2020-03-03

会社の終活とは?|事業承継についてわかりやすく解説

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会社の終活とは?|事業承継についてわかりやすく解説

この記事の目次

日本には数多くの企業が存在していますが、最近「後継ぎ不足」を原因とした廃業が相次いでいることは、みなさんどれほどご存じでしょうか。

行政書士としては、開業に関するお手伝いをすることは今までもあったものの、店じまいに関するお手伝いはあまりケースがなかったもので、ここ数年の廃業ペースには少々驚いています。

実際、日本国内にある企業の約9割が中小企業ですから、ここ最近の「人手不足」「後継ぎ不足」は、事業の継続を断念するきっかけになってしまうのでしょう。

それでも、既存の企業を承継して事業を継続するケースも最近ではみられるようになっています。実際、事業承継は容易に行えるのでしょうか。

1 中小企業が廃業を考える理由

中小企業は、景気の影響をすぐに受けてしまいます。消費の低迷だけでなく、取引先からの仕事量が急激に減少するなどして、資金繰りが悪化するリスクが高いからです。

上場企業であれば、株式を発行して投資家から資金を調達することも可能ですが、中小企業ではその手が使えません。

そこで、銀行などの金融機関からの借入に頼らざるを得ないのですが、保証人を立てることもままならない場合、社長自身の個人補償によって融資を得るなど、身を切るような経営を行わねばなりません。

そこに人手不足、後継ぎ不足が拍車をかけることになれば、それはもう事業の存続を考えるより、廃業を視野に入れる方が選択肢として楽なのです。

ましてや、倒産して多くの人々に迷惑をかけるより、まだ余力があるうちに事業をたたむ方が安心できるというのもあるでしょう。

2 会社を廃業する方法

会社を廃業する場合、その会社が株式会社であれば、その手続きはかなり面倒くさいと思われます。

いわゆる個人事業主の場合は、税務署に廃業届を出すだけで廃業することも可能なのですが、会社の場合には2段階の手続きが必要になってきます。それぞれの手続きについてご紹介します。

 

○解散

まず、会社としてあらゆる業務を終了させることが必要です。そのうえで会社を解散する必要があります。

解散は、社長が宣言すれば済むものではなく、株式会社である以上、株主の承認など必要な手続きを経て行う必要があります。

具体的には、以下の事由のうち1つでも事実が発生すれば解散することが可能です。

 

  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散事由の発生
  • 株主総会の決議
  • 合併により会社が消滅する場合
  • 破産手続き開始の決定
  • 裁判所による解散命令
  • 休眠会社のみなし解散の制度

 

もし、後継ぎがいないなど人材面での事情であれば「株主総会の決議」を、資金のショートなどによる場合は「破産手続き開始の決定」が、解散の理由になってくるでしょう。

 

○清算

会社の解散が認められれば、次に行うのは会社の資産の処分です。これを「清算」と呼びます。

解散を宣言したとしても、そこには資産と負債が残ったままの状態になってしまいますから、資産を売却するなどして負債を「清算」する必要があるのです。

清算手続は、会社の状況によって2つの方法のうち1つを選択します。1つは一般的な「通常清算」、もう1つは「特別清算」や「破産」などのいわゆる「倒産」を前提とする生産です。

それぞれの清算について、もっと詳しく紹介しましょう。

 

▽通常清算

通常清算は、解散した会社が残った債務を全額支払うことができる際に用いることのできる方法です。

選任された清算人(弁護士が就任するのが一般的)が、会社の資産である現金や回収予定の売掛金、商品の在庫などを換価して集めた資金で、会社の債務を支払えば清算は終わりです。

清算の結果、お金が余った場合は株主に分配することになります。分配金に税金がかかるのではないかと思われますが、株主が出資した金額までならば、株主に払い戻しても税金はかかりません。

ただし、出資した金額を超える部分は、「みなし配当」となり、源泉徴収税が課せられるので確定申告等必要な手続きが増えます。

ちなみに、通常清算は倒産などと違って、裁判所の許認可を必要としない行為となるため、裁判所の指導や監督を受けることなく、自分たちのペースで進めることができます。

 

▽特別清算

特別清算は、会社が債務超過に陥っており、会社に残された資産では債務を完済できない可能性がある場合などに用いられる方法です。もし、債務超過に陥っている場合は、通常清算の方法では会社を清算することができません。

特別清算は、裁判所に特別清算の申立てをして、裁判所からの指導監督を受けながら、清算を行なわねばなりません。

なお、特別清算は株式会社しか利用できないことと、債権者の同意が必要なことはあらかじめ理解しておきましょう。

会社法では、債権者の3分の2以上の同意が得られないと特別清算の同意を得たことにはなりません。そのため、実際に特別清算が行われる場合、債権者が少数であったり、清算に対して協力的な場合に用いられることが多いです。

