2020-01-01
介護保険&保険外サービスを上手に組み合わせて介護負担を軽減するには?
この記事の目次
日本では、急速に高齢化が進んでいることから要介護となる高齢者の数も増加しています。
そこで、国は介護保険制度を設け要介護者は介護保険サービスを利用することができるようになりました。
しかし、介護保険サービスには介護保険法で定められた利用基準があり、サービスの種類や利用の条件に制限があるのです。
そこで、介護保険では利用できないサービスが利用できる「介護保険外サービス」というシステムがあります。
要介護認定を受けている高齢者でも、受けてない高齢者でもサービスを利用できる介護保険外サービス。
この記事では、介護保険サービスと介護保険外サービスの種類や特徴について解説しています。
ぜひ、ご覧になり参考にしてくださいね。
介護保険サービスを復習
介護保険サービスは、介護認定調査会で要支援、要介護認定を受けた高齢者に限り利用することのできるサービスになるのは、もう皆さんご存知だと思います。
介護認定を受けるまでの流れは下の記事に詳しく書かれているので参考にしてくださいね。
【関連記事リンク】介護認定を受けるには訪問調査が必要?!申請から認定までの流れを解説
サービス内容も介護保険制度の枠内のものに限定されています。
では、介護保険で利用できるサービスにはどんなサービスがあるのか改めて確認してみましょう。
介護保険サービスは大きく分けると次の3つになります。
「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」
これらを詳しく見ていきましょう。
1.「居宅サービス」
居宅サービスとは、全部で12のタイプで分類されます。
居宅サービスは、主にご自宅に1人で暮す要介護の方を訪問介護員などが訪問して行われるサービスです。
また、ご家族の方と暮らしている要介護者でも利用できる「ショートステイ」や「デイサービス」などがあります。
・訪問介護サービス
訪問介護サービスは次の5つになります
訪問介護・訪問看護・訪問入浴介護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導
・通所サービス
通所サービスには、通所介護が目的の「デイサービス」とリハビリテーションが目的の「デイケア」があります。
・短期入所サービス
短期入所サービスは「ショートステイ」とも呼ばれ、「短期入所生活介護」・「短期入所療養介護」に分かれます。
居宅サービスは他にも、車いすや杖、歩行器などといった福祉用具がレンタルできる「福祉用具貸与」や入浴用のいす、便器、特殊尿器などが購入できる「特定福祉用具販売」、生活支援や機能訓練サービスを提供する「特定施設入居者生活介護」も含まれます。
2.「施設サービス」
施設サービスは、介護老人保健施設サービス、介護老人福祉施設サービス、介護療養型医療施設サービスの3つのタイプがあります。
・介護老人福祉施設サービス
特別養護老人ホームは特養とも言われていて、利用者の入所条件には要介護度3以上が原則して挙げられています。
・介護老人保健施設サービスとは
介護老人保健施設は老健とも呼ばれ、自宅復帰や社会復帰を目的とした方に医療管理課の基、介護、看護、回復に向けたリハビリテーションを受けることができます。
・介護療養型医療施設サービス
2017年末度に介護老人保健施設への転換に伴い廃止が予定
3.「地域密着型サービス」
居宅サービスと施設サービスの中間的な役割をするサービスで居宅、通所、入所の役割を兼ね備えています。
ですが、地域密着型サービスということで、ご自分がお住まいの地域で提供されるサービスは利用することはできますが、他の市町村にある介護施設サービスは原則として受けることができません。
・小規模多機能型居宅介護
利用者の心身の状態や家族の事情が変わったときでも住み慣れた地域で介護が受けられるよう、同一の介護事業所がデイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせて提供できるサービスです。
・看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合わせた介護で複数のサービスを1つの事業所が一体的に提供するサービスになります。
・夜間対応型訪問介護
夜間帯に提供される訪問介護サービスになります。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
利用者の心身の状況に応じて24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで提供できるサービスになります。
・地域密着型通所介護
定員が18人以下の小規模なデイサービスで、通常のデイサービスと同じ、食事や入浴、リハビリテーション、レクリエーションなどのサービスが受けられます。
・認知症対応型通所介護
認知症の方を対象にしたデイサービスなどで日常生活上の介助や機能訓練を行うサービスになります。
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の高齢者が1つの住居に5~9人以下で食事や入浴、排泄などの介助やその他の日常生活上の支援や機能訓練が行えるサービスになります。
・地域密着型特定施設入居者生活介護
指定を受けた30人未満が定員の小さな規模の介護専用の軽費老人ホームや有料老人ホームで、少人数の入居者に対して食事や入浴、排泄などの支援や介助、機能訓練などが受けられるサービスになります。
・地域密着型介護老人福祉施設
定員が30人未満という小さな規模の特別養護老人ホームで、食事や排泄、入浴等の介助、健康管理、機能訓練などが受けられるサービスになります。
介護保険外サービスを利用しよう!
