2020-01-01

行政書士に終活のアドバイスもらうには?ポイントと注意点を詳しく解説

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行政書士に終活のアドバイスもらうには?ポイントと注意点を詳しく解説

この記事の目次

終活を始めるにあたっては、その内容がわきにわたるため困惑する人も多いです。
そんな時、行政書士に相談すれば留意点も整理してもらえるので、安心して終活を行えます。
それでは、行政書士に終活について相談するとき、どのような部分に気を付ければ円滑に進むのか、特に大事にして欲しいポイントをご紹介します。

 

家族や親族の構成をまとめておく

終活の中で、大部分を占めるのはやはり「財産」の取り扱いです。
財産と言っても、一般的には現金や預貯金のことを思い浮かべますが、ローンなどの債権も財産の一部になります。

財産は、故人が亡くなるとその血縁関係の近い順に相続されることが法律で決まっています。
相続も当然終活には欠かせないことではありますが、ご相談いただく際に家族や親族がどれだけいるのか、血縁関係がどうなっているのかをあらかじめ教えていただけると、話がスムーズに進みます。

この時、「叔父とは仲が悪いから話をしたくありません」「三男は勘当しているので財産を相続させることは一切ありません」などと、家庭の事情を切りだされる場合もあります。それらはあくまで家庭の事情であり、相続については法律が優先することはご理解いただきたいです。

なお、構成をまとめておくといっても「家系図」レベルでなくても構いません。
最近はホームページなどに「親等図」などのデータがあるので、それに当てはまる人の氏名や住所、連絡先をメモ書きしてもらっても十分活用できます。

あと、「家族よりも大事な人」がいるという場合も多くなりました。
旧知の友人、仕事上のパートナーなど、自身の死後何かを託したいことがある場合は、それらの人々についても氏名や住所、連絡先を残しておかれるとよいでしょう。
これらの人々は、法律上故人の財産を相続する権利があるわけではありません。

ですが、仕事上の契約関係があったり、お金を借りているなど財産に関する何らかの関係性がある場合は、その事実もまとめておいてくださるとありがたいです。

財産目録を作成しておく

先ほどの項でも財産について多少触れましたが、財産目録を作成しておくのもおすすめです。
財産目録は、以下の項目のものについて、その数量や所在を明らかにしておくべきです。

・土地
・建物
・預貯金
・株式
・自動車
・美術品
・価値のある耐久財
・貸付金
・借入金
・保険金
・寄付金

これらのうち、土地や建物は固定資産税の課税台帳や法務局で登記事項証明書などを確認すればすぐにわかります。
この時、土地や建物は取得時の事情により複数名で所有している場合もあります。

例えば新築住宅などは、ローンを借りる時に夫婦それぞれに借用することで共有財産として「山田太郎ほか1名」などと記載されるので明確です。
共有財産部分の相続については、権利が移動するのは亡くなった故人の財産分だけです。

故人の財産分を相続人の合意により別の人に移転することはできますが、存命の共有者部分までは対象になりません。
このケースの場合、共有者も相続人になる場合も多いので、財産分与の際に「この機に単独所有としたい」などと申し出て、すべての相続人の同意が得られればそれが可能になります。

忘れがちなのは、美術品や価値のある耐久財です。美術品と言っても価値があるかどうか素人にはわからないこともありますし、価値のある美術品と聞いていても贋作である可能性もあります。もし美術品の価値が気になる場合は、専門家に鑑定を依頼することも必要です。

あと、自動車や高級な家電などは意外にも資産として価値のある耐久財となります。金額としてどれくらいが高級な家電かどうか、法律で定めがあるものではありませんが、自分が価値のあるものと考えるものを挙げておくとよいでしょう。

その他、ローンなどで借り入れているお金は「借入金」、すなわち債権になりますので、借りた相手や返済計画についてきっちり挙げておきましょう。同様に、自分が誰かにお金を貸している場合は「貸付金」として算段しておくことも必要です。

意外に忘れてしまうのが保険金です。亡くなった場合にどれだけ保険金が下りるのかを確認しておくことは必要です。それも相続すべき財産としてみなされるので忘れずに確認してください。

あと、生前お世話になった学校や機関、病院などに寄付をしたい場合も同様です。

これも「自分が亡くなってから」とのご意向をお持ちの相談者が多いのですが、確実に寄付をしたいということであれば、やはりご存命のうちになさってはいかがだろうかとお伝えしています。

ご遺族が寄付を履行しないことを懸念しているわけではありませんが、故人の意思を尊重することを最優先するならば、「できることは生前のうちに」とアドバイスをさせていただく方がよいと考えております。

自分の意思を明確にしておく

終活とは財産などの分与だけではなく、葬儀や納骨・埋葬について自分の意思を明確にすることも必要です。
葬儀や納骨・埋葬について遺族間でトラブルになりそうな場合は、前もって生前に意思を伝えておき、遺族間のトラブルを未然に防ぐことをお勧めします。
これらのことについて、特にトラブルになりそうな要素をお伝えすると、次のようなことになります。

・葬儀の方法や対象者
・納骨や埋葬の場所
・遺品の形見分け

まず、葬儀の方法や対象者は本人の意向だけでなく、葬儀を取り仕切る遺族の意向も影響するものです。

よくある話が、いわゆる地元の名士であった故人は「家族葬でよいから質素に行うこと」を石として残しておいたのに、遺族が自分たちの事情で多くの人々を招く葬儀やお別れの会を後日開くようになってしまったケースです。故人がいくら意向を伝えていても、その場で反論できない状況になってしまっているので仕方がないとはいえ、少々違和感を感じるのは私だけでしょうか。

