2020-03-03

相続のトラブルで多い実例と解決方法とは?|行政書士の目線で詳しく解説

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相続のトラブルで多い実例と解決方法とは?|行政書士の目線で詳しく解説

この記事の目次

行政書士としていろいろお仕事をさせていただいていると、相続に関して様々なトラブルに出会うことがあります。

個人的な見解かもしれませんが、スムーズに相続の話し合いが進んでいたかと思ったのに、まさかと思うようなことでトラブルが発生することもあります。

せっかく、このように記事を執筆させていただく機会をいただいているので、相続に関するトラブルを防ぐ一助になればと、トラブルの実例とその対策についてご紹介させていただきます。

1 ケース別の相続トラブル

私自身、さまざまな相続のケースに関わりますが、不動産に関する相続でのトラブルは多いと思われます。

といっても、相続人同士がけんかをするわけではなく、相続人がそもそも誰なのかがわからないとか、相続人が多すぎるという事態に陥ることの方が多いです。

具体的なケースとしては、次のようなものがあります。

 

その1 不動産をめぐるトラブル

実父が所有している財産の相続について、あらかじめ長男と次男で遺産分割協議を行うことになりました。なお、この時点で実母は亡くなっています。

所有している財産は不動産が1千万円、預貯金も一千万円となり、合計二千万円を長男と次男で分けることになりました。

この時、次男が法定相続分である50%を主張し、不動産も預貯金も50%を自分のものとするよう求めたため、現在実父と長男が暮らしている住居の相続についてトラブルが生じました。

と言うのも、長男が不動産をすべて相続した場合、預貯金がその分次男に相続されることになりますが、次男は法律に基づいてすべての財産について50%の相続を要求し続けたのです。

仮に、不動産を売却して換金したお金を法定相続の割合に応じて分けることも可能ですが、現在誰かが居住しているケースでは売却も難しいため、話し合いの結果折り合いをつける必要がありました。

 

○解決策

実父が遺言により自宅を長男に、預貯金を次男に相続させるという内容の遺言を残しておくことで、長男は継続して暮らすことができる不動産を、次男はその分預貯金を相続することで事態を解決しました。

 

その2 賃貸物件にかかるトラブル

賃貸物件を有している父親からの相続の際、常に人気の物件であったために賃料収入が見込めるマンションがあり、その相続をめぐって相続人がそれぞれ自分の権利を主張してトラブルになりました。

実際、相続される財産の大半が不動産である場合、どの不動産を相続するかによって賃料収入の格差が生じることもあり、不公平感から相続人間でトラブルになることも多いです。

不動産を共有にして、入ってくる賃料収入も等分にすることも可能ですが、その不動産の修繕等が生じた時に負担の割合でトラブルになることも多く、できることなら1人の相続人に1つの不動産を相続させた方がトラブルを防ぐことができます。

 

○解決策

他の不動産や預貯金もあったため、均等に分けることができそうではあったのですが、どうしても相続人すべてに均等な分け方ができなかったので、遺言状を残してもらいお父様の考えにより相続を行うこととしました。

まだまだお父様もお元気であったため、不動産を売却して預貯金と残された不動産のバランスをとり、均等に分けられるレベルにまで整理するという方法もありましたが、今回の場合はお父様が遺言ですべて解決する方法を選ばれました。

なお、賃貸収入についてはその計算が難しいのですが、周辺の住居の稼働率を不動産業者に確認することで一定の目安をつけ、例えば「稼働率が年間80%なので満室になった時の賃料収入の80%を見込み収益とする」などの方法が考えられます。

 

その3 介護の有無に関するトラブル

実家で実父の介護をしているのは、次男夫婦です。長男は別の場所に家を建てて別居しているのですが、実父が相続を考えるにあたり、自身や亡き妻の介護を積極的にしてくれた次男夫婦、それも次男の妻に手厚く相続をさせたいと相談がありましたが、長男夫婦から異議がありトラブルに発展しました。

今回の場合、法定相続人は長男と次男の2名だけであり、次男の妻に相続させたい場合は遺言を残しておかないと希望する相続はできません。

実際、民法では親の介護をした相続人が多くの相続分を主張できるという決まりがありません。

ただし、亡くなった人の財産の維持や財産の増加に貢献していた場合にはじめて「寄与分」という特別の権利が認められることはあります。

ですが、単に被相続人の介護をしていただけでは寄与分の権利を認められるには不十分とされています。

例外として、被相続人の介護にあたって自身の財産を捻出していたようなことが立証できる場合、その補填を目的として寄与分の権利が認められる場合もまれにですがあります。

 