介護保険では上記のようなたくさんのサービスを利用することができます。
しかし、要介護者に同居している家族がいる場合は原則として介護保険サービスでの「生活援助」を利用はできません。(※但し、家族に何らかの事情があるケースでは介護保険サービスで「生活援助」が受けられることもあります。)
このような場合に利用できるのが「介護保険外サービス」です。
では、どんなサービス内容なのでしょう。
介護保険外サービス例
・同居している家族の援助になるような食事の調理や買い物、洗濯、布団干し、掃除などの家事代行
・金銭管理や契約書など書類類の記入
・正月や節句などの特別行事の調理
・日常の清掃以外の清掃
・車の洗車
・庭の草むしりや花木の水やり、ペットの散歩や世話
・散歩や買い物など外出の際の介助
・来客のために湯茶を出す、食事の準備
・安否確認、定期的な見守り
・話し相手 など
保険外サービスの利用はどこに頼むの?
保険外サービスの利用は、市区町村が実施している非営利が目的になる支援サービスや民間企業が行っているサービスまでありその幅は広く、実施される主体によって費用や利用内容が変わってきます。
主体別、利用条件と費用
利用される方も要介護者の方から、比較的、元気なお年寄りの方まで幅広く対象になるため費用も全額自己負担になるものから一部だけ自己負担になるものまであるようです。
利用される方の必要に応じて、条件にピッタリとなる利用しやすいサービスを選択することが大事なようですね。
市区町村が実施
1人暮らしの高齢の方や要介護者、高齢の方のみの世帯が対象。
全国の各市区町村が独自で行っているサービスのビスなので種類や料金、利用条件は市区町村によって異なります。
サービス例
・食事の宅配サービス
日常的に食事の準備や支度が困難な人に食事を配達
費用は1食500円前後が目安
・オムツサービス
大人用紙オムツを月に1回自宅に配送、購入費を助成
費用は月に上限6,000~10,000円が目安
・移送、送迎サービス
高齢者施設や病院などの送迎、車いすのリフト付き自動車などで移送
介護サービス事業者
介護サービスを利用する場合の自己負担額は1~3割になりますが、介護保険外サービスでの自己負担額は10割負担です。
要介護の方の利用はケアマネジャーに相談、介護認定を受けてない方はサービス事業者に直接問い合わせか地域包括支援センターに相談します。
サービス内容は上記の介護保険外サービスの他、次のような身体介護もあります。
・入院中の世話
・介護施設や病院等から一時的に帰宅した際の世話
・認知症の見守り など
費用の目安:サービス内容によって違いがあり1時間2,000~4,000円前後
デイサービスにお泊り
デイサービスを利用した方がそのまま宿泊
費用は一泊1,500円前後 朝食と夕食の食事代1,000円が目安
民間企業
民間企業が実施する介護保険外サービスは基本的に誰でも利用することができます。
ですが、市区町村が提供するサービスと比較すると費用がかかるようです。
その代わり、サービス内容が豊富で緊急時にも利用しやすいといったメリットがあります。
民間事業のサービスを利用したいのだけど、どのように探せばよいのか分からないときはご近所で実際に利用されている方の口コミやインターネットで検索する方法があります。
また、市区町村でも民間企業による介護保険外サービスの情報を収集して公開するシステムがあるようです。市区町村や地域包括支援センターにお問い合わせしてみましょう。
サービス例
家事代行サービス
家事代行サービス会社、清掃会社、警備会社といった様々な企業が参入しています。
コンスタントに来てもらうプラン、月1プラン、単発利用も可。
費用は1時間3,000円前後が目安
配食サービス
生協、コンビニ、弁当チェーンなどで行っている配食サービス。原則的に手渡しなので安否確認もできる。
費用は1食500~700円が目安 惣菜のみの利用も可でメニューが豊富。
移送サービス
介護タクシーを利用して買い物、通院、観光、イベントなど利用者の嗜好にも利用できる。
訪問介護員や看護師などの同乗、緊急対応も可。
費用は費用設定タイプとなり、メーター運賃、時間運賃、貸し切り運賃など
介護保険外サービスの役割
国では、高齢者の住まいや医療、介護、介護予防、生活支援などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を急いでいるようです。
高齢者が住み慣れた地域で長く住み続けるためには、一人ひとりの高齢者ができるだけ健康であること、できるだけQOL(生活の質)を維持することで生きがいを持つことが重要になると考えているからです。
高齢者の生きがいに貢献できるのが「地域包括ケアシステム」で、そのきめ細やかな役割を担うのが介護保険外サービスになります。
まとめ
介護保険外サービスは介護保険サービスだけでは賄いきれないサービスを補足してくれる心強いサービスで今後も需要の高まりが期待できそうですね。
介護保険外サービスとあまり聞きなれない言葉なので常にアンテナを張り巡らして情報を得ることが必要です。
そのためには、地域包括支援センターやケアマネジャーなどに相談してみるのも良い方法かもしれません。
介護認定を受けてない方は介護保険外サービスの利用で介護予防を、要介護の方は介護保険サービスと介護保険外サービスを上手に組み合わせて利用すれば家族の方の介護負担が軽減、要介護者にも介護者にも笑顔が増えるようです。