに使われています。
水引は色で使用用途が分けられているようです。
結婚式で使われるご祝儀袋の水引は紅白や金銀ですが、弔辞である葬儀、法事で使われる香典袋の水引は黒白、銀の色が多いようです。
・黒白
一般的に私たちが使う香典袋はこの黒白が多いようです。一般的に使えるのは青白もあるようですが、見たことがないという人の方が多いのではないでしょうか。
この黒白の水引は全国的に使うことができるようです。
・黄白
黄色と白の水引は、関西地方で使われることが多いようです。関東では見ることはありませんよね。
また、京都では黒白の水引は公家や宮家が使う紅白の水引と同等であると考えられているようです。
同じ関西でも、葬儀は黒白の水引、四十九日以降の法事には黄白を使うこともあるようです。
・双銀
双銀というのは銀色だけの水引で、高額の香典の場合に使われるようです。
どうりで、見たことがないわけですね!
金額に決まりはないようですが、高額ということで5万円以上の香典を包む際に使われるということですよ。
きっと、お金持ちさんや芸能人しか使わないのでしょうね。
ですが、この双銀の香典袋は日本全国で売られているようです。
皆さんも、香典袋を購入する機会があったら見てみてください。
水引 本数の原点
これもまた、意識したことがないので水引の本数など気にしたことがないという人がほとんどではないでしょうか。
実はこの本数にも深い意味があるのです。
香典袋の水引の本数は奇数本数で使うことが基本とされています。これは、古代中国の陰陽説である、偶数を陰数、奇数を陽数と表す意味。
水引の本数の基本は5本ということですがこれも、中国の五行説が影響しているといわれています。
3本結びは5本結びを簡素化、7本結びは5本結びをさらに丁寧にしたもの。
結婚式などの婚礼に関するものは、例えば10本であっても偶数と捉えるのではなく、奇数の5本を倍にした二重陽結びとして豪華さを表すようです。
ただし、9本は奇数ですが「苦」を表すとして忌み嫌い、使うことがありません。
水引 結び方の違い
水引には本数ばかりの拘り(こだわり)だけではなく、結びかたにも拘りがあります。
水引の結び方は一度結んだらほどけない結び方、何度ほどけても結び直せる結び方があるようです。では、法事などの弔辞に使う香典袋の水引はどんな結び方なのでしょう。
結び方には、結び切りとあわじ結びという方法があります。
結び切りは、水引の紐の両端を切ってしまう方法です。これは、一度結んでしまうとほどけないそうです。
この結び切りは、固く結んでほどけないことから何度もあって欲しくないお祝い事の結婚式のご祝儀袋や快気祝い、葬儀や法事などの弔辞の場面でも使われるようです。
また、もう1つの方法としては、淡路結び(あわじむすび)と言われるものがあります。
あわじ結びとはまた、どういった経路なのでしょう。
あわじ結びには2つの説があり、1つは淡路島付近の渦潮を形どっているのではないか。
そして、もう1つは古来より目出度い食べ物として重宝されていた鮑(あわび)を鮑結びと言っていたのが変化したのではないか、と言うことです。
そういえば、結婚式のご祝儀袋などは華やかに水引が巻かれていたのを思い出しますね。このあわじ結びも結び切りと同じで2度と起きて欲しくないということから、弔辞に使われる結び方となっているようです。
香典 いくら入れる?
ここで1番気になる香典袋の中身のお話をしたいと思います。
香典の中身である金額は、故人との関係性がものを言うようです。
また、香典袋とのバランスもあり、いくら香典袋が立派でも中身が少しでは...ちぐはぐ?になってしまいますよね。
中身が1万円程度なら、印刷されているデザインの香典袋でも大丈夫です。
なぜかと言うと、香典は葬儀の受付などで直ぐに開けられ封筒から出してしまうためです。そのため、印刷されているデザインの香典袋は開封しやすく受付の方には手間いらずで喜ばれるようですよ。
一般的な法事では1万円程度の香典を用意するので、香典袋で悩むことはないようですね。
香典の相場は、家族や親族なら1万円~5万円程度、知人や友人などは5千円~1万円程度ということになるようです。
また、年齢や立場の関係もあるので、その辺は臨機応変に考えましょう。
まとめ
ここまで、法事などに使われる香典袋のあれこれを見てきました。
日本には香典袋1つを見ても実に様々な決まり事があるので驚いてしまいますね。
特に、葬儀に関しては昔からのしきたりや風習が強く表れているようです。
また、地域によっての違いもあるようで、その地域の風習に沿わないとマナーが悪いと見られてしまします。
若い方はまだ、葬儀や法事に出席する機会も少ないと思いますが香典袋のうんちくを語るのも故人のご供養になるのではないでしょうか。