2019-12-12
遺産相続で兄弟の絶縁を避けるためには?相続の注意点やトラブル例を紹介
この記事の目次
自分たちの兄弟は仲が良いから遺産相続で揉める事なんてない…そう思ってはいませんか?
遺産相続は、多額のお金や資産をみんなで分け合う重要な行為。
どんなに仲が良くても、いざお金の話し合いとなると大きなトラブルに発展してしまうことは少なくありません。
遺産相続をきっかけに絶縁してしまう兄弟は、とても多いのです。
そんな悲しい事態を避けるためには、どうしたらいいのか。
今回は、遺産相続を兄弟でする時の基本や注意点についてご紹介します。
遺産相続で兄弟の絶縁を招くトラブル5つと対処法についてもまとめているので、これから兄弟で遺産相続をすることになりそうな方は、ぜひご参考にしてみてくださいね。
遺産相続と兄弟の基本
遺産相続には、優先順位があります。
この順位は法律で決められているものですが、分配については話し合いで自由に取り決めができるのが特徴。
だからこそ、兄弟の関係性や事前の話し合いが重要になってきます。
まずは、遺産相続と兄弟の基本についてのご紹介です。
法定相続分の決まりを参考にする
遺産相続の分配を決めるときは、民法で定められている法定相続分の順位を参考にします。
- 第一順位…子ども
- 第二順位…両親や祖父母
- 第三順位…兄弟や姉妹
※配偶者がいる場合は、最も優先的に相続される。配偶者の分配の割合は原則として1/2。
兄弟や姉妹は第三順位なので、遺言者に子どもや両親・祖父母などがいる場合は原則として相続の権利を持つことができません。
兄弟や姉妹が相続できる・できないケースはこちら。
兄弟や姉妹が相続人になるケース
- 遺言者に子どもや両親・祖父母がいない(配偶者の有無に関わらず)。
兄弟や姉妹が相続人にならないケース
- 遺言者に子どもや両親・祖父母がいる(配偶者の有無に関わらず)。
このように、兄弟や姉妹に相続の権利が許されるのは、第一順位や第二順位に該当する人がいない場合になります。
なお、兄弟や姉妹間の相続の権利は全て平等なのがポイント。
長男や長女だけが相続できる…なんてことはなく、原則として平等な割合で分配するのが一般的です。
兄弟が死亡している場合はその子どもに
遺産相続には、代襲相続人という制度があります。
これは、相続の権利を持っている人が死亡してしまっている場合に、代わりに権利を持てる人のことです。
それぞれの代襲相続人
- 第一順位…子どもが死亡している場合→孫
- 第二順位…両親や祖父母が死亡している場合→曾祖父母
- 第三順位…兄弟や姉妹が死亡している場合→姪や甥
このように、相続の権利を持っている兄弟や姉妹が死亡している場合は、その子どもである甥や姪が代襲相続人として相続を受けることができます。
ただし、姪や甥が代襲相続人になるのは、
第一順位である子どもや孫がいない(死亡含む)
第二順位である両親や祖父母、曾祖父母が死亡してしまっている
第三順位である兄弟や姉妹が死亡してしまっている
と、この全ての条件を満たしている場合になります(一例)。
とても、稀なケースであることが分かりますよね。
ちなみに兄弟や姉妹の場合、代襲相続人の権利は一代までと限定されているので要注意。
姪や甥も死亡してしまってる場合、その子どもには相続の権利は移行しません。
養子縁組で兄弟になった子どもも権利は平等
よくある質問に、「養子も相続の権利はあるのか」というものがあります。
結論から申し上げますと、養子にも相続の権利は平等にあります。
これは、兄弟や姉妹間で遺産を分配する場合も同じです。
例えば、
3人兄弟(実子2人+養子1人)
の場合、遺産の分配はそれぞれ1/3ずつになります。
養子だからといって割合が少なくなるとか、制限があるといったことはありません。
遺産相続を兄弟でする時の注意点
遺産相続を兄弟でする時は、話し合いの内容が鍵になります。
法定相続の順位は長男でも次男でも、基本的には同じ。
一般的には家を継ぐ長男が多めに分配を受けますが、状況によっては例外もあります。
ここからは、遺産相続を兄弟でする時の注意点についてのご紹介です。
円滑な関係を築いておく
基本的なことですが、一番大切です。
遺産相続には法定相続分が定められていますが、この内容はあくまで目安。
実際の分配は、当事者間の話し合いで決定します。
そのため、円滑な関係を築いておかないと、話し合いが決裂して上手く進まない可能性も。
遺産相続のために仲良くする…というのではなく、普段から良好な関係を築けるよう努めることが、絶縁などの悲しい事態を避けるのに有効な方法です。
揉めても不当な請求を呑まない
意外と多いのが、話し合いで主張された不当な請求をそのまま呑んでしまうトラブル。
一度決めて手続きをしてしまうと、後からやり直したり請求したりすることはできません。
明らかに不当な請求をされた場合は周りの人や弁護士などに相談をして、そのまま手続きを進めてしまわないように気をつけましょう。
