2020-02-02

成年後見人制度とは?|改正後の家庭裁判所の手続きの行政書士が解説

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成年後見人制度とは?|改正後の家庭裁判所の手続きの行政書士が解説

この記事の目次

もし、自身が急病に倒れてしまい、意思を伝えることができなくなったら?

あるいは、認知症が進行して、自分であらゆる判断ができなくなったら?

これらのことは、高齢者世代であればあるほど人生の不安材料としてクローズアップされます。

また、障害児を養育する保護者のみなさんも、自身が亡くなった後、養護が必要な我が子のことを誰がフォローしてくれるのか、不安を抱えています。

このような事態に備えて設けられているのが「成年後見制度」です。

いわば、意思表示ができなくなった成人の代わりにそれを行う制度ですが、うまく使えば人生の不安を解消することにもつながります。

では実際に「成年後見制度」とはどのような制度なのでしょうか。

1 成年後見制度とは?

成年後見制度は、精神的な障害を抱えている方のうち、知的障害や精神障害、それに認知症などが原因で、自身の意思を伝える能力や物事を決断する能力が十分でない方のために設けられています。

判断ができない方に対し、不当な契約を迫って高額の買い物をさせるなど、能力が十分でないゆえに不利益を被らないようにするのが成年後見制度の目的です。

成年後見制度では「成年後見人」を定め、契約や申請など自身にかかるあらゆる判断を任せることができます。

では、実際にどのようなことを防ぐことができるかと言えば、やはり「不当な契約による被害」を防ぐことです。

例えば、一人暮らしの老人が悪質訪問販売の説明を聞くうちに、高額な商品を買わされてしまう詐欺にあうことも多いですが、

成年後見人がいる場合は契約の権限が本人ではなく、成年後見人が代行して行うことになるため、不当な契約を結ぶことを防止できます。

また、精神上な障害を抱えているために、判断能力が十分でない方の権利を保護する目的もあります。

でも、障害者だからと言ってさまざまな権利をすべて成年後見人に譲るのではなく、安心して生活を送るために欠かせない自己決定権などは、しっかりと尊重されるべきと言う理念になっています。

具体的には、契約を行うことはできないといっても、日常生活を送るために必要な買い物やサービスの提供にかかる契約は、

当然本人に起因するようになっており、「できることはできるだけ本人が決定する」と言う趣旨も含まれているのです。

そもそも、法定後見制度は、本人が認知症などになってしまった後の話を想定しています。

将来的に、自分で意思表示ができなくなった際、あるいは今後できなくなることが予測される際に、家庭裁判所に対してサポートする人を指定してくださいと求める意味なのです。

2 家庭裁判所の役割

法定後見制度を利用するには、家庭裁判所に申し立てを行うことになります。

申し立ての後は、本人が実際にどの程度の能力を持っているのか「鑑定」をしたり、

申立人の内容が正当なものであるかの「審査」、本人の家族などほかに申立人となるものがいないのか、本人の生活状況がどうなのか「聴取」がおこなわれます。

このように、成年後見人の選任人は様々な材料を集めて、慎重に判断するためにかなりの時間必要になるため、スムーズに手続きが進んだとしても、選任までには早くて3ヶ月程度かかる場合が多いです。

では、実際に選任される後見人ですが、一般的には本人の親族が就くケースが多いのですが、

身寄りがない場合には弁護士や司法書士などの法律の専門家や、行政手続きが代行可能な行政書士が選任されるケースもあります。

ちなみに申し立て先は、後見人を立てたい人が居住している住所を管轄する家庭裁判所になります。

申し立てができるのは、本人のほか、配偶者や4親等以内の親族などです。

気になる費用ですが、手数料として収入印紙で800円分、その他裁判所からの連絡用切手代が別途、認められた後に行う登記手数料として収入印紙2,600円分がそれぞれ必要です。

これ以外にも、手続きを司法書士や行政書士などに依頼した場合は、別途手数料として5万円程度必要になることもあります。

3 成年後見人にも段階がある

成年後見人と言っても、実際には本人がどれだけ判断能力を有しているかによって、認められる権利について、段階的に指定されることになっています。

具体的には「後見」「保佐」「補助」という3段階になっており、後見>保佐>補助という段階が設けられていますが、この中では「後見」がもっとも権限を有する形になります。

ではそれぞれの段階について、与えられる権限について確認してみましょう。

 

〇後見

精神的な障害がもっとも重い方が利用することになるのが「後見」です。

制度の利用が認められると、家庭裁判所によって「成年後見人」が指定されます。

成年後見人によって保護される人のことを、「被後見人」と呼びます。

成年後見人が指定されるケースとしては、事故や病気等により植物状態となってしまった人や、

家族の名前や自分の居場所などを正確に判断できなくなっている重度の認知症の方、知的障害などで自分の意思を明確に表示できない方が対象となることが多いです。

成年後見人に選任されると、本人の同意を得ることなく法律に基づく行為を代理することができます。

また、本人が成年後見人の同意を得ることなく行った契約などの行為を取り消す権限を持っています。

そのことにより、訪問販売などで詐欺にあった場合でも、その不当な契約を無効とすることができるため、財産の保護を図ることができます。

ただし、本人が居住する不動産の処分など、本人の生活環境に影響を与えるような契約行為について、

成年後見人だけが独断で判断するのではなく、あらかじめ家庭裁判所に申し立てをして許可を得なくてはできません。

成年後見人が指定された場合、本人は「被後見人」と呼ばれます。

もし、成年後見人と被後見人の意見が一致しない場合は、家庭裁判所の判断を仰ぎ、成年後見人の解任や別の人を再度選任しなおすなどの処置が可能です。

また、成年後見人が被後見人の不利益になる行為をしないために、家庭裁判所は成年後見人を監督する「成年後見監督人」を選任することもあります。

また、被後見人と成年後見人の間で売買契約をする場合など、特別な事情が生じる場合には、家庭裁判所にその案件を処理監督するための「特別代理人」を選任してもらうこともあります。

