2020-02-02

介護技術「ボディメカニクス」とは?|介護の心得6つのポイントも紹介!

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介護技術「ボディメカニクス」とは?|介護の心得6つのポイントも紹介!

この記事の目次

介護に必要なこと、それはたくさんありますが「思いやりと技術」どちらかを選ぶとしたらどちらを選びますか?

どちらも必要なのでどちらか一方を選ぶなんてできませんよね。

介護職の主な仕事は、高齢者や身体に障害のある人の生活に密着した身辺援助です。

その援助に必要な思いやりと技術。

一見、誰にでもできる日常動作のため専門的な技術なんか必要ないだろうと思われがちですが、介護職はサービス業でもあるので、濃厚な対人スキルが必要になります。

では、その対人スキルに必要な思いやりや技術とはどのようなものなのでしょう。

この記事では、介護に欠かせない思いやりと技術について解説してみたいと思います。

ぜひ、ご覧ください。

介護技術とは

介護技術とは、介護の専門的知識が技術を通して適切な手法によって表現されることであり、介護の目的である自立を目指した生活を実現するための実践を支える原理。

介護は紙に書いて終わりではありません。全てが実践であり、実践の基礎となるものは技術になります。

そう考えると、介護技術は介護の中核であり技術のレベルが介護の質を左右するとも言えるでしょう。

介護は誰でもできる?

介護の仕事は誰でもできる、世間ではそう思う人も少なくないようです。

昔は、家庭でどなたかの介護が必要になるとお世話をするのは家族、主に主婦の仕事でした。

つまり、必要に迫られれば自分の親や夫、妻などの家族を介護することから誰でもできるというイメージが出来上がってしまったようです。

ですが、それは「家族が家族を介護する」わけであって、介護職の介護は「プロが介護する」わけです。

従って、介護のプロには多くのスキルや技術が必要になります。

介護に必要な技術の心得6つのポイント

介護に必要な技術は介護する側にとって必要なだけではなく、介護される利用者さんにとっても必要な技術です。

どんな場面でも利用者さんの立場に沿った介護技術が求められます。

介護を行う際に最も重要な心得6つのポイントを紹介していきましょう。

1.介護を行う際に1番大切なのは安全であること。

介助するのに忙しいからと、安全かどうか確認を怠ると利用者さんに危険が及びます。

いくつかの方法がある場合は、最も安全な介助法を選ぶことが大切。

2.恐怖心や苦痛を感じさせない

介助をされていて、痛い思いや怖い思いを感じてしまうと、利用者さん本人の意欲や動作の妨げになってしまいます。

安全で安心できる介助を実践しましょう。

3.介助する際は利用者さんに声がけと説明をし了承を得る

介助する際は必ず一声かけて説明、了承を得てから介助するようにします。

何も伝えられず、いきなり介助されると驚いてしまい、不信感を抱かせてしまうことがあります。

声のかけ方は次のようになります。

  • 必ず利用者さんの前に出て顔を見ながら目線の高さを合わせる
  • これからこのような介助をします、と具体的に説明する

(車いすに移乗する、ベッドから起き上がる、着替えるなど)

  • 説明後、了承を得る。お話をすることが難しい方や意思疎通が難しい方にも必ず声をかけて説明、反応を確認します。
  • 利用者さんの反応(うなずく、ニコっと微笑む、表情)などを見たら、利用者さんの身体の準備が整ってから介助を行う

声をかけずに、いきなり介助を初めてしまうと恐怖心で身体をこわばらせてしまう方もいます。必ず一声かけて介助を始めるようにしましょう。

4.利用者さんが自身で動いたと思えるような介助を目指す

介護者は介護される高齢者ご自身が自分で動けたと思えるような介助をしましょう。

介護者が利用者さんの自然な身体の動きに合わせることで利用者さんは無理な動きをすることなく自分自身で動けたと思えるようです。

5.体調や身体状況に合わせて介助する

高齢である利用者さんの体調や身体状況は日々変化します。

その日々の変化を見落とすことなく、観察・確認し体調や身体状況に合わせた介助を考えましょう。

6.身体に触れる際は優しくていねいに

高齢である利用者さんの皮膚は薄くとても弱くなっています。

また、骨ももろくなっているため少し力を加えてしまうと痣(あざ)になったり表皮剥離(ひょうひはくり)することもあります。

ひどい場合は、骨折してしまうことも。

利用者さんの身体に触れる際は優しくていねいに、支えるときには広い面で下から支えるようにします。

・手のひら全体、手のひらから腕の内側にかけて触れる面を大きくする

・なるべく身体に近い部分を両手・両腕で下から抱えるように支える

介助をするときは、介助される高齢者の気持ちになって考え、丁寧で安全な介護を行うことが重要なポイントです。

介護はやはり、思いやりと高度な技術で成り立っているということですね。

介護技術の基本

介護をするにあたって欠かせないのが「移乗や移動介助」です。

利用者さんは食事をする、入浴する、排泄するといった日常生活の様々な場面で移動が欠かせません。

その移動を助けるのが「移乗や移動介助」です。

この「移乗や移動介助」は介護技術の基本中の基本となるためしっかりと身につけましょう。

「移乗や移動介助」の技術を身につける方法として介護技術の1つ「ボディメカニクス」があります。

ここでは、「ボディメカニクス」を応用して「移乗や移動介助」を無理なく安全に行う方法を紹介していきます。

「ボディメカニクス」とは

利用者さんが安全で無理なく移動してもらうためには「ボディメカニクス」を活用した「移乗や移動介助」が安全です。

介護で言う「ボディメカニクス」とは身体力学、つまり、身体の動きのメカニズムを応用した介護技術と言うことになります。

「ボディメカニクス」を応用して「移乗や移動介助」を行えば、介助される利用者さんの不安や苦痛の軽減だけではなく、介護者の介助時の腰の痛みや身体にかかる負担も減らすことができます。

