2019-12-12
介護老人福祉施設とは?介護老人保健施設と特別養護老人ホームとの違い
この記事の目次
介護に関わる法律に「老人福祉法」と「介護保険法」という法律があります。
日頃、あまり触れることのない法律なので一般の方は知る機会もありませんよね。
ですが、この2つの法律により名称が変わる介護施設があります。
それが、今日ご紹介したい「介護老人福祉施設」です。
「介護老人福祉施設」が持つもう1つの名称とはどんな名前なのでしょう。
ここでは、「介護老人福祉施設」の名称や費用または入居条件などを詳しく解説していきます。
ぜひ、ご覧ください。
「介護老人福祉施設」の呼び名が違う施設って?
施設サービスである食事、排泄、入浴などの身体介護や日常の生活に必要な清掃、洗濯など、
また、健康管理、機能の訓練などを入居時に相談、計画に基づき療養上のお世話をしてくれる施設が「介護老人福祉施設」ということです。
この施設では利用者さんそれぞれの残存機能の能力を活かし、自立生活が送れることを目指す支援・介護をしてくれます。
これって、どこかで聞いたことがある内容だと思いませんか?
何だか同じような施設がありましたね。
そうなのです!
それが「特別養護老人ホーム」なのです!
「特別養護老人ホーム」と「介護老人福祉施設」の呼び名の違いはなぜ?
最初にお話したように介護に関する法律には「老人福祉法」と「介護保険法」という法律があります。
「老人福祉法」とは、老人の福祉に関することを目的とする法律、「介護保険法」は介護を必要とする高齢者に介護保険制度を設け、
これを行う保険給付に関する必要事項を定めることが目的の法律とあります。
この法律によって施設を設ける根拠が違ってくるようです。
今日のテーマとなる「介護老人福祉施設」は、介護保険法に基づきます。
そして、「老人福祉法」に基づく法律から設けられているのが「特別養護老人ホーム」となるのです。
それでは、この2つの施設は全く同じものなのでしょうか。
「特別養護老人ホーム」については下の記事に詳しく書いてあるので参考にしてくださいね。
【関連記事リンク】特別養護老人ホームとは何か?費用減免や入所条件について解説します
費用や入居条件などを改めて見ていきましょう。
「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」の形態は?
「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」は同じ施設ということがわかりました。
施設の形態も全く同じものなのでしょうか?
「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」両施設の費用に違いがある?
両施設とも、入居する際にかかる費用の入居一時金などは一切かかりません。
これらの施設に入居する際に必要な費用は、水道・ガス・電気などの光熱費、居住費である家賃、月々の食事代になります。
一般の家庭と変わらない出費ということですね。
これを負担する金額は、利用者さんや利用者さんを扶養している人の世帯収入、課税の状況、また、利用する部屋のタイプによって異なりますがおよそ、毎月8~15万円弱ぐらいかかります。
この支払が、利用者さんが受ける年金だけでは賄えない(まかなえない)などといったケースでは、所得に応じてですが費用を減額してもらえる減免制度もあります。
また、入居を希望しているけど生活保護を受けているという方も、食費や部屋代の控除制度を利用することで入居が可能な施設もあります。
詳しくは、担当のケアマネージャー、地域の生活福祉科に相談してみましょう。
ここまで費用に関しては両者とも変わりありませんでしたね。
では、入居できるかできないかも同じなのでしょうか?
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」入居の条件とは?
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」共に次のような条件があります。
・65歳以上の高齢者ということが原則
・介護認定が「要介護3」以上である
・長期入院の必要がないと見込まれる
・重度の認知症の方の受け入れも可
施設によって違う条件
・入居申請を市区町村にする
・入居を検討する入所検討委員会による審査
・判断待ち
・入所検討委員会による判断で入居の必要性が高いと思われる方から入所が決定される
入居の条件も変わらないようです。
それでは、部屋のタイプはどうでしょう。
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」の部屋のタイプ
「特別養護老人ホーム」では、部屋ごとにタイプが違いました。
「介護老人福祉施設」ではどうなのでしょう。
部屋のタイプは、従来から利用されている1部屋を1人で使用する個室タイプがあります。
そして、1部屋を何人かでシェアするタイプもあります。
最近の傾向では4人でシェアする形式が多いようです
次は、ユニット型というタイプの部屋です。
ユニット型とは、1部屋を1人で使用することはできますが、各自の部屋ではなく10部屋の個室を1つのユニットにして食事やレクリエーション活動はダイニングやロビーで共有、キッチンや浴室、トイレなども10部屋の利用者さん達と共有して使用する形になります。
ユニット型タイプに準ずる個室がある施設もあるようです。
こちらは、元は多床室として使用されていた部屋を分割改装した個室になります。
やはり、1つの部屋を何人かで使用する多床室の方が個室より費用に関してはお得だと言うことになりそうです。
しかし、現在、「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」は空きがなく、入居することが難しいとされています。
また、入居できる順番は申し込み順が優先されるのではなく介護度やご家族の状況なども考慮され、必要性や緊急性の高い方が優先されるようです。
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」の設備は?
