2020-05-05

後日葬儀とは?感染症や自然災害などですぐに葬儀ができない場合の対処法

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後日葬儀とは?感染症や自然災害などですぐに葬儀ができない場合の対処法

この記事の目次

人は死ぬと葬儀をあげ荼毘(だび)に付されます。

荼毘に付すというのは火葬するということ。

人が亡くなるとなぜ、お葬式をおこない火葬するのか、明確な理由や流れをご存知ない人もいるのではないでしょうか。

最近では感染症や自然災害などでお葬式がすぐにおこなえない場合や家庭の事情でお葬式がおこなえないケースが増えているようです。

この記事では、一般的な葬儀・火葬までの流れと、様々な事情で葬儀ができない場合の対処法である後日葬について解説してみました。

ぜひ、ご覧ください。

荼毘に付すまでの一般的な流れ

人が亡くなることを逝去(せいきょ)や死去(しきょ)といいますが、病気等で身内が亡くなった場合は死去や他界を使用します。

ここでは、葬儀までの一般的な流れと葬儀をおこなう意味を解説しています。

お葬式については下の記事に詳しく書いてあるので参考にしてくださいね!

【関連記事リンク】葬式で喪主がする挨拶|5つのポイント&霊柩車プチ情報

病院で亡くなった場合

1.危篤(きとく)の段階で葬儀社を探しておく

2.死去したら医師に死亡診断書を作成してもらい葬儀社に連絡する

3.安置する場所を決定する

4.安置する場所への搬送(自宅や病院の安置室など)して葬儀社に伝える

5.葬儀社との打ち合わせ日時を決め、遺影に使用する写真を決める

6.葬儀社との打ち合わせで、葬儀の日時、場所、費用、スタイルなどを決める

7.葬儀社との打ち合わせで決めた内容を参列者に伝える

8.納棺、棺に手向ける品物などを準備する

9.お通夜、僧侶や参列者に対応

10.葬式・告別式、故人に代わり喪主が挨拶

11.火葬、骨上げをする

参考:終活メディア

以上が通常の流れになりますが、最近増えている1日葬や直葬(火葬のみ)の場合は流れが異なります。

1日葬の場合お通夜はありません。

直葬では葬儀そのものがないのでお通夜や葬式・告別式は省かれます。

自宅で亡くなった場合

1.危篤の段階でかかりつけ医に連絡する

2.死去したら医師に死亡診断書を作成してもらい葬儀社に連絡する

3.急に死去した場合は警察に連絡する(事故で亡くなったかどうか警察の判断が必要)

3以下は病院で亡くなった場合と同じ

では、病院でも自宅でもない場所で亡くなった場合はどうなのでしょう。

外で亡くなった場合

1.亡くなったことが警察から連絡、警察に行く

2.亡くなった人が身内であるか身元を確認し警察病院に迎えに行く

3以下は同じ

また、警察から連絡があればよいですが中には身元も分からないような死に方をしてしまうこともありますよね。

孤独死の場合

最近よく聞かれる孤独死は誰にも看取られることがなく実に悲しい死に方です。

やはり、一人暮らしの高齢者の場合が多いようです。

日本の核家族化や高齢化問題の縮図でもあります。

身元が判明した場合

身元が分かり遺族が引き取るケースは数々の手続きを踏み葬儀までおこなうことが可能です。

しかし、遺体の腐敗が激しい場合はすぐに火葬するケースが多くなります。

身元が不明の場合

孤独死で身元が判明しない場合や遺体を引き取る遺族がいない場合は「行旅病人及行旅死亡取扱法」という法律が適用されます。

「行旅死亡人」とは

行旅死亡人とは、本人の身元が判明できず遺体の引き取り手がない死者をいう法律です。

この字を見ると旅行中に亡くなった人を指すように思いますが、実際は病気や事故、また、自殺や他殺に至るまで全て含めて身元が判明しない死者は行旅死亡人として扱います。

一人暮らしの方の孤独死で身元が判明しない場合、遺体の引き取り手がない場合もこの行旅死亡人が適用されます。

ちなみに行旅病人とは、歩くこともできないほどの旅行者で、治療を受けるほどの財産もなく、かつ助ける者もいないものを指すようです。

葬儀や火葬

行旅死亡人となった遺体は法律により地元の自治体が火葬します。

遺骨の引き取り手がない場合は、そのような人たちが埋葬されている「無縁塚」に埋葬されます。

何とも悲しい最後になってしまうのですね。

では、何かしらの事情なり理由でお葬式や火葬が通常でおこなえなかった場合はどうなるのでしょう。

感染

死者が感染している場合

地球上には膨大な数のウイルスが存在していると言われています。

人はいつどこでウイルスに感染するや分かりません。

もし、何かしらの悪い病原体ウイルスに感染してしまい死んでしまったら!

故人と面会できない

通常、病院で逝去した場合は葬儀まで故人と寄り添うことができます。

しかし、感染症で亡くなった遺体には感染リスクがまだ残っていると判断。

そのため、遺体は感染を防ぐために非透過性納体袋という袋に納められてしまうのです。

非透過性納体袋とは人が1人入るほどのジップロックのようなもので、そこに入れられ密封されてしまいます。

その後すぐに棺に納められてしまうので、遺族は寄り添うどころか顔さえも見られないままお別れになってしまうのです。

あなたの大切なご家族が感染症で亡くなった場合、このようにお別れしなくてはならないなんて信じられますか?

せめて、最後のお別れぐらい、せめてお顔だけでも見せてもらいたいですよね。

お葬式はおこなえるの?

