2020-04-04

亡き親のさまざまな権利は引き継ぐことが可能か?|行政書士の目線で解説

facebook
twitter
はて部
LINE
この記事を読むのに必要な時間: およそ4分
亡き親のさまざまな権利は引き継ぐことが可能か?|行政書士の目線で解説

この記事の目次

親が亡くなった後、葬儀や納骨などのことを考えていろいろと忙しくなることもありますが、その後には「相続」など、親が持っていたさまざまな権利の整理が必要となってきます。

そもそも、亡き親が持っていた権利などは、どのように引き継げばいいのでしょうか?

1 亡き親が持っている権利とは?

亡き親が持っている権利などを見渡してみると、以下のようなものが考えられます。

 

  • 預金通帳
  • 株式
  • 不動産
  • 家財道具
  • 借金
  • 健康保険
  • 年金
  • 財産の相続

 

その他、他人の資産に係る役割(連帯保証人など)を担っている場合、それらが故人の子である自分に回ってくるのかなど、心配になる場合もあります。

特に急ぐのは、銀行口座の解約や健康保険や年金の手続きなどです。また、相続放棄のように相続開始から3か月以内でないと認められないなど、期限が定められている手続きもあります。

まず、できる限り「引き継ぐもの」をリストアップして、それぞれの手続きについてその方法を検討するところから始めましょう。

その時、行政書士など専門家に頼っていただくと、手続きの代行や資料の作成などをあなたに代わってお引き受けすることもできるので、ぜひご活用いただきたいと思います。

なお、自動車や株式の名義変更については

「車や株式の名義変更手続きする時のポイントとは?|行政書士が徹底解説」(https://syukatsu-susume.com/articles/00411

不動産の相続については

「不動産の相続登記をする時のポイントとは?|よくある例を行政書士が解説」(https://syukatsu-susume.com/articles/00405

にそれぞれ詳しく紹介しておりますので、あわせてごらんください。

2 死亡届を提出しよう

死亡届を提出するのは、法律で死亡した日から7日以内と決まっており、居住していた市区町村役場へ手続きを行うこととなっています。

亡くなった人が世帯主であった場合は、さらにプラス7日分の余裕が与えられ、14日以内に新しい世帯主を決めて世帯主の変更手続きをします。

この場合、世帯主が亡くなったことで世帯に1人しかいなくなった場合は、その人が世帯主となるため、手続きは不要です。

この時、死亡診断書がなければあらゆる手続きが先に行かなくなります。身近な方が亡くなったらまずは死亡診断書をもらうことを忘れないでください。

死亡診断書は、亡くなった病院の医師や主治医、かかりつけ医が発行します。市区町村に死亡届を提出する場合や、生命保険などに関して死亡保険金を請求するときなどに必要になります。

ちなみに、医療を受けていた傷病が原因で亡くなった場合は「死亡診断書」、交通事故など傷病以外の原因で亡くなった場合は「死体検案書」が発行されます。どちらも、死亡後の手続きをする上での効力は同じです。

実際の様式では、死亡診断書と死亡届はそれぞれ同じ用紙に記載されることがほとんどです。そのため、市区町村役場に死亡届を提出すると、死亡診断書はそのまま原本として提出するため、手元に戻ってきません。

そのため、その他の手続きで使用することを考慮して、あらかじめ複数枚発行してもらうか、コピーを取っておく必要があります。

3 葬祭費や埋葬料を受け取る権利を忘れない

故人に関する権利の中で、意外と忘れてしまうのが「葬祭費」や「埋葬料」の請求です。

これは、故人の葬儀を行った人が受け取ることのできる権利であり、故人が健康保険や後期高齢者医療の被保険者となっていた時に、葬祭費や埋葬料といった補助金が支給されます。

支給される補助金の金額は市区町村や健康保険組合によって異なりますが、3万円または5万円であることが多いです。

この制度は、葬儀を出した人に対して、その費用の一部を補填してくれる仕組みですが、申請するだけで補助金を受け取ることができるので覚えておいて損はありません。

申請の期限は、葬儀を行った日から2年以内ですが、申請先は保険の種類によって異なります。

故人が国民健康保険や後期高齢者医療の被保険者であった場合は、故人の住んでいた市区町村役場が申請窓口となります。その際、亡くなった人の保険証と、死亡診断書のコピーまたは埋葬許可証などを提出しましょう。

また、故人が社会保険に加入していた場合は、勤務先や勤務先が加入している健康保険組合が申請先になります。

4 年金に関する権利も確認しよう

故人が加入していた年金によっては、遺族年金などの名称で遺族が継続して年金を受け取ることができる場合があります。

この遺族年金にはさまざまな種類がありますが、加入していた年金によってその名称や金額が異なります。

国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合は、その配偶者に遺族基礎年金(年間約100万円から130万円程度)が支払われます。

ただし、故人に養育されていた18歳未満の子どもがいることが給付を受ける条件となり、該当する子どものいない配偶者は年金受給の対象外となります。

厚生年金に加入していた人が亡くなった場合は、遺族厚生年金(年間約50万円から180万円程度)が配偶者に支給されますが、遺族基礎年金とは違い、子どものいない配偶者も年金受給の対象となります。