また、遺族間で意見が分かれるケースも当然出てきます。最終的には遺言書やエンディングノートなどで生前に個人の意思が決められているのだから、それに従おうと決めるのがベストでしょう。

同様にもめる原因となるのが納骨や埋葬の場所です。例えば「夫婦墓に納めて欲しい」など生前に故人の意向があったとしても、遺族の金銭的な事情や墓の管理上の理由で故人の意向に沿えないことになることもあります。

これは私見ですが、私の経験上納骨や埋葬の場所で遺族間がもめる一番の原因は「費用」です。亡くなってから墓所を購入したりすれば当然その費用が必要となるわけで、遺産を相続してからその中で費用を捻出すれば済むのですが、それを嫌う親族が1人でもいれば物事は先に進みません。ですので、生前のうちに自分の希望する場所や墓標を購入しておくなどして、「ここに納骨して欲しい」と段取りしておけば、この件に係るトラブルは回避できるかもしれません。

愛用の時計や道具など、遺品の形見分けについても意外とトラブルになるものです。高級な時計などは財産として財産目録に記載して、取り扱いを遺族間で協議する必要があるでしょう。

それほどでもない物について、どうしてもあの人に譲りたいという意向があるならば、遺言書やエンディングノートなどにその旨を残しておくべきでしょう。
形見分けの場合、旧知の友人などが登場してきて「生前にもらい受ける約束をしていた」などと主張することもあります。この時、生前の約束などがわかる資料がなければ混乱を招くので、「万年筆は友人に贈る」などと残しておく方がよいでしょう。

後を託す人と一緒に相談に行く

就活はやはり「自分の人生の引き際」について、自分が望む形になるように進めたいというのが基本です。
でも、生前に自分で段取りができることもあれば、没後になって遺族に自分の意向を託さざるを得ないことも中にはあります。
改めて整理してみると、次のように分けることができるのではないかと思います。

○生前に自分で行えること
 ・財産目録の作成
 ・財産分与の意向を残す(=遺言状の作成)
 ・形見分けの希望
 ・自分の死を伝えるべき人々などの連絡先整理
 ・墓所の購入あるいは散骨や永代供養墓など遺骨の受け入れ先の契約
 ・葬儀社の決定及び葬儀形式の決定
 ・寺院関係者への依頼(葬儀への参加、供養の依頼など)
 ・家系図の作成
 ・死後必要となる公的手続きの整理(委任状の作成など)

○没後に遺族に託さないとできないこと
 ・葬儀の実施
 ・火葬場の予約及び火葬
 ・納骨等没後の宗教的祭祀
 ・墓所の管理
 ・財産分与や相続に係る手続き
 ・友人等への周知
 ・形見分けの実施

ご覧いただけるとわかるように、生前に段取りができることは意外と多いものです。
終活を行う場合、その内容は多岐にわたるのでなかなか取り組みにくいと考える方も多いのですが、このように整理してみて、まずは生前に自分で行えることから徐々に取り組んでみられると、そんなに難しいことではないと感じていただけるのではないでしょうか。

また、自分の意志とは言いつつも、配偶者と一緒に考えるべきこともあります。例えば墓所の購入などは、配偶者が存命の場合、一緒に入るのか、別々に入るのかなど、配偶者が亡くなったときにも影響してくることですので、意向を確認しておく方がよいです。

何より、没後に遺族に託さないとできないこともあるわけなので、子どもたちや兄弟など、頼りになる親族や家族と一緒に終活をされることを特にお勧めします。
実際、ご本人だけが相談にお見えになっても、いろいろ話しているうちに「息子に相談してみないと決められない」など、せっかくお越しになってもその場で物事が決まらないことも多いのです。
それよりは、息子さんなど後を託す方々と一緒にご相談にお見えになれば、それぞれの意向がその場で確認できますし、もし意向が相反することになっても私たち行政書士が一般的なアドバイスをその場でお送りすることも可能なわけです。

身寄りがない方は死後事務委任の検討を

中には、相談できる家族や親族がいない方もいらっしゃるでしょう。その場合には「死後事務委任」を活用されることもお勧めです。

死後委任事務とは、生前に契約しておくことで自分が亡くなった後の葬儀や埋葬、遺産整理に関する事務的な手続きを第三者に代理で行ってもらう権利を付与するものです。死後に契約することはできませんから、生前に行政書士や司法書士などと相談のうえ、契約を締結することになります。

この方法を使えば、契約締結以降は受託者が安否確認を行いますし、日常生活において困ったときも相談に応じますから、便利な仕組みだと思います。

さいごに

我々行政書士などの立場は、終活において「こんなことがしたい」とお考えの相談者の方々の意向にできる限り沿えるよう、生前や没後に想定される法的な手続きへのアドバイスや、委任を受けて代理として法的な手続きを行うものです。

アドバイスとは申しますが、あくまで法律的な観点からのアドバイスになりますので、宗教的な観点でのアドバイスだけに限ると不十分かもしれません。

世の中には「餅は餅屋」ということわざがあります。

何事においても、それぞれの専門家にまかせるのが一番良いということの例えなのですが、

まずは終活において自分がしたいことをピックアップしていただければ、私たちでお答えできないことであっても、別の相談先をご紹介することは可能です。

ご不明な点はぜひ前もってご相談いただければと存じます。

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