2020-05-05
終活アドバイザーがおすすめする友人知人への「お別れ状」とは?
この記事の目次
葬儀のかたちが多様化している現代社会において、生前に自分が望む葬儀の段取りをする人も増加しています。
エンディングノートと言う新たなスタイルも生まれたことで、自分の人生の終わりについて、自分でプロデュースすることができるようになったともいえます。
そんな、人生のエンディングに欠かせない「お別れ状」が最近注目を集めています。果たしてどのようなものなのでしょうか?
1 自分の死を伝えるための「お別れ状」
昨今、葬儀の対象者を家族や濃い身内だけに限る「家族葬」が主流になりつつあります。
感染症の拡大に伴い、大勢の人が同じ場所に集うことを回避する傾向も拍車をかけていることから、今後も家族葬が一般的な葬儀の主流になる可能性があります。
それでも、家族以外の友人などに自身の死を伝える必要はあります。
そこで、自分自身が友人などにお礼を述べることを目的として、生前に「お別れ状」を作成しておいて、自身の死後にそれを発送することで友人各位に不義理が無いようにしておく方法が用いられるようになっているのです。
そもそも、葬儀の在り方自体も変わりつつある時代です。故人が望むよう葬儀が行えるように、葬祭業者もさまざまなプランを提供する時代になりました。
葬儀ではなく、立食パーティーなどカジュアルなスタイルを取り入れた「お別れの会」を開催することも、葬祭業者が提供する新たなサービスの1つです。
確かに、自分が死んだときに周りが涙を流していたりすると、湿っぽい気持ちになってしまう事が考えられますが、そうならずに明るく見送って欲しいと思う人も多いものです。
そういう場合にも、お別れ状をお送りしてパーティーへの参加を依頼するスタイルと言うのもありですし、今後このスタイルも増加するのではないかと思われます。
2 お別れ状を送るタイミング
お別れ状は、自分の死を伝えることが目的です。そのため、送るタイミングは自分が死んだ直後よりも、自分が納骨された時のタイミングになることが多いです。
最近では、葬儀を行わずに火葬場でまず火葬までを済ませた後、家族や親族が落ち着いたときや、四十九日までに納骨を済ませた後のかのいずれかのタイミングで「お別れの会」を開いて、故人を明るく見送り偲ぶことも多くなっています。
考え方によっては、故人の泣き顔を拝見したいというご友人もいるでしょうし、自宅に遺骨が保管されているときに線香をあげたいというご友人もいるかもしれません。
それを「家族葬なので」とお断りすることは可能ですが、故人との長いお付き合いの中で、心情的に「それでも供養に参加させて欲しい」と思うご友人がいるかもしれません。
その時は、遺族の思いと相反しない程度に、ご友人のご意向を受け入れることも考えてみましょう。
ご友人を区別するわけではありませんが、無二の親友と仕事上の知人とはいい意味で区別されても問題はありません。
もし、無二の親友には火葬場で見送って欲しいなどの希望がある場合は、その旨をエンディングノートに残しておいて、遺族から死後速やかに連絡がなされるように段取りをしておくことです。
3 お別れ状に書くべき内容
お別れ状に書くべき内容は、次のようなものが挙げられます。
- 友人への感謝の言葉
- 家族や親族への感謝の言葉
- 自身の思い出話
- みんなと共有したいエピソード
- お別れの会の開催日時
ちなみに、お別れの会を開催しない場合でも、お別れ状を送ることはできます。
お別れ状なのですから、生前にお世話になったことへのお礼や感謝、相手と共有できる思い出話などを書いてお送りすることもできるのです。
それに、相手によって文面を変えることも可能です。ご友人用、ご親族用と分けたりすることもできますし、特定のご友人用に別途用意することも可能です。
あと、お別れ状は手書きであるべきかどうかですが、相手に対して気持ちを伝えるためには手書きの方がよいようにも思えますが、まずは手紙を書くことを優先するならば、パソコンで作成することも問題はありません。
お別れ状を書くタイミングですが、自分の寿命が明らかになった時でもいいですし、自分が心身に余裕があるときでも、どんなタイミングでも構いません。
一般的には、自分の寿命が明らかになった時に書き始めることが多いようです。もちろん、病気などの要因によっては直筆で手紙を書くことも難しかったり、自身の意向を伝えることが難しい状態になっているかもしれません。
そういう時には、日々したためている日記やブログなどにみんなへの感謝の気持ちを書き残しておくことも方法の1つです。
また、手紙の形式にこだわらず、スマホにメッセージを録音しておき、後日データとしてご友人などに送付してもらう方法もできるでしょう。
特に、スマホを活用すれば吹き込んだ言葉をテキストに起こしてもらうこともできますし、アプリを使ってテキスト化することも可能なので便利です。
4 お別れ状の例文
それでは、お別れ状の具体的な例文をご紹介しましょう。