ちなみに、年金に関する権利については年金事務所と言う国の機関が担当していますが、手続きをしないからと言って催促をしてくれるわけではありません。

自分で申請しないと期限が過ぎて権利が無効になってしまうことがあるので、くれぐれも注意してください。

もちろん、この時に故人が死亡したことを同時に手続きしなくてはなりません。死亡診断書などのコピーを用意して、必要な手続きは同時に行いましょう。

5 医療費の請求も確認しよう

故人が病気になっていた時は、生前に医療費が多額にかかっていた部分に対して、高額医療費が支給される場合があります。

病気によっては、入院や手術を行い医療費が高額になっているケースも多いのですが、高額医療費は家族が支払った医療費に対してその一部を後ほど還付してくれる仕組みです。

高額医療費の申請に必要な書類は、診療日から2か月後の月末に市区町村から自宅へ送付されてきます。自宅が故人の相続によって空き家になっているような場合には手続きを忘れやすいので、郵便物は要チェックです。

申請期間は、診療日から2年以内と余裕がありそうなものですが、葬儀や相続など他の手続きに気をとられて忘れてしまうこともあるので要注意です。

6 銀行口座の引き継ぎは要注意

金融機関において、亡くなった人の預金は、亡くなった時点から「相続財産」となってしまうため、相続人が決まるまでは凍結されてしまいます。

と言うのも、相続人のうちの誰かが勝手に預金を引き出してトラブルになることを防ぐためであり、銀行としてはあらぬトラブルに巻き込まれないための防衛策なのです。

逆を言えば、相続人として申し出て手続きをすれば、名義の変更なども以降行えることになるので、相続人を速やかに決めることで引き継ぎがスムーズに進みます。

預金口座が凍結されると、預金の引き出しだけでなく、自動引落もできなくなりますから、公共料金や税金の支払いが滞ることもあり、日常生活に支障をきたすこともあるので速やかに対応する必要があります。

ちなみに、故人の銀行口座が凍結されるタイミングは、故人が亡くなったことを金融機関が把握した時点です。

一般的には、相続人が金融機関に相続手続きの申請を行うことで一時的に口座が凍結されるので、故人が亡くなってもすぐに預金口座が凍結されるわけではありません。

相続人が金融機関に対して相続手続きをスタートさせなければ、ATMで現金を引き出したり、公共料金等を引き続き支払い続けることは可能です。

預金口座の凍結を解除するためには、原則として「預貯金の名義変更手続き」によって、新たな名義人を選定する必要があります。

ただし、葬儀費用や当面の生活費など一定の限度内であれば、相続が終わるまでの間でも引き出しに応じてもらえる場合がありますので、困る場合は金融機関に相談しましょう。

7 公共料金などの手続きは少し落ち着いてからでもよい

公共料金などの相続手続きは、それぞれを担当している公共機関や会社に連絡して行います。携帯電話については、今後使用しないのであれば解約してもよいでしょう。

それぞれの手続きでは、契約番号やお客様番号などをあらかじめ把握してから相談します。基本的には名義変更の手続きをすれば問題ありません。

ただし、水道代や電気代などは、実家に誰か住み続ける場合は名義変更で済みますが、空き家になってしまう場合は契約の凍結や解約などを行ってもよいでしょう。

携帯電話を解約する場合には、死亡診断書や会葬礼状など、契約者が亡くなった事実がわかるものの提出が求められます。それ以外の手続きでは添付書類は必要ありません。

 

8 故人の借金は相続放棄で逃れることもできる

故人が借金を残していた場合、相続放棄をすれば借金を代理弁済する義務からは逃れることができます。

ですが、その分故人の財産を相続する権利も失います。借金だけは支払いたくない、と言うわがままは通らないのです。

まず、財産と借金の全容を把握して、プラスマイナスを確認してから相続放棄しても問題はありません。

相続放棄については「相続で故人の借金が見つかって困った時は?|行政書士の目線で詳しく解説」(https://syukatsu-susume.com/articles/00430)に詳しく紹介していますのであわせてごらんください。

9 まとめ

故人がどれだけの権利を有しているか、その内容は多岐にわたるものです。

特に最近は、さまざまなサービスが普及しており、金融商品も多種多様化していることから、1人で多くの金融商品を保持していることも多いです。

また、生前にどのような取引をしているか、遺族がその全容を知りえていないことも多く、そのため相続などの手続きに時間を要するケースも多いのです。

このようなことがないように、あらかじめ「エンディングノート」を用意しておくなど、亡き後の手続きについて支障がないように備えておくことをお勧めします。

行政書士や司法書士も、さまざまな手続きの代行をさせていただく立場ですので、ささいなことでもご相談いただけるとありがたく思います。

関連記事

人生には、就学や就職や結婚、ときには大切な人との別れなど、
人生の転機になりうる大きなイベントがいくつも存在します。
我々はそういった節目に備えることを「人生を修める活動」縮めて「修活」としました。
修活のススメは、そんなあなたに最適な方法や人生のヒントを提供するメディアです!