2019-10-10
離婚前に別居をするメリットとは?生活費の問題や期間別の疑問にお答え!
この記事の目次
離婚前に別居をすると、離婚率が高くなる…そんな話を聞いたことはありませんか?
実は、離婚前に別居をした夫婦の8割は1年以内に離婚をしているというデータがあります。
離婚前に別居をしてしまうと、結果的に離婚率は高くなってしまうわけですね。
しかし、離婚前に別居をすることにはメリットもあります。
夫婦の状況によっては、関係性が良くなり離婚を回避できる可能性も。
そこで今回は、離婚前に別居をするメリットについてご紹介します。
生活費の問題や別居期間別の疑問にもお答えするので、離婚前に別居をするべきかどうか迷っている方はぜひご一読ください。
離婚前に別居をするメリット
離婚前に別居をするメリットは、距離を置けるという点だけではありません。
結果的に離婚が成立しやすくなったり、はたまた回避できたりとたくさんあります。
まずは、離婚前に別居をするメリットについてのご紹介です。
離婚が認められやすくなる
一番のメリットは、離婚調停や裁判になった時に離婚が認められやすくなることです。
離婚期間が長ければ長いほど、その可能性は高くなります。
ただし、注意点は「一方的な別居をしないこと」です。
一方的な別居とは、夫婦間の合意なく離れて暮らすこと。
このような別居の仕方をしてしまうと、離婚裁判で「悪意の遺棄」に認定されてしまいます。
悪意の遺棄とは夫婦の義務を放棄するような行為をすることで、離婚後に慰謝料を支払う必要が出てきます。
勝手に実家に帰って戻らなかったり、消息を絶ったりすることも対象になることが多いので、気をつけましょう。
逆に、相手が一方的な別居を望んでいる場合は、この悪意の遺棄に該当することもあります。
その場合は相手に問題がある離婚になるので、慰謝料を受け取ることが可能です。
別居期間も生活費を請求できる
婚姻関係にある限りは、別居期間中も婚姻費用を支払わなくてはいけないというのが義務です。
※双方の経済状況によっては、分担をすることも。
そのため、合意のもとであることが条件ですが、別居をしていても生活や子育ては原則として可能になります。
特に専業主婦の場合は配偶者の年収に応じて生活費を請求できるので、別居をしても安心です。
また、この婚姻費用の支払いに関して期間などは特にありません。
離婚をするまで請求できるので、働かずに別居生活を続けている方もいます。
ただし、婚姻費用の受け取りだけを目的に別居を続けていると、離婚が不利になることも。
別居はあくまで、離婚問題が解決するまでの応急処置として考えておきましょう。
距離を置くことで離婚を回避できる
離婚を一方的に切り出されて回避したい場合や、相手が応じてくれなくて困っている場合には、一旦別居をして距離を置くことも大切です。
距離を置いて別々に過ごすことで、お互いの大切さが身に染みて分かることも。
お互いの考えが変わって、離婚を回避することに繋がる可能性が高くなるのです。
しかし、一方で離婚前に別居をした夫婦の離婚率はとても高いのも事実。
これは、距離を置くことで話し合いの機会が減って、離婚を切り出した側の気持ちがますます強くなってしまう傾向にあるから。
距離を置くことが、逆効果に待ってしまうこともあるのです。
特に注意したいのは、離婚を切り出した側が別居を提案してきた時。
応じてしまうと離婚に至る可能性は高くなってしまいます。
あなたが離婚を回避したい側なら、別居が本当にお互いにとって良い選択になるのかどうかを慎重に見極めることが大切です。
子供と一緒に別居をすると親権を獲得しやすい
未成年の子供がいる場合、気になるのは親権についてですよね。
実は、親権獲得には離婚前に子供の面倒をどちらが見ていたかが重要になります。
一般的には母親が有利ですが、父親であっても別居中に子供と暮らして面倒を見ていると親権を獲得しやすいと言われています。
その期間が長ければ長いほど有利になるので、子供と数年間一緒に暮らしていたという事実は親権獲得にとても有効です。
子供の意思や将来(経済的援助)を第一に考えることが大切ですが、離婚をして親権を獲得したいなら子供と一緒に別居をするのがベストな選択になります。
離婚前に別居をした時の生活費について
離婚前に別居をすると、気になるのは生活費についてですよね。
特に専業主婦の方は、どうやって生活していったらいいのか深刻な問題になります。
ここからは、離婚前に別居をした時の生活費についてのご紹介です。
世帯主は婚姻費用を払わなくてはならない
別居をしても婚姻関係にある限りは、婚姻費用の支払い(分担)が義務として定められています。
両方に収入がある場合は、生活費や養育費などの計算をして分担するのが一般的。
一方に収入がない(専業主婦、病気で働けないなど)場合は、世帯主が別居中も婚姻費用として生活費を送らなければなりません。