 

〇保佐人

「保佐」は、被保佐人が日常の買い物程度のことは十分対応できるものの、不動産の売買契約や口座の解約など、

財産にかかわる重要な手続きや、その他重要な法律行為を行う際に判断能力が不足している判断される場合に利用される制度です。

例えば認知症の方の場合、日によって認知症の症状が異なったりする場合もありますが、一時的に判断能力に不足を生じるような場合には、成年後見人ではなく「保佐人」が選任されることになります。

保佐人はあくまで「補助」であり、一般的な契約行為や法律行為などは、あくまで被保佐人(=本人)が行為者となり、保佐人はその同意を与える役割を果たします。

また、成年後見人と同様に、保佐人が被保佐人の不利益になる行為をしないように、保佐監督人を選任してもらうこともできます。

保佐人は、重要な法律行為についてのみ、同意や取り消しができる権利を与えられています。

例えば、借金や不動産の売買、相続人となる場合に遺産分割協議に参加することなど、財産の異動や法律行為に基づく申請を行うときなどには、保佐人の同意が必要になります。

もし、保佐人の同意なしに被保佐人が行った法律行為は、保佐人の申し出により取り消すことが可能です。

ただし、日用品の購入などの生計を維持するために必要不可欠な契約は、重要な法律行為にはあたりません。

ですが、保佐人の同意が必要な行為については、家庭裁判所の審判により項目と追加することもできます。

 

〇補助人

軽度の認知症の方など、判断能力があまり失われている状態ではない人が利用することが多い制度です。

この制度の利用が認められると、家庭裁判所は補助人を選任します。

補助人は家庭裁判所が選ぶものの、補助人だけは指定するために本人の同意が必要な制度になっています。なお、成年後見人や保佐人は選任されるにあたって本人の同意は必要ありません。

あくまで補助のため、補助人は「あらかじめ定められた法律行為」についてのみ同意や取り消しができるように、その権利に制限が加えられています。

そのため、補助人の選任にあたっては、どのような行為について同意や取り消しを行う権限を持つのか、「代理権付与」または「同意権付与」の審判が行われます。

補助人を選任する場合、一般的には代理権や同意権の審判も一緒に行われます。

 

成年後見人、保佐人、補助人と3つの役割があるのはご理解いただけたでしょうか。

認知症などの進行で判断能力が悪化するなどの事情が生じた場合、改めて保佐人に、あるいは成年後見人にと、改めて家庭裁判所に申し出て改めて選任してもらうことが可能です。

4 成年後見制度と相続

成年後見程度を利用する理由の1つに、相続時の権限をあらかじめ定めておく意味合いもあります。

複数の相続人がいる場合は、そのうちの1人として成年後見人などが代わりに相続への同意を行うこともできます。

また、身寄りがない人の成年後見人は、すべての遺産を相続しその処分について責任を負う立場にもなります。

実際、私が関わったケースでは老夫婦のご主人が亡くなったのですが、その奥様が認知症になってしまっているため、

ご主人が生前より奥様の成年後見人をご長男に定めていたことで、無事に遺産相続の手続きを完了させたことがあります。

ただし、この場合のケースはとても複雑で、ご長男は自分の法定相続分の権利を有しつつ、奥様(=母親)の成年後見人として、奥様の法定相続分の権利についても判断できる立場でした。

これは家庭裁判所における「重要な法律行為」になるため、この時は奥様の弟(=伯父)を特別代理人に選任してもらい、遺産相続の手続きを無事に終えることができました。

成年後見人などに選任されているときは、公正な立場で遺産分割協議へ代理参加することが必須です。もちろん、被後見人にとって不利益な内容で同意することは一切認められません。

相続の際に行う財産分割手続きでは、相続税などの負担を軽くするために、あらかじめ被後見人の相続分を減らし、

子に多く配分するなどの対策も講じられることがありますが、このような「不公正」な行為への同意は権利を逸脱しているとみなされます。

ただし、遺言書や生前贈与などで相続分を調整することは、重要な法律行為ではあるものの、不公正な行為とみなされることはありませんので、関係者と同意をしっかりとって実施すれば問題はありません。

5 まとめ

成年後見制度は、高齢者だけではなく、障害者の子どもを抱える保護者の方からも多く相談を受けるケースです。

自分たちが元気なうちなら、身の回りのことや法律行為も代行できるものの、やがて自分たちも置いてしまうと、残された子どもたちに負担を負わせるのは辛い、と相談に来られる方も多いです。

ですが、家族や親族だけでなく、弁護士や司法書士、それに私たち行政書士なども選任されることもできるので、高性能例に対する不安を軽減することに関して、お役に立てているのではないかと思います。

ですから、成年後見制度の利用と合わせて、将来的な財産の処分や相続に関して、ある程度計画をこの機会に一緒に立てておくと、より安心できるのではないかと思います。

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