また、「ボディメカニクス」を身につけておくことで家庭での介護でも役立つようです。

介護

「ボディメカニクス」の基本の原理とは

介護職員やご家庭で介護をなさっている人の悩みの種に腰痛があります。

高齢者を介護していると、身体を移乗・移動させなくてはいけない場面があるため介護者がかがんで支えたり、持ち上げたりしなくてはなりません。

そのため、どうしても腰に負担がかかってしまいますよね。

その負担を軽減してくれるのが、「ボディメカニクス」の応用です。

「ボディメカニクス」はいくつかの原理があります。

1.支持基底面積は広くする

肩幅に両足を広げたり、片方の足を斜め前に出すことで足が閉じているときよりも身体が安定します。

※支持基底面積⇒体を支えるために必要な面積

2.相手になるべく近づく

利用者さんに近づくことで力が入れやすくなります。

3.介護される人の身体を小さく丸める

介護される利用者さんが大きいままだと力が分散され重くなるので、腕を胸に乗せたり膝を立てるなど、出来るだけ丸くコンパクトになってもらいましょう。

4.重心を下げて下半身を安定させる

膝を曲げ重心を下げることで腰への負担が減り、しっかりと支えることができます。

5.てこの原理を応用する

支える部分、力を加える部分、加えた力が働く部分の関係を考えて介助することで、少ない力で大きな効果を得ることができます。

6.身体をねじらない

無理に身体をねじってしまうと腰を痛める原因になります。

利用者さんに足元を向けて介助しましょう。

7.移動は水平に

移動するときは水平にすることで重力の影響を防ぐことができます。

8.身体全身を使う

介助は腕だけを使おうとせず、全身を使うようにすることで安定します。

この8つのボディメカニクスを効率よく応用すれば介護される人も介護する人も腰の負担が軽減されます。

また、介護は介護される人と介護する人の協同作業であることから、介護職は利用者さんに声がけして、「これから○○しますね」としっかり説明することが大切です。

それによって、お互いが無理をすることなくスムーズに介助できるのではないでしょうか。

「ボディメカニクス」応用の利点

ボディメカニクスを応用することで、介護をする介助者の負担が軽減されることはすでにお話しましたが、それと共に介助者の心身を守ることにもつながります。

これは、ボディメカニクスを使った介助をしていると介護される利用者さんにとっても身体的・精神的な負担が軽減されるという利点があるからです。

ボディメカニクスを知らない介助者が力任せに介助してしまうと、利用者さんが動きにくく無理な体勢を強いられてしまい、不安を感じ上手く動くことができなくなってしまうようです。

そうなると、介護する介助者にも心身にかかる負担が増えてしまいますよね。

このように、ボディメカニクスを応用した介護は介助される側、介助する側の両者にとっての大きな利点と言うことですね。

「ボディメカニクス」を使って「移乗や移動介助」

高齢者が日常生活を送る上で欠かせない動作は「歩く」「座る」「立ち上がる」「起き上がる」「寝返る」などの基本動作になります。

この5種類の基本動作の介助を組み合わせれば「移乗や移動介助」がスムーズにできます。ここでは、「歩く」「座る」「立ち上がる」についてボディメカニクスの応用例をみていきましょう。

「歩く」

歩行介助では、介助者が利用者さんの斜め後ろに立ちます。

利用者さんの斜め後ろに立つことで、利用者さんの歩行を妨げないように身体を近付け、利用者さんがバランスを崩しそうになったらすぐに支えられるポイントにつきましょう。

利用者さんにあまり近づきすぎると、体重移動や重心移動を妨げてしまうので歩きにくくなってしまいます。利用者さんの身体の状況に合わせた介助をしましょう。

「座る」

利用者さんが椅子に座るときは、介助者は支持基底面を広くとり利用者さんと一緒に座るつもりで腰を落とします。そうすることで、両者が安定した姿勢で体勢を変えることができます。

「立ち上がる」

利用者さんが椅子に座った状態から立ち上がってもらうときには、重心移動に気をつけながら介助しましょう。

介助者は腰を落とし重心をなるべく低くし、利用者さんの腕を介助者の肩にまわしてもらいます。介助者の両腕も利用者さんの背中にまわし、利用者さんに前かがみになってもらい一緒に立ち上がります。

この場合、立ち上がったときに利用者さんの重心が支持基底面に収まっていると、姿勢が安定しやすくなっています。

ボディメカニクスを応用した「移乗や移動介助」で介助者も利用者さんも安心して日常生活が送れそうですね。

まとめ

介護に必要なことはやはり、「思いやりと技術」でしたね。

介護職が要介護の利用者さんを介助する際には思いやりがなければ技術も発揮できません。

少しでも身体にかかる負担を少なくしてあげたい、少しでも不安な気持ちを減らしてあげたい、そう思う気持ちが技術の向上につながるのではないでしょうか。

また、ボディメカニクスを身につけておくことで、ご家庭での介護、子育て中のママさんにも役立てることができます。

介護は決して誰でもできる仕事ではありません。

これからも「思いやりと技術」で、日本の介護の未来を明るくしていただきたいと思います!

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