2020-04-04

お墓の権利をめぐって争い発生!解決方法は?|終活アドバイザーが解説

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お墓の権利をめぐって争い発生!解決方法は?|終活アドバイザーが解説

この記事の目次

先祖が祀られているお墓を誰が管理していくのか、現在大きな社会問題となっています。

その理由の一つが、地方から都会に多くの人が移動してしまい、故郷から離れてしまったことにあります。

今までであれば、誰か血縁者がいたので、故郷にあるお墓の管理で困ることはなかったからです。

一方、一族の間でお墓の権利をめぐって争いが生じることも増えてきました。

特に、都会でお墓を求めようとした場合、高額の費用が必要になることから、先祖や親が持っているお墓の権利を確保して、自分の埋葬場所を確保しようとして血縁じゃ同士が争うこともあるのです。

そもそも、お墓の権利と言うのはどのようなもので、争いが起きた時にはどのように解決すべきなのでしょうか。

1 法律上お墓の権利は誰が有するのか

お墓にはさまざまな運営形態がありますが、寺院が運営する「宗教法人墓地」や、自治体が運営する「公営墓地」などでは、土地の権利は運営者が保持して、利用する権利を「永代使用権」などとしてお金を払って確保するケースが多くなっています。

法律上、お墓の権利は誰に優先するのかを調べてみると、もし土地の所有権まで移行しているようであれば、当然土地の所有権を持っている人がその上にあるお墓の件を有すると解釈することになります。

ですが、先ほどの例により、永代使用権だけを有している場合、その権利は法律上「系譜、祭具及び墳墓の所有権は(中略)慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。

ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継」することと規定されています。

財産を持った人が亡くなった時、一般的には法定相続をすることになりますから、故人の配偶者に2分の1、子どもたちが残った2分の1を子どもの数で分割して相続することになります。

ただし、お墓の権利の場合はこの法定相続の考え方によらず、お墓を管理し宗教的な儀式を主催している「祭祀主宰者」は相続することができると法律で規定されているのです。

この祭祀主催者とは、故人から見た長男、配偶者、存命している場合は故人の両親などがあげられますが、そもそも「自分が祭祀主催者である」とお互いに主張して争いがおこるケースがあるのです。

争いの内容によっては、お墓そのものの価値があることから財産としてみなすよう主張する場合もありますが、お墓がどんなに高級な材料を使っている場合であっても、一般的には「権利」を重視する場合が多いです。

2 実際に起きている争いとは

私が実際に関わった、お墓の権利をめぐる争いについてご紹介しましょう。私のような行政書士ではすべての問題を解決することができないので、

最終的には弁護士に引き継いだのですが、権利をめぐってさまざまな主義主張が繰り返されたので、ご紹介させてください。

まず、実際のケースの登場人物をご紹介しましょう。

 

故人 A男さん

配偶者 A子さん(A男さんより前に死去)

相続人 一男さん

相続人 二男さん

相続人 一女さん

祭祀主催者 B男さん(A男さんの兄、相続人たちの伯父)

 

相続人3名は、実家を離れてそれぞれが結婚して、別の場所に居住地を構えています。

実家とそのお墓については、それぞれの相続人のうち、最も実家に近い場所に住んでいる一女さんが週1回のペースで訪問して、A男さんの介護や身の回りの世話にあたっていました。

一方、お墓については寺院の経営する墓地を購入していましたが、日常の世話は本家にあたるB男さんが隣の墓地を持っていることもあって、寺院とのやり取りや日常の清掃などをお願いして行ってもらっていました。

昨年、A男さんが亡くなり、その墓地の権利を誰が受け継ぐことになるのかで争いが生じました。一男さんも二男さんも都会に出ていることもあり、やがては故郷に帰ってくる気持ちがあったことから、実家の相続権利と一緒に墓地の権利を受け継ぐことを主張したのです。

一方、長年実父であるA男さんの世話をしてきた一女さんには面白くありません。今まで何も実父のためにしてこなかった2人の兄に腹が立ち、同様の主張をすることにしました。

ですが、お墓の権利に関しては、実際にお墓の管理を「お願いされて実際に行ってきた」ことと、法事や葬儀などの段取りを担ってくれた伯父のB男さんが、「祭祀の主催者は自分である」として、お墓の権利だけは自分のもの(=将来帰ってくる自身の息子のための墓地として確保する目的)にするよう求めてきたのです。

3人の子ども+1人の伯父の主張は平行線をたどっていますが、法律上確認してみても、それぞれ有している権利の範疇で主張しているとのことで、弁護士もかなり手を焼いていたようです。

後日、弁護士から結論を聞いてみると、次のようになったようです。

 