○解決策

お父様のご相談を受け、世話になった次男の妻にぜひとも一定の財産を残したいとのことでしたので、遺言状を作成することとしました。

また、お父様の意向を確実に実現するため、ご自身が加入している生命保険の受取人を次男の妻にすることで、一定の財産を希望する方に渡すことができる流れを作りました。

あと、長男と次男にも一定の財産を相続させることとし、現在金額が確定できている預貯金については長男が50%、次男と次男の妻が各25%となるように財産を配分することで、長男世帯と次男世帯の相続が50%ずつになるよう配慮する形をとりました。この時、先ほど触れた生命保険の給付金相当分は除外して計算し、遺言で次男の妻に全額を与えることを記しておくことで確実に相続させるよう配慮しました。

 

その4 すねかじりする子どもへの相続をめぐるトラブル

お父様が三人の娘に相続させたいと考えたのですが、そのうち同居している長女については離婚後実家に戻ってきて金銭的支援を続けてきたので、その分だけを「相続の前借り」と考え、次女と三女には適切な金額を相続させたいということでした。

例えば預貯金が1200万あったと仮定した場合、本来は400万ずつを3人の娘に相続させたいところですが、長女の分については実家に帰ってきてからの金銭的支援にあたる300万円を差し引いた100万円を相続させ、浮いた300万円は次女と三女に150万円ずつ分けて加配したいというのがお父様のご意向でした。

ご意向としてはまっとうなことではあるのですが、当然長女は納得するわけもなく、トラブルに至ってしまいました。

 

○解決策

これも遺言状に明記しておくことで、自身が亡くなった後の相続を希望する形となるように整理させていただきました。

ここで問題になったのは、これから自分が亡くなるまでの間、長女がどの程度自身の預貯金などを「すねかじり」するかと言うことでした。亡くなるまでの間支援を続けていると、相続するお金がむしろマイナスになるのではないかと危惧されたのです。

それについては、これ以上長女に支援を行わないようにするのが一番ですが、そうもいかない場合は遺言状を作成する時点のお金で計算するしかないと考えることにしました。

あと、お父様が認知症などになり、判断能力が低下するようなことがあった場合、同居している長女がお父様の財産を勝手に使ったりすることも懸念されたので、成年後見制度を利用することで勝手な使い込みを防ぐことを提案しました。

幸い、近所にお住いの次女がいらっしゃるので、将来的には次女に成年後見人となっていただくことで長女の暴走を防ぐことにしました。

 

その5 血のつながりのない子どもたちに関するトラブル

相談者であるお父様には、自身の連れ子である長男と、再婚した奥様の連れ子ある次男(結婚時に養子縁組をしている)がいらっしゃいました。

そこに、お父様が認知していた別の女性との子どもが現れてトラブルが生じました。

スムーズにいけば、奥様に50%、長男と次男に25%ずつ相続して終わりなのですが、そこに新たな相続人が現れることで、奥様に50%の相続は変わらないものの、子どもが3人となり、16.6%ずつの相続率になってしまうことで子どもたちは不満を持つことになってしまいました。

お父様は若い時のこととして、現在の家族には別の女性との関係を一切明かしておらず、ますますトラブルになってしまいました。

 

○解決法

民法上、認知している子どもであれば法定相続上では相続権利を持つことになりますので、一緒に暮らしていた2名の子どもたちは納得がいきません。

そこで、先ほども紹介した「寄与分」を整理してみることにしました。実際、お父様の財産の維持や財産の増加には、自営業を一緒に手伝っていた2人の子どもたちの貢献は十分に認められるものであり、それぞれの子どもたちが自費を投入して事業の維持に関わっていたこともあり、自費相当分を「寄与分」といちづけて相続時に一定の権利が認めることにしたのです。

つまり、事業を守り続けてこられたのは2人の子どもが自費を投入してくれたためであり、相続にあたってはその部分を十分配慮することにした結果、16.6%になってしまいそうだった2人の子どもたちの相続分は計算上28%になりました。

本来であれば1000万円を分けることになっていましたが、そのうち2人の子どもたちの寄与分として1人当たり300万円を引き去り、残った400万円を改めて相続人間で分けることにしたのですが、後で登場してきた認知している子どもにも一定の相続を認めざるを得なかったことは事実です。

2 まとめ

相続に関しては、本当にさまざまな意向が絡んで、トラブルが起きてしまうことがしばしばあります。

例えば、前妻や後妻の間にそれぞれ子どもがいるので係争が予測される場合や、別の女性がおり、過去に認知した子どもがいるので財産を残してあげたいなど、特殊な事情がある場合は、遺言を残してトラブルを回避することを考えましょう。

また、遺産を与えたくない相続人がいる場合や、遺産をお世話になった自治体や団体などに寄付したいなどの意向がある場合も同様です。

民法の解釈では、相続は財産を相続する側ではなく、残す側の意思を尊重する仕組みになっているため、遺言は法律上絶対の優先権を得ています。遺言があれば、法定相続人以外の人へも自由に遺産を分配することが可能となるのは、法律上の優先権がなせる業です。

もし、将来的に相続トラブルが起きる可能性があるのであれば、遺言の作成など、前もって対策を講じて置かれることをおすすめします。

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