2019-12-12
介護相談員はボランティア?給料報酬、研修、ケアマネとの身分の違いを解説
この記事の目次
介護職には様々な職種があります。
一般的に見ると、介護職の人はみんな介護士さんなのかと思えてしまいますが、それぞれ重要な役割を担っているようです。
その役割の中に、介護施設を利用する際の窓口となり利用者の相談事を引き受けてくれる介護相談員という職員がいます。
介護相談員は別名「生活相談員」とも呼ばれていて施設での利用者さん、または、そのご家族の方の相談・アドバイスをして施設での快適な過ごし方をサポートしてくれます。
この記事では、介護相談員はどんな存在、給料、ケアマネージャーとの違い、研修内容などを詳しく解説してみました。
ぜひ、ご覧くださいね。
介護相談員って誰?
私たちは、介護職と言えば高齢者のお世話や体の不自由な方、身体障害者の方のお世話をしてくれる人だと認識していると思います。
ですが、実際は介護職でも様々な職種があり役割も決まっているようです。
介護相談員は生活相談員とも言われていますが、介護老人保健施設では「支援相談員」と呼ばれています。
勤務先によって呼ばれ方が異なるようですが、仕事の内容としては同じであるため通常は「相談員」として通じるようです。
呼び名が異なるだけで資格を取る時の要件や仕事の内容は同じなので混乱しないようにしましょう。
介護相談員の仕事は何?
介護相談員の仕事を一言で表すと「介護の何でも屋さん」といった感じです。
介護相談員は勤務する施設によってその役割や仕事の内容が大分違ってきます。
施設を利用する目的、入所するのか通所するのかによっても変わってきます。
また、施設に入居する場合でも特別養護老人ホームと介護保険施設では入居目的が異なるため役割も変わってきます。
介護相談員の仕事は介護を必要とする方とその家族を介護施設につなげる橋渡し的な役割だとも言えそうです。
では、利用者さんやご家族の方の相談はどんなことなのでしょう。
介護相談員に相談されること
介護相談員は施設などを利用される方とご家族に橋渡し的な役割がありますが、具体的にはどんな相談があるのでしょう。
施設の見学
介護を受けられる高齢者が介護施設の入居を希望する際は、施設の見学が非常に大事になります。
見学と同時に大切なことは施設を利用する際の料金やシステムの説明です。
一般の方には複雑で分りにくいため、分かりやすく説明するのも介護相談員の業務になります。
世間では介護施設の利用システムに誤解されていることも多くあり、正しいシステムを適切に伝えなくてはなりません。
施設に入居されるまでの流れを利用者が納得するまで伝えることが重要になるようです。
利用者・家族との面談
介護施設の利用が決まると、入居する時期などの計画を見直しする必要があります。
施設を利用するにあたって、利用者とご家族、また、必要がある場合は利用者の担当医師とも面談して利用者の求めるサービスやご家族の方の意見などの情報を集めなくてはなりません。
他職種との意見交換
施設の利用を円滑に進めるためには、面談で得た情報を他の職種であるケアマネジャーや介護職員、看護職員、機能訓練指導員などの関係者と共有しなければなりません。
そこで得た情報をもとにそれぞれの意見を交換します。
利用者の観察
施設を利用する高齢者の体調や精神的な変化に気づくためには、利用者を知ることが大切になります。そのためには日々、利用者さんを観察することです。
その中で気づくことがあったら、利用者またはご家族の方と相談する必要があります。
特別、気づくことがない場合でもサービスへの不信や不満などがないかといった意見を聞くことが介護相談員の役割でもあります。
そのためには、日頃から利用者やご家族の方とまめにコミュニケーションをとっている必要があるようです。
介護相談員はコミュニケーション能力が問われるようですね。
他職種・他機関との連携
介護保険施設を利用している高齢者の目的は自宅復帰です。
そのため、介護相談員は利用者が自宅に復帰後の家屋の状態を把握しておく必要があります。利用者が自宅に帰った後の家屋環境を設定するなど、在宅のマネージャーと連携して情報交換しながら、利用者さんやご家族が安心して過ごせるように相談支援します。
また、介護施設でも医療サービスを受けられない施設があります。
施設に入居時、利用者の疾病が悪化した場合に医療機関に受診、入院などの手続きをしなくてはなりません。
その他にも、様々な業務がありますが介護士と一緒で利用者さんの介護、介助をすることもあります。
やはり、介護専門員さんは介護職の「何でも屋さん」といった位置づけのようですね。
そのためか、介護相談員の業務をボランティアだと思っている人もいるのだとか。
介護相談員はボランティアなの?
