2020-04-04

感染症などで亡くなった時に遺族が顔を見てお別れはできるの?対処方法も

facebook
twitter
はて部
LINE
この記事を読むのに必要な時間: およそ4分
感染症などで亡くなった時に遺族が顔を見てお別れはできるの?対処方法も

この記事の目次

2020年3月上旬から世界的に猛威を振るっている、新型コロナウイルス。

日本でも2020年4月10日現在で5千人を超える感染者が発生しており、コメディアンの志村けんさんをはじめとして感染による死者も100人に迫る勢いとなっています。

そんな新型コロナウイルスですが、その感染力の強さから、亡くなった時にもさまざまな対応が必要になるとされています。

誰しも「まさか自分がかかるわけがない」と思っているはずですが、かかってしまって重症化すると、家族に伝えたいことも伝えられないような事態になるのです。

新型コロナウイルスにかからないのが一番良いのですが、かかった時に家族に迷惑をかけないように、どのような対処が必要なのかをご紹介します。

1 新型コロナウイルスに感染したときの葬儀はどうなる

厚生労働省では、新型コロナウイルスに感染し亡くなった人について、その火葬方法などを次のようにするよう求めています。

 

「新型コロナウイルスにより亡くなられた方の遺体は、24時間以内に火葬することができるとされておりますが、必須ではありません」

「感染拡大防止対策上の支障等がない場合には、通常の葬儀の実施など、できる限り遺族の意向等を尊重した取扱をする必要があります」

(以上、厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A」から一部引用)

 

火葬については、一時的に火葬までの間待機することなく、火葬をスピーディーに行ってよいとの方針が示されています。

これは、待機している間に医療機関や葬祭業者の施設などを用いることで感染拡大を懸念していることと、関わる人間を少しでも減らす必要があることから定められているものと思われます。

では、葬儀はどうなるかと言うと、厚生労働省のガイドラインの解釈では、消毒などの措置を講じて、遺族や参列者が感染防止策をしっかりと取っていれば、一般的な葬儀を行うことは問題がないとされています。

ですが実際には、志村けんさんの死去時の対応のように、医療機関から速やかに火葬場に移動し、火葬後に遺骨を自宅等に持ち帰ってから葬儀などを行うという形になりそうです。

志村さんの場合、葬儀は家族葬としてひっそりと行われ、後日お別れの会が開催される予定とされていますが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、

不特定多数の人々が集まる催しを避ける風潮であることから、感染拡大が落ち着いたころに見計らって開催されることになります。

一般人がお別れの会を開くようなことはあまりありませんが、友人など故人にお別れを述べたい人は他にもいるでしょうから、それらの人々の弔問を受け付ける機会は何らかの形で作ることが望ましいでしょう。

2 葬儀業者の対応は業者ごとに異なる

葬儀業者としては一部の葬儀業者がホームページで新型コロナウイルスにかかって亡くなった人の葬儀受け入れについて対応する流れを説明しています。

葬儀業者としては、厚生労働省が「通常の葬儀は対策を講じれば可能」とはいうものの、なかなかそのようには踏み切れない実情があるようです。

実際に通常の葬儀を行うとなれば、葬儀で使う式場、遺体の移動に用いる霊きゅう車、それらの運営にかかわるスタッフ、参列する故人の家族や親族、友人等多数の人の出入りがあり、それぞれに消毒を行わねばなりません。

地域によっては、緊急事態宣言が発せられている状況でもあり、対象地域では不要不急の外出を避けるなど、人の接触を避ける取り組みが行われている状況です。

そのような状況で不特定多数の人々が参列する機会を設けるのは「危険」と考える風潮もあります。

そのため葬儀業者は、基本的に医療機関から火葬場へ直送し、火葬後に遺骨をお返ししてから葬儀を行う「骨葬」のみの対応とする業者が多くなっています。

葬儀業者の都合もありますが、火葬場としても不特定多数の人が来場すると感染拡大の危険性があるため、できることなら最小限の来場者にとどめたい意向があります。

そうなると、結果的に葬祭業者が「火葬場の都合もあるので」と遺族に協力を求め、骨葬での葬儀にならざるを得ないケースもあるでしょう。

さまざまな公共施設の中でも、火葬場は必ず利用者がいる施設であり、新型コロナウイルス関連の対応が特に求められる施設でもあるため、クラスターの発生源となるわけにはいきません。

また、火葬場の職員が感染してしまうと、同僚たちすべてが濃厚接触者となってしまい自宅待機を迫られることとなり、結果的に火葬場を運営する人間がいなくなって火葬場の機能が麻痺する可能性も出てきます。

火葬場は「どうしても稼働が必要な施設」であることから、稼働の妨げとなるリスクを回避する必要があるため、結果的に葬儀業者の対応も骨葬を基本としたものになるのはやむを得ないと思います。