また、多額の請求に承諾した結果、それをきっかけに絶縁してしまうケースが多いようです。
遺産相続で兄弟の絶縁を招くトラブル5つ【対処法】
遺産相続で兄弟が絶縁しないためには、よくあるトラブル例を知っておくことが大切。
そうすれば、絶縁のきっかけになるようなトラブルを事前に回避できるかもしれないからです。
最後に、遺産相続で兄弟の絶縁を招くトラブル5つとその対処法についてお話しします。
分配の話し合いで揉める
遺産相続の実際の分配は、話し合いで決めます。
民法で定められている法定相続分を参考にしますが、
- 長男や長女だから
- 経済的に困っているから
- 親の面倒を見て介護をしていたから
などの理由で、遺産を多く貰いたいと主張する兄弟や姉妹も少なくありません。
結果、話し合いで揉めて絶縁してしまった…という事態になることも。
対処法としては、遺言者の生前からある程度の話し合いを進めておくこと。
普段から円滑な関係を築いて、遺産相続の分配に関しても納得してもらえるように心がけましょう。
遺産が想像よりも多かった
遺言者が亡くなってから、隠れたお金や資産が出てきた…というケースもあります。
この場合に問題となるのが、事前に話し合いで遺産の分配について決めていたとき。
新たに出てきた遺産をどうするのかということで、揉めてしまうケースも少なくありません。
特に、不動産や土地など現金以外の遺産には要注意。
分配しづらいのでトラブルの元になりやすいのです。
対処法としては、しっかりと計算をし直して平等に分配をすること。
少し手間がかかりますが、相続人全員が納得して合意できるように努めましょう。
音信不通だった兄弟が現れる
遺言者が亡くなったことを知って、突然音信不通だった兄弟や姉妹が現れた…。
なんてことは、よくある話です。
しかし、実は遺産分割協議(話し合い)は、相続の権利を持つ人全員で行わないと無効になります。
兄弟や姉妹に相続の権利がある場合は、全員平等に分配するのが法定相続分での決まり。
音信不通の兄弟や姉妹がいる場合はどっちにしても探し出さないといけないので、現れてくれるのはラッキーであるともいえます。
問題は、遺産相続の分配について。
何年間も音信不通だった兄弟や姉妹が突然現れて、平等に遺産相続を要求されると納得がいかないこともありますよね。
話し合いで解決できるのが一番ですが、難しい場合は弁護士に相談するのも手段の一つ。
音信不通だった兄弟や姉妹に何かしらの問題がある場合(親の介護を全くしなかった、過去に金銭トラブルを起こした、など)は、分配を少なくできる可能性もあります。
一方的に要求を通して遺産を受け取る
兄弟や姉妹の中でも、長男や長女は立場が強い傾向にありますよね。
しかし、法定相続分の決まりでは年齢や性別・立場の違いによる分配の違いは認められていません。
兄弟や姉妹である限り、全員平等に分割するのがルールです。
一方で、兄弟や姉妹の誰かが家業を継いでいたり親(遺言者)の面倒を見ていたりした場合、話し合いで遺産の相続分が増えることはあります。
法的な決まりはありませんが、話し合いの中ではそのように優遇することが多いようです。
問題は、長男や長女だからという理由だけで一方的に要求をされた場合。
上記のような特別な理由がないのならば、その要求を通す必要はありません。
正当性を持って話し合いに応じ、偏った分配にならないようにしましょう。
親の面倒を見ていた兄弟への分配について
親が亡くなった場合の子どもたち(兄弟や姉妹)の話し合いでよくあるトラブルです。
法定相続分では、兄弟や姉妹の分配は平等で均等に分けます。
でも、自分だけが親の面倒を見て介護をしていた場合、平等に遺産相続をするのは何だか納得がいきませんよね。
しかし、残念ながら親への貢献度は遺産相続には影響しません。
話し合いで他の兄弟や姉妹が認めてくれれば問題ないのですが、そうでない場合は均等に分配するのを許容するしかないのです。
ただし、親の面倒を見ていた自分が遺産を多く受け取る方法は2つあります。
- 生前贈与を受ける
- 遺言書に書いてもらう
生前贈与は厳密に言えば遺産相続ではありませんが、この方法であれば結果的に多くの資産を受け取ることになります。
また、遺言書に書いてもらえば、分配の比率を高めることも。
ただし、遺言書は遺言者の意思で書くものであり、2人以上で書くと無効になってしまうので気をつけましょう。
遺産相続で兄弟の絶縁を避けるためには?【まとめ】
遺産相続は、家族の関係を揺るがす重要な問題。
仲の良かった兄弟も、遺産を巡っての話し合いで揉めて絶縁してしまうケースが後を絶ちません。
そんな悲しい事態を避けるためには、あらかじめ遺産相続についてしっかり取り決めをしておくことが大切です。
必要であれば弁護士にも介入してもらって、お互いに納得ができるような遺産相続の分配を心がけましょう。