また、親会社が債権の大半を持っている子会社を清算して店じまいするときにも利用されます。

特別清算の場合、特別清算人には旧会社の意向を受けた弁護士が就任することが一般的です。特別清算人は、会社の財産を処分しながら得た資金で負債を返済することになります。

通常清算と違うのは、債務超過を前提としていることもあり、弁済できなかった借金があったとしても「もう払えないので我慢しなさい」と、チャラになってしまうのです。

でも、特別清算の場合はあらかじめ「債務超過になっているのですが特別清算しますよ?」と相談し、債権者の同意を得てから行うものなので、弁済できなかった借金があるのは債権者も織り込み済みなのです。

このあと「破産」についてお話ししますが、破産されてしまうと債権の大半がチャラになってしまうに対し、特別清算の場合は100%ではないにせよ、清算の結果いくらかの債権は返済されるため、債権者も「一戦も返ってこないよりはまし」と同意に至るケースが多いのです。

 

○破産

一般的に「倒産」と呼ばれる行為です。破産は様々な要因で発生しますが、最も多いのは不渡り手形を出したことや、支払期限が遅れたために債権者から裁判所に訴えをされた場合です。

債権者が裁判所に訴えると、裁判所は会社の資産状況を確認し、債務超過に陥っていると判断した場合は会社を「倒産」させます。

倒産させたのち、裁判所が任命する破産管財人(弁護士が就任することが一般的)が会社の資産などを処分し、得たお金の中から借金を返します。もちろんすべての費用が返済されるわけではないので、債権者は泣き寝入りすることになります。

ここまで書くと、特別清算と違いがあまりないように思えますが、破産の場合は債権者などへのイメージが格段に悪くなり、再起を図ろうとしても身についたマイナスイメージのせいで再起不能になってしまうこともあるのです。

債権者からすれば、状況が悪化する前に特別清算でもしてくれていれば、いくらかでも借金が返ってきたかもしれないと思うと、イメージが悪くなるのも納得できるというものです。

3 会社を譲渡する方法

長年行ってきた事業を終えるのに、自分たちの代で会社をたたんでしまうと、顧客が困ってしまうことになるので、なかなか踏ん切りがつかない経営者も多いものです。

その場合、自分たちが経営陣から退いて、別の人間に会社そのものを譲る「譲渡」という選択肢もあるでしょう。

例えば、ともに汗を流してきた専務に社長になってもらい、自分たち創業者は株主や相談役として会社に残り、会社そのものを信頼できる社員に受け継いでもらう方法があります。

株式会社の場合、株主総会で承認を得られれば、社員に会社を受け継いでもらうことは容易です。

別の方法としては、別の企業に会社を買収してもらうことです。株式がある場合は、経営決定権を握るだけの株式を別の企業に売り払いオーナーになってもらえば簡単です。

中小の株式会社の場合、創業者一族が大半の株式を所有していることが多いので、創業者一族がオーナー企業に株式を売り渡せばそれで会社の譲渡は完了します。

あとは、オーナー企業が子飼いの社員を社長など経営陣として送り込んでくれば、会社の譲渡は完了します。そのとき、創業者一族がどのように扱われるかは、オーナー企業の意向次第になります。

これらの手続きは、弁護士や司法書士が行うことが一般的です。登記や金銭管理など、行為が多岐にわたるため行政書士では扱えない行為ばかりになるためです。

4 まとめ

会社の終活を考えると、どのタイミングで会社をたたむことを考えるべきかが焦点になろうかと思われます。

中小企業の場合、やはり「資金調達」が難しくなることがきっかけになるでしょう。

まだ経営者が若かったり、後継ぎが若かったりすれば、再建の方法もいろいろあるでしょう。ですが、経営者が高齢化した中小企業の場合、経営状況が悪化して、

この先の将来が厳しい(=債権の手立てがない)と判断される会社と判断され、融資もストップされてしまいます。

その時点で、会社をたたむことを考えてもよかったのでしょうが、中には経営者が個人的に借金をして運転資金を確保しようとすることもあります。

それで、当面の窮地はしのげたとしても、その後は銀行だけでなくサラ金などにも返済が必要となった結果、自転車操業の状態になってしまうこともあります。

結果的に会社が破産しても、社長個人の借金は会社の破産とは関係ないので、収入は無くなっても借金の返済が続くという厳しい状態に陥ることも考えられます。

そこまでして会社を守ろうとするよりも、会社に余力があるうちに引き際を考える方が、周りに迷惑をかけることがなくてよいのかもしれません。

会社の経営が好調ならばいいのですが、景気は水物、いつどのようなことで経営が傾くかもしれませんから、将来を見据えて会社の行く末を考えてみることも必要だと思います。

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