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」の設備の特徴はユニット型にされているということのようです。
これらの施設は生活の場であることがメインと考えられていて、共同生活を送りながら交流できるといったメリットもあるようです。
そのため、トイレや浴室、簡易キッチンに至るまで各部屋には備わっていません。
最近の傾向であるユニット型の個室、準個室への移行が多くなっているのはこのような背景があるのですね。
ですが、このような設備はあまり好みではないという方もいます。
そのような方におすすめしたい施設が「介護老人保健施設」になります。
「介護老人保健施設」とは
「介護老人福祉施設」や「特別養護老人ホーム」の運営は自治体や社会福祉法人ということで公的施設となります。
同じような公的施設に「介護老人保健施設」があるのですが、「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」とは何が違うのでしょうか。
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」の大きな目的は要介護度の高い方が入居され熱心な介護サービスを受けられるということが挙げられます。
一方、入居の目的が異なる「介護老人保健施設」では病気や怪我などで身体機能が低下してしまった方の機能回復・在宅復帰までの医療的な手当や機能のリハビリが受けられるということです。
そのため、あまり要介護度が高い方や病状が思わしくない方の利用は向かない施設となっています。
もし、介護施設に入居を希望していて身体機能を回復させたい、在宅復帰を目指したいと思われる方は「介護老人保健施設」の入居をおすすめしたいと思います。
医療を受けることができる?
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」では、手厚い介護サービスを受けることができます。
看護師さんも配置されていますが夜間には配置義務がないため日常的に医療の提供は受けることが不可能のようです。
施設の入居者は高齢なため、いつ何が起こっても仕方がない状況だと思われますが「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」では、重度の医療措置を提供できないため入院が必要だと思われるような方や病状が安定していない方の入居はおすすめできません。
入居をお考えの方は、担当のケアマネージャーや医師に相談してみましょう。
また、医療保険については「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」で行われる医療行為は医療保険を使うことになり、施設に支払う料金とは別途扱いになります。
「介護老人保健施設」は、ある程度の医療的な行為は料金を気にすることなく受けられるようです。また、施設サービスに医療費控除の対象となるサービスも含まれていてケースによっては税金が還付されることもあるようです。
看取り介護とは
「介護老人福祉施設」「特別養護老人ホーム」では基本的に終身まで、つまり、看取り介護までを対応してくれるようです。
大切なご家族の最後を考えるということは悲しいことですが、利用されている方が高齢者ということで、ある程度の覚悟はしておかなければなりません。
そして、看取り介護とはどんな介護なのか知っておく必要がありそうです。
看取りとは
看取りとは、病状が安定せず改善の見込みがないと思われる方に対して、医療行為である延命治療・延命措置などは行わず、終の棲家となった施設でご家族や介護スタッフや医療関係者などに見送られながら終わりの時を迎えていただくケアとなります。
看取りが介護保険の場合は、「看取り介護加算」の設定が加わることになります。
施設によっては、看取り介護の対応をしていない所もあるので事前に確認しておきましょう。
老人施設を利用する前に終活のおすすめ
高齢となり、老人ホームへの入居をお考えの方には終活をおすすめしたいと思います。
終活と言うと、「死」をイメージして縁起が悪いとお考えの方もいるようですが、終活は決して縁起が悪い活動ではありません。
むしろ、これからの人生を前向きに自分らしく生きるための準備活動でもあるのです。
これから介護施設に入居されることをお考えであれば、生前整理をしておくとことで身の周りもスッキリ片付けておくことができます。
詳しくは下の記事に書いてあるので参考にしてくださいね。
【関連記事リンク】終活業者に片付けは依頼できる?【生前整理の費用、選び方やメリット】
まとめ
「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」が同じ施設だったなんて初耳だという人も多かったのではないでしょうか。
また、「介護老人保健施設」も同じ公的施設でしたが入居目的は全然違いました。
高齢となり介護が必要になって施設を利用したいのだけど、どのような施設に入所できるのか分からないこともあります。
施設を選ぶ際は、利用される高齢者の方の健康状態や介護度に合わせた施設を選ぶことが重要なポイントとなるようですね。
そんな時は今日の記事を参考にしていただき、担当の介護士やケアマネジャー、または、地域の高齢者福祉課などに相談してみてくださいね。