お別れ状の文面は、手紙を送るタイミングや、お別れ会を開催する有無によって文面は大きく変わってきます。
ここでご紹介するのは、遺族がご友人等にお伝えしたいことのみを厳選した、あくまで基本のものになります。
最終的には、自分の気持ちをしっかり伝えられる文章となるようにアレンジしていただく方がいいでしょう。
○亡くなったことのみを伝える時の例文
父 xxxx 儀 去るx月x日午前x時 99歳で永眠いたしました。
なお、葬儀は生前の故人の遺志によりx月x日に身内のみにて執り行いましたことを遅ればせながらご報告いたします。
生前に亡き父が賜りましたご厚情に深く感謝申し上げるとともに謹んでお伝え申し上げます。
(ポイント)
亡くなったことだけをお伝えするので、シンプルな文章で問題はありません。
ご覧になった方が、自宅を訪問して弔意を表したいと希望される場合もありますが、その際は対応できる範囲で受け入れるようにしましょう。
○亡くなってから納骨を行った後にお送りする時の例文
母 xxxx 儀 去x月x日に99歳の生涯を閉じました。
葬儀並びに納骨は、故人の希望により近親者のみにて執り行いました。
本来ならば早くお知らせ申し上げるところではありましたがお伝え差し上げるのが遅れました事、深くお詫び申し上げます。
改めて、故人が生前中賜りましたご厚誼に感謝し、深く御礼申し上げます。
なお、香典や供花等は、生前の故人の遺志により謹んでご辞退申し上げます。
(ポイント)
同じ例文でも、四十九日などの納骨を終え、いわゆる供養の儀式はすべて終えたタイミングでお送りする際の例文です。
供養が一区切りついているとはいえ、香典や供花等をお供えしたいと申し出になるご友人等も多いのので、もとより辞退する予定である場合は「生前の故人の遺志により謹んでご辞退申し上げます」などと、文章に盛り込んでおきましょう。
○お別れの会を開催することを伝える時の例文
父 xxxx 儀 去るx月x日午前x時 99歳で永眠いたしました。
生前に亡き父が賜りましたご厚情に深く感謝申し上げるとともに謹んでお伝え申し上げます。
つきましては、亡き父の「お別れの会」を以下の日時で開催させていただくことといたしました。
ご多忙のところ恐縮ではございますが、ご臨席賜りますよう、お願い申し上げます。
日時 xx月xx日(日曜日)午前11時から
場所 東京都港区六本木 ホテル○○ 本館3階芙蓉の間
電話 03(xxxx)xxxx
なお、当日は平服でご臨席賜りますようお願い申し上げます。
また、香典や供花等は、生前の故人の遺志により謹んでご辞退申し上げます。
(ポイント)
お別れの会を開催する場合の例文です。
お別れの会をいつ、どこで行うのかはしっかりと記載する必要があります。
この文面には「参加費」を記載していません。主催者としては参加費を頂戴するつもりがない場合、もとより参加費について記載しなくても問題ありません。
誤解を招くからと「参加費は無料です」などと記載してもいいのですが、お別れの会の位置づけとしては、単なるパーティーや飲み会と言うものではなく、
故人に対して敬意を払うことと、参加いただくご友人等に感謝を述べる機会としての2つの位置づけがあります。
そういう意味で、参加者から参加費をいただくことは基本的にはあり得ません。
ただし、参加費ではなく香典や供花を送りたいという方はいらっしゃるでしょうから、それらも受け取りを誇示する場合は、文面に明記しておくべきです。
○故人の気持ちを含めたお別れ状とする場合の例文
母 xxxx 儀 去るx月x日午前x時 99歳で永眠いたしました。
葬儀は生前の故人の遺志によりx月x日に身内のみにて執り行いましたことを遅ればせながらご報告いたします。
生前に亡き父が賜りましたご厚情に深く感謝申し上げるとともに謹んでお伝え申し上げます。
なお、母 xxxx が生前に遺しておりました言葉について、以下の通りお伝えさせていただき、故人よりの感謝の気持ちとさせて抱きます。
『私が生前の折、みなさまには大変多くのご温情を賜り、ありがとうございます~』
(ポイント)
基本文面の最後に、故人本人からのメッセージを追記するパターンです。
あくまで例文にすぎませんので、ご自由にさまざまなメッセージをしたためていただきたいと思います。
なお、あまり長くなりすぎるようでしたら、便せんに書き綴るなど、作成する容姿の工夫はなさった方がよいでしょう。
5 まとめ
お別れ状は、生前に自分自身の気持ちをしたため、お世話になった人たちに伝えることのできる方法の1つです。
スマホなどのアイテムも駆使して、元気なうちにさまざまな方法を使って、自身の気持ちを残して伝えることを考えてもよいでしょう。
また、お別れ状を作ることをきっかけにして、自分の死後をどのようにしてもらうか、家族と相談する機会が生まれることにもなります。
エンディングノートや遺言状なども活用して、自分が望む人生の終わり方を、多くの人々の力を借りて実現することも考えてみましょう。