2019-12-12
増加する介護離職の現状とは?20代・30代で後悔しないために
この記事の目次
現在、日本では平成の時代から令和の時代を迎えています。
時代の年号は変わりましたが、日本が抱えている課題や問題は大きく持ち越されているようです。
その課題や問題に超高齢化社会が含まれます。
そしてもう1つに少子化があるのですが、今後の日本は超高齢化と少子化で誰が高齢者の面倒を見ていくのでしょうか。
そんな不安をさらに煽る(あおる)実態として介護職の離職があります。
いったい、介護の現場では何が起こっているのでしょうか。
この記事では、介護職の離職問題を取り上げ、介護現場での現状や20代・30代の介護職の人が離職や転職を後悔しなくて済む方法を考えてみました。
ぜひ、ご覧くださいね。
なぜ、介護職を辞めたいの?
介護職が大変な仕事だということはよく聞きます。
でも、何がどのように大変で離職を考えてしまうのでしょう。
ここでは、リアルな声を参考に考えてみたいと思います。
理由その1. 職場の運営方針やコンセプトが理解できない
・介護士たちは顔を合わせても合言葉かのように「疲れた、忙しい」としか言えないぐらい人手不足な状況にも関わらず人を増やす気配がない。
・利用者さん1人1人を大事にするというコンセプトに惹かれて入職したが、利用者さんを大事にするどころか効率重視になっていて満足に利用者さんと話すこともできない。
・やたらイベントを開催するため、必要な業務以外の仕事が多い。利用者さんも疲れ気味。
・疲れているのに毎日の朝礼がきつい、しかも施設長のロングスピーチ付きでうんざり。
介護士になったのは本当に心からの介護がしたかったから。こんな人から見たら施設のコンセプトや方針が自分の思いとは違っていると仕事に対するモチベーションも下がってきますよね。理想と現実の間で悩んでしまうのも無理もないことです。
理由その2. 人間関係が悪すぎ
・施設で働く介護職の人間関係が悪すぎて、しょっちゅう人が入れ替わるため利用者さんも介護士の顔や名前を覚えることができない
・女性が多い職場なので必ずお局様のような人がいる。お局様は自分のお気に入り男性スタッフにだけ優しくしてテンションが上がる
・介護方法には色々な方法があるが基本、利用者さんが安全なら問題ないはず、少しでもやり方が間違っていると飛んできて文句を言うベテラン介護士がいる。その度に新人は辞めたいと愚痴を言いに来る。
・上司から叱られたり、スタッフ同士のもめ事などで利用者さんに対する態度や言葉使いが悪くなる介護士がいる。ここは、職場なので八つ当たりはやめてほしい。
介護職の年齢層は幅広く、若い人だと10代、ベテランさんだと60~70代の方もいます。
自分の家で、お父さんやお母さんと意見の食い違いがあるように、人はみな価値観や考え方に違いがあるのは仕方のないことです。
ですが、介護職は1つのチームでもあります。
そのリーダーや上司がきちんとまとめてくれない施設もあるようです。
ただでさえ忙しくイライラしがちな職場で人間関係が劣悪では辞めてしまいたくなるのも無理のないことのようです。
理由その3. ライフスタイルが変わる
・夫が帰って来たと思ったら今度は自分が出勤しなくてはならない、すれ違い夫婦となってしまった。何のために結婚したのだか分からなくなってしまう。
・休日は休むための日なんだろうけど、今度は家族の介護や世話に追われる。
いったい、女に自分の時間なんてあるのだろうか。
・子どもはすぐに熱を出すので保育園に預けていてもお迎え要請が頻繁にあるため同僚に申し訳ない。
・義母が子どもの面倒をみてくれるけど、正直、利用者さんより高齢だ。
介護の職場で働いているのは、ほとんどが女性です。最近では男性の介護士も増えてきてはいますが圧倒的に女性の数の方が多いでしょう。
女性介護士が結婚、出産することで生活のスタイルが変わってしまうのは当然のことです。
同じ女性だからこそ、家事や育児の大変さは理解してもらえますが、そうそう甘えてばかりもいられません。
限界を感じてしまい、辞めた方が良いのではと考えてしまうようです。
その他 ・待遇や給料に不満 ・体力の限界を感じる
本当に辞めたいと思っているのか
介護職をしていて離職する人が多くいるようですが、上記の辞めたい理由から見えてきたことがあります。
それは、介護職として介護の仕事が嫌い、イヤだという意見がないことです。
意外なことに介護職を辞めてしまってもまた復帰する人が多いのだとか。
つまり、高齢者のお世話や介護がイヤで辞めたいと思う人の声はそんなにないのでは?
特に、介護職として働いていて結婚や出産などで辞めてしまった人は、家事や育児にひと段落したらまた介護職に復帰する人がたくさんいるようです。
年代別に見た離職理由は?