婚姻費用は年収に基づいて計算されますが、基本は「自分と同等の生活を相手にも保障するように」規定されています。
そのため、場合によっては別居前よりも経済的負担が大きくなることも(支払う側の場合)。
離婚をした時に支払う慰謝料の金額と、別居中の婚姻費用の負担を天秤にかけて判断することも大切です。
確実に受け取るなら婚姻費用の合意書を作成するのがおすすめ
婚姻費用を確実に受け取りたいなら、口約束で終わらせないように要注意。
基本的には夫婦間での決め事なので、支払いがなくても強制執行などで請求することができないからです。
心配な場合は、「婚姻費用の合意書」を作成するのがおすすめ。
合意書は自分たちで作成するもので、手書きでもワープロでも構いません。
さらに、公正証書にしておけば法的効力が発生します。
公正証書にするには少し費用と手間がかかるので、弁護士を通して作成すると安心です。
離婚前の別居の実態と離婚率【期間別】
離婚前に別居をすると、どういう事態になりやすいのか気になりますよね。
離婚前の別居の実態や離婚率は、別居をしている期間によって大きく異なるもの。
それでは、離婚前の別居の実態と離婚率を期間別にご紹介します。
別居期間~1年
離婚前に別居をした夫婦の8割が1年未満で離婚に及ぶと言われています。
その主な理由はこちらです。
- 経済的・精神的負担が大きかった
- 別居をしたことで冷静な判断が下せるようになった
- このままの状況を続けるよりも新たな人生を歩みたいという気持ちが強くなった
実際に別居をしてみると、想像以上に経済的・精神的負担が大きかったというのはよく聞く話です。
そこで別居を解消できるといいのですが、大抵の場合はそのまま離婚へと踏み出します。
別居をしたことで、お互いに冷静な判断が下せるようになっているからです。
また、別居という中途半端な状況に、数ヶ月で耐えられなくなってしまうという理由もあります。
家族や友人からの世間的な目もあるので、すっきりと離婚をしてしまった方がいいという決断に至りやすいようです。
別居期間~3年
別居期間が1年を越えると、お互いその生活にも慣れてきます。
別居が1年以上続いている主な理由はこちらです。
- 解決法を見失っている
- 一方が話し合いに応じる姿勢を見せない
- お互いに仕事や生活が忙しく状況が進行しない
別居が数年続くと解決法を見失ってしまい、どうしたらいいのか分からなくなっているパターンがあります。
また、一方が話し合いや解決に向けて消極的で応じる姿勢を見せてくれないために、仕方なく別居が続いているということも。
離婚裁判を起こさない限り一方的に離婚はできないため、夫婦間の話し合いは別居中であっても必須なのです。
さらに、お互い仕事や生活が忙しく保留状態になっていることもあります。
こういった場合はさらに別居が続くことが多く、そのまま離婚成立へと向かい出すようです。
別居期間~7年
関係性の悪化による長期の別居は、復縁の可能性がほぼないのが現実です。
別居期間が数年続き5年を越えると、離婚調停や裁判では夫婦関係の破綻がスムーズに認められるようになります。
お互いに重い腰を上げて、離婚への手続きを始めることが多いようです。
稀な例ですが、この長期の別居期間中に何らかのトラブル(一方が病気をしたり、子供に問題があったりなど)が生じた場合、その問題をきっかけに別居が解消されるということもあります。
別居期間が長くなると離婚成立の可能性は高くなりますが、思わぬ理由で復縁することもあるかもしれないようです。
離婚前の別居に関するよくある質問
離婚前の別居は裁判でどう作用するの?期間は関係ある?
結局、得をするのはどっち?など、まだまだ疑問点はたくさんありますよね。
最後に、離婚前の別居に関するよくある質問にお答えします。
別居を何年したら離婚できる?
明確な決まりはありません。
「○年の別居で離婚が自動的に成立する。」というようなことはないので気をつけましょう。
ただし、別居期間が長ければ長いほど、調停や裁判では離婚が成立しやすくなります。
別居は夫婦の関係が破綻していることを認める判断材料になるからです。
離婚と別居ならどちらが得をする?
お互いの立場や経済状況によって異なります。
専業主婦の場合は、別居をしても生活費(婚姻費用)をもらえるので得になることも。
ただし、相手に不貞行為などの問題があった場合は、多額の慰謝料を請求できることもあります。
弁護士に相談して計算をしてもらい、検討するのが一番です。
離婚前に別居をするメリットと疑問にお答え【まとめ】
離婚前に別居をすると、結果的に離婚率は高くなります。
しかし、別居をしたことでお互いの大切さが分かり関係性が修復したという事例も。
離婚前の別居がどう働くかは夫婦の状況や関係性によって違ってくるので、お互いに本音でよく話し合ったうえでベストな選択ができるように、私たちも願っています。