感染ウイルス等で亡くなった場合は通常のお葬式はおこなえないケースが多いようです。

なぜなら、亡くなったとはいえ感染リスクが非常に高いからです。

遺体にもウイルスが残っていることが十分考えられるため通常の葬儀をおこなうことは難しいとされています。

火葬は?

日本の法律では、人が亡くなると24時間以内に火葬することは禁じられています。

しかし、感染症で亡くなったケースには適用されません。

通常、人が亡くなると24時間以内に火葬してはならない決まりは、死亡判定度が低かった時代に故人が蘇生する可能性があると信じられていたからです。

ですが、ペストやエボラ出血熱などの特定伝染病の場合は24時間以内に火葬することが認められています。

24時間以内ならいつでもいいの?

感染症で亡くなられた方のご遺体を24時間以内に火葬することが認められていますが、実際は難しいようです。

特に都市部では、特定の火葬場で特定の火葬時間しか取り扱っていないのが現状。

そのため、遠方の火葬場まで出向く可能性もあるようです。

また、火葬時間も感染リスクを考慮して16時過ぎの1番遅い時間しか認められていません。

その場合でも火葬に立ち会うスタッフは防護服に身を包みます。

また、遺族の立ち合いも数名に制限され最後のお別れもままならないようです。

葬儀や火葬はスムーズにおこなえる?

故人が感染症で亡くなった場合の葬儀や火葬はスムーズに執り行えるのでしょうか?

感染症の場合、感染リスクがあることから葬儀や火葬を引き受けてくれる葬儀社も少ないと言えそうです。

葬儀者の事情

通常、大きな病院では葬儀社との契約により人が亡くなると葬儀までの流れがスムーズに執り行われるケースが多くなります。

しかし、感染症で亡くなったとなるとそうは行かないようです。

葬儀社のスタッフは常に死者と接しています。

そのため、遺体と接するための正しい教育を受けていて遺体にかかわる適切な処置を心得ているのです。

ですが、感染症で亡くなった方の葬儀をおこなうとなれば、葬儀に参列する方の感染リスクがあります。

特に、高齢者の場合は感染リスクも死亡リスクも高くなってしまうからです。

葬儀社スタッフも感染しているかもしれない、葬儀に参列した方に感染するかもしれないリスクを考えると葬儀を行うのは控えたほうが良いという結果になります。

自然災害で遺体が見つからない場合

自然災害などで、家族が行方不明になり数年が経ってしまうことがあります。

せめて、生きているのか死んでしまったのかだけでも分かれば家族も次の行動に向かえ気持ちの切り替えができるものです。

「失踪宣告」とは

このような場合、行方不明者が消息を絶ち7年経っていれば家庭裁判所で「失踪宣告」という手続きをおこなうことができます。

この「失踪宣告」が認定されれば行方不明者は死亡したものとみなされるのでご家族の気持ちとしてはひとつの区切りとなるのではないでしょうか。

ただし、「失踪宣告」の効力は相続や婚姻などの法律上の手続きに対してとなるようです。

後日葬とは

上記のような感染症で亡くなった場合の葬儀がすぐにおこなえないケースや、自然災害でご遺体が発見できなかった場合の対処法に後日葬という方法があります。

感染症で葬儀ができなかった場合

感染症で葬儀がおこなわれなかった場合、まずは24時間以内に火葬だけはおこない後日改めてお別れの場である葬儀がおこなわれるようです。

火葬まで費用の一例

火葬には基本的に153,000~190,000円ほどかかります

火葬の明細

・骨壺

・寝台車

・棺(棺用布団)

・安置用シーツ

・役所手続き等 など

火葬のみのため、宗教上の費用もなく葬儀もおこなわないのでおもてなしの費用もかかりません。

自然災害で遺体が判明しなかった場合

自然災害等で遺体が見つからない、判明しないケースでは失踪後7年経ち家庭裁判所で「失踪宣告」が認められれば死亡したとみなすことができます。

その場合、ご遺体はありませんが葬儀をおこなうことはできます。

後日葬の種類と費用の一例

・家族葬 (家族だけでおこなうシンプル葬をもとにおもてなしにこだわったプランも用意)40.3万円~

・一般葬 (基本セットと組み合わせたプランも用意)69.1万円~

・火葬・火葬式 (基本セットをもとに様々なお別れが選べる)15.4万円~

・自宅葬 (感染症対策に適した自宅葬でお別れプランも用意)44.4万円~

・社葬 (社葬プランナーがご案内)153万円~

・お別れ会(予算に合わせたプランが用意) 35.1万円~

・無宗教葬(基本セットをもとに様々なプランを用意) 52.6万円~

(税抜き)

宗教で選ぶ場合

・仏教葬 21.2万円~

・神道葬 53.4万円~

・友人葬 48.8万円~

・キリスト教葬 44.3万円~

(税抜き)

まとめ

何かしらの感染症に感染してしまいお亡くなりになった故人は本当にお気の毒でなりません。

そして、そのような故人のお見送りさえもできないご遺族のご心情を察すると胸が締め付けられる思いがします。

また、感染症でお亡くなりになったご遺体を葬儀する葬儀社のスタッフもひとかたならぬご苦労があるようです。

葬儀社の方たちがいくら頑張っても、葬儀は一人でおこなえるものではありません。

二次被害、三次被害を防ぐためにも葬儀を引き受けることができないこともあるようです。

自然災害で行方不明となられ「失踪宣告」が認められた故人も後日葬儀となりますが、ご遺体がないままのお葬式ということで、遺族の方たちのお気持ちは複雑な思いでしょう。

しかし、ひとつの区切りとなるならば前に向かう節目として葬儀をおこなうことは決して悲しいことだけではないように思います。

後日葬とは、残された遺族が今後を元気に生きて行くための大きな区切りとなるのではないでしょうか。

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