上記に挙げた離職理由も含まれるようですが、その年代だからこその離職理由もあるようです。それは、いったいどんなことなのでしょう。
20代の離職理由
・給料がもっと欲しい
・施設や事業所のコンセプトに不満を感じる
・様々な職種にチャレンジしたい
30代の離職理由
・給料が不満
・職場の未来が不安
・施設や事業所のコンセプトに不満を感じる
40代の離職理由
・給料に不満
・職場の未来が不安
・施設や事業所のコンセプトに不満を感じる
こちらは、40代までですが、ほぼ同じような理由を挙げています。
やはり1番の理由は給料の低さを挙げているようですね。
また、40代ではこの他にも休日が取れる職場で働きたいという理由が多くあります。
それは年代的に見ても、結婚して子どもが生まれることから休みをとって家族との生活を重視したいという表れではないでしょうか。
その反面、やはり20代30代はまだ、自分のことを中心に職場選びができるようです。
では、それ以降の年代はどうでしょう。
50代の離職理由
・職場の未来が不安
・給料をもっとくれる職場で働きたい
・法人や施設、事業所のコンセプトに不満を感じる
介護職の平均年齢は50歳前後の人が多くなります。そして、男女別では圧倒的に女性の方が多くいます。
30~40代は家事や育児が大変で離職してしまう人が多くいるようですが、50代になると家事や育児から解放されて自分のスキルを磨きたいと考える女性が多くなるようです。つまり、キャリアアップを目指すのですね。
そう考えると、自分の働いている施設や事業所がどんな理念や方針を持って利用者さんに関わっているのかが見えてくるのではないでしょうか。
そこで、矛盾を感じてしまい離職となるようです。
60代の離職理由
・病気になる、可能性がある
・精神的に病気になる、可能性がある
ここまでを見ると、20代・30代の離職理由で1番の決め手は給料の低さです。
20代・30代ということでまだ若く、体力もあるため疲れや忙しさはあまり重要ではないようですね。
それでは、20代・30代の人が介護職として後悔しないで働く方法はあるのでしょうか。
20代・30代で後悔しないための転職
介護職が決して嫌いではないけども収入面から理由から転職をするのが20代・30代の人に多く見られるようです。
その20代・30代の人はどのような職場に転職するのでしょう。
・介護業界の中での転職
介護職がイヤではない人が多く、それまでの職場に原因があるようです。
・一般事務
介護職では体力的な負担が多い仕事だったため体力的にきつくないと思われる職業を希望するようです。
・サービス業、接客業
介護職は施設サービスなどでサービスの基本を心得ています。
そのテクニックを一般のサービス業や接客業に活かせると考えるのでしょう。
・保育業
人のお世話をするという意味では保育業も同じです。
お年寄りに優しくする気持ちは保育業でも通じるのではないでしょうか。
また、未経験での仕事は介護業だけではなく、どこの業界でも同じような待遇のことが多く、いきなりの昇給や昇格は望めません。
介護職から転職は後悔?成功?
介護職ではきつくて大変な仕事の割に給料が少ないと転職する人が多くいます。
他職種への転職後はどうなのでしょう。
他職種に転職すると、介護職で経験した程の疲労感が軽減されるのか勤務時間も減り、給料も上がったと思える人が多いようです。
介護職では、仕事がきつい割に給料が悪いということだったので、逆を言えば給料に見合った仕事内容なので納得できるのだと思われます。
転職するならまだ若い20代・30代で思い切って決心した方が良いかもしれませんね。
迷うなら辞める!
介護の資格、「介護職員初任者研修修了課程」⇒「介護福祉士」⇒「社会福祉士」などキャリアップしていっても給料アップはあまり望めないようです。
増えるのは責任ばかり、といった声もあります。
介護業界の中では素晴らしい資格だと思われますが、収入に反映しないのであればあまり意味のない資格保有だとも言えるようです。
後悔しないように悩むのは、転職のチャンスだと言えそうです。
迷うなら転職する!
介護業界は出戻りがきく業界でもあります。
他職種にチャレンジして出戻るのも20代・30代だからできることなのかもしれません。
20代での転職は柔軟に物事を捉えられるので企業側も採用しやすいようです。
介護ストレスで精神疾患
人は誰でもストレスを感じて生活しています。適度なストレスはむしろ必要なことでもあります。
ですが、過度なストレスはうつ病などの引き金になってしまうことも。
介護職の仕事は激務なだけではなく、私生活では食生活の乱れ、睡眠も運動も不足しています。これらを休日で補うこともできない状態では体だけではなく、精神までが壊れてしまします。
こうならないためにも、転職を真剣に考えてみることをおすすめしたいと思います。
まとめ
介護職の仕事は本当に大変ですね。
それでも、やりがいを感じている人、不満を感じている人、思いは様々です。
例えば、警察官や消防士の仕事も危険を省みず私たちを守るために働いてくれています。
でも、人には向き不向きがあるのも事実です。
まだ若い、いくらでも再出発ができる20代・30代ならではの転職。
介護職が向かないと思ったら転職先はいくらでもあるはずです。
転職先が向かないと思ったらまた、介護職に戻ることも可能です。
転職を考えるなら、自分の人生には何を1番優先にしたいのか、どういう状態が1番幸せなのかを自己分析することで後悔なく離職できるのではないでしょうか。