  • 墓地の権利は一女さん
  • その他の財産は3人の子どもで法定相続の割合に基づいて分割相続
  • B男さんには今まで墓地の管理でお世話になったことへの謝礼を渡す(3人がそれぞれ必要な額を負担し、B男さんが同じ霊園内で新たな区画を購入できるだけの費用を謝礼として渡す)

 

墓地の権利に関して言えば、確かに日常の管理はB男さんに任せていたかもしれないが、3人の子どもの中でB男さんに管理を依頼していたこと、

A男さんと一緒に連れ添って墓参りなどをしていた一女さんが「祭祀に関わっていた」として相続するのが最も適切であるという結論に至りました。

もちろん、今回の結論は関わっている4人全員が納得して和解に至ったとのことですから、今後新たなトラブルが生じることはなさそうです。

実際、同様のトラブルは、全国各地で起こっているようです。トラブルが深刻になる前に、弁護士など法律の専門家に依頼して、その解決を図る方が適切であると私は思います。

3 お墓をめぐる争いを回避するためには

お墓をめぐるトラブルを回避するためには、お墓の権利を持っている人が生前にその権利を受け継ぐものを指名することです。

法律的に有効な方法としては「遺言状」に記載しておくことです。遺言状は、財産の分与先や分与の割合などを定めておくために法律で定められた方法です。

具体的には「○○町のXX寺霊園にある山田一郎所有の墓地は長男の山田太郎にその権利を譲る」などと、遺言状に記載しておくことになります。

ちなみに遺言状は、相続人となりえるもの全員の承諾は不要であり、公証人など第三者が内容を確認するなどの方法で作成されれば、法律上問題はありません。

遺言状の作成方法などについては、「終活で遺言状を作る時のポイントとは?|よくある事例を行政書士が解説」(https://syukatsu-susume.com/articles/00406)に詳しく記載していますので、あわせてご覧ください。

あと、故人から遺言状などで相続させる者の指定がされていない場合は、裁判所に決めてもらうことも可能です。民法第897条では、「慣習が明らかでないときは、権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める」とあり、どうしても話し合いでも決まらない場合は、家庭裁判所に申し出て権利承継者を決定してもらうことができます。

本当であれば、相続人どうしで話し合って決めることが望ましいのですが、相続人同士の人間関係がそれを許さない場合は、

裁判所にその決定をゆだねるか、そうならずに済むように生前に何らかの意思を残しておくことが争いの防止につながると考えてよいでしょう。

4 お墓を相続したときにすべきこと

慣習や故人の遺言状、裁判所の選任などにより、先祖代々のお墓を相続した人は、いったい何をすればよいのでしょうか。

まず、親戚関係に、自分がお墓を相続して今後も管理することを伝えるとともに、墓前にその報告をしましょう。

同時に、お墓がある寺院や霊園に自分が相続・承継する連絡をします。公営の墓地の場合、所定の手続きを行わないと権利が移動しないことも多いので、手続きについてはよく確認しておきましょう。

また、権利移動の際には依然交付されている証書など「権利を有しているものの証し」を添付する必要があります。故人の遺品や仏壇の棚の中など、証書が残されていると思われる場所を確認し、提示できるように準備をしましょう。

ちなみに、お墓を相続したからと言って何らかの宗教的行事を執り行う必要はありません。埋葬している人が変わるわけでもないからです。

ただし、お墓の中から遺骨を別の場所に移すような場合は、自治体に「改葬許可申請」を行い、あらかじめ移動の許可を得てから取り出す必要があります。

また、お墓から遺骨を取り出すということで、寺院などに依頼をして供養を行う場合は、その際にお布施を支払う必要が出てきます。

あわせて、霊園の管理者に支払うべきお金の滞納がないか確認しておきましょう。霊園によっては「管理料」などの名目で、永代使用料とは別の費用を毎年支払う必要があり、それを滞納すると永代使用権が取り消されてしまうこともあるからです。

5 まとめ

お墓の権利は、一般的にはその土地を購入した意味ではなく、寺院や霊園が所有する土地のうち、その一区画を使用する権利を得たという意味です。

ですので「お墓を相続する」とは、その使用権を受け継ぐことであることは、しっかりと理解していただきたいものです。

永代使用できる権利を相続したということは、権利と同時に年間の管理料を納める債務をも相続したことにもなります。

昨今、お墓を相続する人がいなくなってしまうことで、管理料が納められず、永代使用できる権利を無効にしてしまう人も増えています。これらに該当するお墓が、いわゆる「無縁墓」であり、墓地の管理上問題になっています。

目の前の権利にこだわることも必要ですが、自分たちの代以降、お墓がどのように管理されるべきなのかもこの機会に考えて、以降の代がお墓の管理で困ることが無いよう、しっかりと受け継ぐことのできる仕組みを考えてみることをお勧めします。

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