介護相談員の役割は捉え方によっては、ボランティアとも言えなくもないようです。
しかし、実際はきちんと報酬があるのでボランティアではありません。
ただ、利用者の相談事によっては、ボランティアはボランティアでも傾聴ボランティアといった、話を聞いてあげることで利用者さんが落ち着く、安心するといったこともあります。
いわゆる、愚痴を聞いてあげると言うことですね。
そんな愚痴を聞いてあげて利用者の介護サービスの改善や環境の改善につながることもあるので介護相談員の傾聴ボランティアという役割も決して無駄ではありませんね。
介護相談員の報酬・給料
介護相談員の報酬である給料は持っている資格やスキル、経験などによって違うようです。
また、勤務している介護施設の規模や地域によっても異なります。
ボリュームゾーンとしては、年収にすると300~400万円程、月給にすると20~25万円だとされています。
ですが、経験を積むことでさらに報酬アップの可能性が。
また、施設によってはケアマネジャーが介護相談員業務を兼任しているケースもあります。そうなると、ケアマネジャーの給料に職務の手当てが付くことが一般的になっているようです。
パートで介護相談員の業務を受け持つと時給では900~1100円程になることが多いようです。
どちらにせよ、介護相談員で「何でも屋さん」的な働きをしている割にはあまり期待できない報酬・給料のようですね。
介護相談員の給料をもっと増やしたいとお考えなら、スキルアップを検討して施設長やセンター長などの管理職を目指すという方法もあります。
また、年収450~500万円を目指すならマネジメントを行う立場に就くのが1番手っ取り早い方法となるようです。
介護相談員とケアマネはどっちが偉いの?
介護職には様々な職種があることはお伝えしましたが、介護相談員と似ているような職種にケアマネジャー(ケアマネ)があります。
一般的に見ると、介護相談員もケアマネも同じようなお仕事のように見えてしまいませんか?
ケアマネとは
ケアマネことケアマネジャーの正式名は「介護支援専門員」となります。
ケアマネの業務に、介護が必要な高齢者に「ケアプランの作成」があります。
要介護の認定を受けた高齢者が介護保険サービスを利用するためにはケアプランを作成しないと介護サービスを使うことができません。
そこで、ケアマネジャーの業務が必要になってくるのです。
介護相談員とケアマネの違い
そもそも利用者さんから見た場合、介護相談員もケアマネも同じような働きをするので区別がつかず、何かを相談しようと思ってもどちらに相談したら良いのか分からないといったことがあるようです。
介護職においての位置づけとして、介護相談員(生活相談員)というのは職種の1つです。
資格要件に満たしていればなれる職種であり試験制度はありません。
そのため、介護職未経験でも就くことができるのです。
それとは違う、ケアマネの正式名「介護支援専門員」からも分かるように資格の名前になっています。実務・実績を積み受験資格を得てから試験に合格することで初めて手にすることができる資格なのです。
介護相談員とケアマネの身分は?
ここまでの介護相談員とケアマネの違いを見ると、何となくケアマネの方が偉い身分にあるように感じてしまいますよね。
ですが、実際はそんなことはなく、介護相談員とケアマネに上下関係はないようです。
お互いがお互いを必要とする協力関係にあります。
但し、仕事の性質上、ケアマネが主導権を握る形となりますが介護相談員が部下であるとかケアマネが上司であるといったことではありません。
介護相談員は、ケアマネに情報を提供することで、利用者のサービス向上につなげることができます。利用者のためにもケアマネとの関係を良好に保つことも大事な役割の1つですね。
介護相談員の研修とは
介護相談員の業務は多岐に渡ってあります。
それを熟す(こなす)のも介護相談員の腕の見せどころではありませんか?
そのため、介護の技術や知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力までもが求められます。
そこで、介護相談員(生活相談員)は定期的に研修を受ける必要があるようです。
研修では、介護相談員としての知識を深めるための講義を受けたり、介護相談員に求められるコミュニケーション能力の高上を目指すための実技講習があります。
介護相談員は、このような研修を通して日々の介護に関する新しい知識や技術を高め、能力の向上を目指しているのです。
また、介護相談員の研修は介護関係事業の企業や法人が主催していて定期的に行われています。
募集要項は事前に公表されていますが、参加希望者が応募するという形で実施されているようです。
介護相談員の研修に参加したいという人は公式サイトでこまめなチェックが必要です。
ここでは、研修を開催している法人・企業を紹介します。
・全国老人ホーム協会
・公益社団法人全国老人福祉協議会
・ディサービス生活相談員ネットワーク介護事業所の生活相談員日曜集中講座
・お茶の水ケアサービス学院|介護フォローアップ研修
まとめ
介護相談員の業務は様々あり見方によってはボランティアに見えなくもありません。
ですが、要介護の高齢者は身体的にも精神的にも不安を抱えているため、介護相談員が日頃の生活を注意深く観察する必要があります。
また、介護相談員の働きに似ている職種にケアマネという業務がありますが、利用者にはどちらの働きも欠かせないものであるようです。
介護相談員の報酬はあまり高いとは言えませんが、経験を積んで上の施設長やセンター長を目指すことで給料アップも可能です。
どちらにせよ、介護相談員は施設やセンターの縁の下の力持ちといった役割のようですね。