3 遺族が顔を見てお別れができない場合もある

厚生労働省では、新型コロナウイルスに感染し亡くなった人について、火葬時の感染防止策として次のようなことに求めています。

 

遺体の搬送や火葬場における火葬に際しては、遺体からの感染を防ぐため、遺体について全体を覆う非透過性納体袋に収容・密封することが望ましいです。

遺体を非透過性納体袋に収容・密封後に、納体袋の表面を消毒してください。遺族等の意向にも配意しつつ、極力そのままの状態で火葬するよう努めてください。

また、遺体の搬送に際し、遺体が非透過性納体袋に収容、密封されている限りにおいては、特別の感染防止策は不要であり、遺体の搬送を遺族等が行うことも差し支えありません。

(以上、厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A」から一部引用)

 

ここでポイントとなるのが「非透過性納体袋」の存在です。これは、遺体から体液や血液が漏れ出した場合や、故人の皮膚に直接触れることで生じる感染のリスクを防止するために使用が推奨されています。

この袋が「非透過性」ということは、中に入っている人の顔を見ることができないため、火葬する前に故人の顔を見るお別れができないことになります。

それどころか、闘病中もICUなどの専門病棟に移動しており、家族が簡単に面会できない状態であったことから、亡くなっても火葬するまで会えない、つまり新型コロナウイルスに感染して無くなってしまうと、最悪入院してから亡くなるまで故人の顔を見ることもできないケースや、生前に聞き取りをすることすらできなくなってしまうことが考えられます。

また、亡くなってしまったとして、故人の愛用していた衣服やアイテムなどを処分しようとしても、すぐに処分することは危険です。発症直前に使用していた衣服やアイテムは、場合によってはウイルス感染の媒介になることもあるので、消毒してから使用する必要があります。

亡くなった直後には、どうしても故人の葬儀や火葬についてどうするかを考えることに必死ですが、それよりも家族や親族が「濃厚接触者」であること、自分たちを媒介して他の人を観戦させてしまうことがあり得るリスクを理解し、必要な対策を講じることを最優先してください。

一般的には、濃厚接触者は自宅などで2週間待機することが厚生労働省から勧告されていますが、葬儀や火葬に立ち会いたい家族の気持ちもあるでしょうが、今はこれ以上の感染拡大を防ぐために自宅待機を優先されるべきだと私は思います。

4 万が一に備えて日ごろから確認しておくべきこと

このように、新型コロナウイルスにかかってしまった時点で、本人と家族が直接顔を合わせて聞き取りをすることはできなくなります。

筆談でも行えればまだましなのでしょうが、症状によっては意識がなく、どうしても聞いておきたいことを聞くことができないまま亡くなってしまう場合もあり得ます。

新型コロナウイルスに限らず、脳卒中など発症後に本人と話をすることができないまま死に至ってしまう病気は多数あります。

実際、私が関わっていたお客様は、エンディングノートを作成されている状態であったのですが、ある日熱中症にかかって意識を失ったまま闘病生活が続き、結果的に入院から3週間後に息を引き取られたケースがあります。

この時、ご家族はさまざまなことで苦労されていました。入院に必要な経費を出勤するために銀行の定期預金を解約しようとしたのですが、エンディングノートに証書や印鑑の場所を明記してくれていたため何とかなったそうです。

もし、新型コロナウイルスにかかって急遽入院し、家族が様々な情報を知ることも聞き出すこともできなかったら、どうなるでしょう。

最悪のリスクを考えて、高齢者であろうと若い世代であろうと、あとに残されてしまう家族に迷惑をかけないためにも、エンディングノートやそれに準じて必要な情報は何らかの形で残しておくことが必要になっているのです。

5 まとめ

新型コロナウイルスは、2020年4月の時点で東京や大阪などの都市圏で感染者の拡大が続いています。

今までであれば「自分は関係ない」と思っている人も多かったでしょうが、このウイルスは感染してから症状が出るまでの間に潜伏期間が長く、

無症状の状態で不特定多数の人と関わってしまうと感染者をどんどん増やしてしまう負の連鎖が続いてしまうことになります。

葬儀や火葬について思うようなことができないという辛さは、マスコミの報道でも知られるようになりましたが、これらもいつ自分たちが同様の辛さを味わうことになることになるかもしれません。

今は感染拡大を防ぐために、一人一人ができることを行い続けるしかありません。不要不急の外出を避けることなど、終わりは見えなくとも続けざるを得ないのです。

今後、新型コロナウイルスで亡くなった方々の葬儀について、葬儀業者から新しいプランが提案されることも増えてくるでしょう。これからも業界の動きには注目しておきましょう。

関連記事

人生には、就学や就職や結婚、ときには大切な人との別れなど、
人生の転機になりうる大きなイベントがいくつも存在します。
我々はそういった節目に備えることを「人生を修める活動」縮めて「修活」としました。
修活のススメは、そんなあなたに最適な方法や人生のヒントを提供するメディアです!